独立行政委員会
独立行政委員会は、特別な仕事をするために、内閣(政府)から少し独立して活動するグループです。たとえば、公正取引委員会(ビジネスで不正がないかを見張る)や原子力規制委員会(原子力が安全かどうかを見張る)などがあります。
なぜ独立しているの?
普通、行政の仕事は内閣(政府)が行います。でも、独立行政委員会が特別なのは、政治に左右されず、みんなに公平な目で仕事をする必要があるからです。だから、内閣から離れて活動するようにしているのです。
憲法と問題になる理由
憲法の第65条には「行政の権限(仕事)は内閣に属する」と書かれています。
つまり、ふつうは行政の仕事は全部内閣が行うべきだとされています。ここで問題になるのは、独立行政委員会が内閣から独立していることが、この憲法の考え方に反するのではないかということです。
合憲(憲法に違反していない)とする考え方
独立行政委員会が憲法に違反していない、つまり「合憲」だと考える説には、いくつかの理由があります。
1.内閣が人事と予算の権限を持っているから(合憲説①)
内閣が独立行政委員会のメンバーを決めたり、その活動に必要なお金を配分したりするので、完全に内閣のコントロールが効かないわけではないという考えです。
批判のポイント
批判する人たちは、「人を選んだりお金を配るだけで、完全にコントロールしているとは言えないんじゃないか?」と考えています。
たとえば、裁判所も内閣が人事を決めたり、お金を出したりしています。でも、それだけで裁判所が内閣の言いなりになるわけではありません。裁判所は、内閣とは別に「独立」して判断を下します。だから、「独立行政委員会も同じように、内閣の完全なコントロール下にはないはず」というのが批判する人たちの考えです。
つまり、批判の理由はこうです
「人事や予算の権限があるからといって、内閣が独立行政委員会を完全に管理しているとは言えない。だから、それだけを理由に『憲法に反していない』と考えるのは少し無理があるんじゃないか?」ということです。
2.一部の特別な例外を認めているから(合憲説②)
憲法65条には「すべての行政は内閣だけで行う」と書いていないので、内閣以外でも行ってよい行政の仕事があるという立場です。特に、政治的な影響を受けないようにすべき仕事、中立的な仕事であれば、内閣から独立していることも認められるとしています。
批判のポイント
批判する人たちは、「憲法65条には『行政権は内閣に属する』と書いてあるから、内閣以外で行政を行うのは本来憲法の考え方に合わないのでは?」と考えます。
たとえば、「中立な仕事だから独立してもよい」と認めてしまうと、どこまでが中立でどこからがそうでないかの判断が難しくなります。もし「これは中立な仕事だから」といって、いろんな行政の仕事が内閣以外で行われるようになったら、憲法が意図する「行政は基本的に内閣が行うべき」というルールが崩れてしまう可能性があります。
批判のまとめ
「すべての行政は内閣だけで行う」と書かれていなくても、「行政権は内閣に属する」と書かれている以上、内閣がやるべき仕事に例外を増やしすぎるのは憲法の趣旨に反するのではないか?という批判です。
3.政治的に中立が必要な仕事だから(合憲説③)
独立行政委員会は、特に公平で中立な立場が求められる仕事を担当しています。たとえば、ビジネスのルールを公平に守らせたり、国民の安全に関わる問題を監視したりする仕事です。こうした仕事は、内閣から少し離れて活動するほうが安心だという考え方です。
批判のポイント
批判する人たちは、「公平で中立な仕事だからといって、本当に内閣から離れる必要があるの?」と考えています。
たとえば、内閣も「公平で中立」に仕事をする責任があります。内閣がやるべき仕事の中には、公平で中立な対応が必要なものもたくさんあります。それなのに、独立行政委員会だけが「公平だから独立してよい」とするのは少し違うのでは?と疑問に思うわけです。
また、「公平で中立」という理由で、内閣から離れた仕事がどんどん増えていくと、内閣が本来やるべき行政の仕事をコントロールできなくなってしまうかもしれません。
批判のまとめ
つまり、批判する人たちは、「公平で中立な仕事でも、必ずしも内閣から独立する必要はない。内閣が中立に対応することもできるし、必要以上に独立した機関が増えると、行政の一体性がなくなってしまうのでは?」と考えているのです。
まとめ
独立行政委員会は、政治的に中立で公平な仕事をするために、内閣から少し離れて活動します。このような仕事には内閣から独立していても憲法上認められるべきだ、という理由で合憲と考えられているのです。