「彩未さんって自分のことめっちゃ好きでしょ
」「親にどう育てられたの
」」ちなみにこの人はいい意味で言ってくれたが、そんなこと考えたことなかった。
私は専業主婦の甘い母親と自営業の厳しい父親に育てられた。
印象に残っているエピソードは、私が6歳のころ。
親戚のお姉ちゃんの家に遊びにいったとき。
私が欲しかったキキララの鉛筆は、まだ箱にはいった状態で机のひきだしに入っていた。
私は考えた末、それを靴下の中に隠すことに。
左右に6本ずつくらいいれたと思う。
歩き方はぎこちなかった。
家に帰って数分たったとき。
恐れていた電話がかかってきた。
ドキドキドキ。
父「お姉ちゃんの鉛筆しらないか?」
私 「知らない」

父「本当か?」
私 「・・・・・・。」

父「どこだ!」
私(ズボンの裾をあげる)
父「ぷっ」(ちょっと笑ったのを見逃さなかった)
父「ゴツン
」(怖い顔でげんこつがとぶ)父「自分がされたら嫌なことは人にもするなっていっただろっ

いますぐ返しに行ってこいっっ



私がこの出来事をいまだに覚えている理由を考えた。
多分、父親が怖かったからではなく、父親の愛情を感じたからなのからだと思う。
自分を心から非難しているのではなく、自分のした行動に対して怒っているのだと無意識のうちに感じ取った。
「お前はどうしてこんなことができるのか?」とか、「そんな子に育てたつもりはない」などと自己否定されたことは一度もない。
私の自己肯定感が高いのは、この親の育て方が大きく影響していると思うとその人から言われた。
父が亡くなって1年と8か月。
今頃そんなことに気づいた。
ナース
彩未




