抵当権設定における「債権額」の考え方

 

(1) 債権額とは?

抵当権は、「お金を貸したときに、もし返せなかったら不動産を売って回収する」という仕組みです。
このとき、「いくらまで回収できるか」というのを決めるのが 「債権額」 です。

通常は「金〇〇万円」といった形で、日本円で設定しますが、特別なケースとして次の2つのパターンがあります。

(2) 債権額の特別なケース

① 外貨建ての債権(ドルやユーロなど)

  • 日本円ではなく、ドルやユーロなどの外国通貨でお金を貸す ことがあります。
  • その場合、抵当権を設定するときに 米貨10万ドル など、外貨での債権額を表示できます。

📌 でも、ここで問題が発生!
💡 為替(円ドルのレート)は変動するので、円換算すると金額が変わる!
例えば、1ドル=100円のとき → 10万ドル=1,000万円
でも、1ドル=150円になったら → 10万ドル=1,500万円

 

→ じゃあ、どうする?
解決策:「担保限度額」を日本円で決める!

  • 例えば、「米貨10万ドル」だけでなく、担保限度額:金2,000万円」 のように、
    円でこれ以上は回収できないよ」という上限を決めることで、為替変動のリスクを抑えます。

 

② 物の引渡しを担保する債権(石炭や商品など)

  • お金の貸し借りではなく、「物を渡す約束(売買契約など)」を担保する場合 もあります。
  • 例えば、XがAに「石炭10万トンを渡す」という契約を結んだとします。
  • もしAが石炭を渡せなかった場合に備えて、Xは「抵当権を設定しておきたい!」となることがあります。

📌 でも、ここで問題が発生!
💡 石炭の価値(価格)は変動する!
例えば、「石炭10万トン」と言っても、市場価格が変わると価値が変わる ので、
「どれくらいの金額の権利なのか?」を明確にする必要があります。

 

→ じゃあ、どうする?
解決策:「債権価格」を登記に記載!

  • 例えば、「石炭10万トン」だけでなく、債権価格:金5,000万円」 のように、
    「この取引の価値は5,000万円相当」と明記することで、価値を固定します。

 

まとめ

 

ケース どう記載する? なぜそうする?(理由)
外貨建ての債権 「米貨10万ドル」+ 「担保限度額:金2,000万円」  為替変動の影響を防ぐため、円の上限を設定する!
物の引渡しの債権 「石炭10万トン」+ 「債権価格:金5,000万円」  価値が変動するので、金額を固定して明確にする!

もっと簡単に例えると…

  • 外貨建ての債権 = 海外旅行の両替みたいなもの
    → 為替レートが変わると、持っているお金の価値が変わるから、上限を決めておく!

  • 物の引渡しの債権 = スーパーで「時価」のお魚を買うようなもの
    → 値段が変わると困るから、「この魚は〇〇円相当」と決めておく!

📌 ポイント

外貨建ての債権は、円での上限(担保限度額)を決める!
物の引渡しの債権は、金額(債権価格)を記載する!
理由は「価値が変動するものだから、金額を明確にするため」!