まずは、解散の事由とそれぞれの手続き、特徴を整理していく。
STEP.1会社・会社の意思による解散シリーズ
①定款で定められた存続期間の満了
- 登記申請:必要
- 年月日は翌日
- 登記事項:年月日存続期間の満了により解散
- 添付書類:不要 → 登記記録に書かれているから
②定款で定めた解散事由の発生
- 登記申請:必要
- 登記事項:年月日定款で定めた解散事由の発生により解散
- 添付書類:解散事由の発生を証する書面
→ 上記の例では創業者死 亡の証明書類や石油が枯渇したという書類等
③株主総会特別決議による解散
- 記申請:必要
- 登記事項:年月日株主総会決議により解散
- 添付書類:株主総会議事録・株主リスト
- 無条件で速攻解散しないといけない→期限や条件はつけられない
- 2か月後に解散、などというのはダメ
STEP.2合併(消滅会社)
④合併による解散
ちなみに、新設合併は両方が消滅するけど、新しい事業を展開していくことが前提としているため、清算株式会社が新設合併という明るい未来を描くことはない。
- 登記申請:必要 ※解散と合併申請を同時にする。
- 原則、清算手続きには入らない。
STEP.3解散させられるシリーズ
⑤破産手続き開始
- 申請:不要→解散登記はされず破産開始決定を行った裁判所が登記を嘱託する
- 清算手続きではなく、破産手続きになる。
⑥解散命令
- 登記申請:不要→裁判所が嘱託により解散登記をする。
- 解散命令:悪事を働く会社に対して裁判所が解散を命ずる。
- 解散の訴え:株主が特別決議で解散を訴えても決議されなかったなどの場合に株主が裁判所に駆け込む。”あの会社、つぶれまっせ”、と裁判所に泣きついて、完全に破産する前にダメージを最小限にとどめておくため。さっさと会社を閉じて清算させる。
⑦休眠会社の擬制解散(みなし解散)
- 登記申請:不要→登記記録を見ればわかるため登記官が職権で登記する。
- 事実上、実態をなしていない会社を整理することが目的。
- 12年間何の登記もしていない、なぜ12年間なのかというと、非公開会社でも少なくとも10年に一度は取締役の変更等、登記に動きがあるはず。ってことで12年間なにも登記がされていないのは動いていない、幽霊会社のようなもの。
- 法務大臣が2か月という猶予期間を広告して、その2か月の間に登記をしなさいと教えてくれる。→法務大臣が2か月も猶予をくれるという話、長ない?と感じる。
STEP.4解散とは
解散=終了ではない
「解散」とは、会社がその事業を終了することを決定する法律上の行為。解散は会社の存続を終わらせるための手続きの始まり。解散が決定されると、会社は清算手続きに入る。
会社の結了とは
「結了」は、会社の清算手続きが全て完了した状態を指。結了により、会社は法的に消滅する。結了に至るまでには、解散後に以下のような清算手続きが行われる。
- 会社の資産の整理
- 債務の返済
- 残余財産の分配
清算が完了し、最終的に清算報告書が株主総会で承認されることで、会社の結了が認められる。
要約すると、解散は会社が事業を終了する決定であり、結了はその終了が法的に完了した状態。
STEP.5清算株式会社の権利能力
清算株式会社とは
清算株式会社は、清算の目的の範囲内においてのみ、権利能力を有する。
できること
できないこと
①自己株式の有償取得
倒産しそうなくせに株式を買うというなどと言語道断。
②剰余金の配当
株主は一番最後に残ったカスクズのような財産から分配を受ける。まずは、債権者への借金返済が最優先。で、残りものが株主に配分される。
③資本金、準備金の増減
清算は、会社の事業活動を終了し、会社の資産と負債を整理することを目的としている。つまり、会社は新たな事業活動を行わず、既存の資産を現金化し、債務を返済し、残余財産を株主に分配するプロセスに集中しないといけない。資本金や準備金の増減は、新たな事業活動や資金調達を行うための行為であり、清算の目的と矛盾するから。なに、事業活動っぽことやっとんねん、ということだ。
④組織再編
合併存続会社、分割承継会社にはなれない。どちらも清算しようというのに、何を存続しようと、何を承継しようとしとんねん、ということだ。もちろん、親子関係シリーズの株式交換、株式移転、株式交付は親にも子にもなれない。どっちになっても存続しようとする事業活動だから。もっぱら消えていく系、吸収合併の消滅側、会社分割の消滅側になる。
STEP.6職権抹消される役員等と清算株式会社の機関設計
解散によって職権抹消される役員とは
解散することで、取締役、取締役会、代表取締役、執行役、代表執行役、会計参与、会計監査人、支配人は全員職権抹消され、その地位を失う。支配人が必要となる場合は選任されることがある。解散前の会社の支配人とは別の人。吸収合併等の組織再編の場合は同じ人の可能性もあり得る。
例外:監査役、監査役会だけは唯一抹消されず、引き続き、清算に汗をかく。
清算株式会社の必須機関
・株主総会
・清算人
清算株式会社の任意機関
・清算人会、監査役、監査役会
→清算後、譲渡制限を設けて非公開会社になったとしても清算時を起点にするため、監査役は必置。
STEP.7清算人・清算人会
清算人の選定方法
①定款で定める
添付書類:定款、就任承諾書
総会は役員選任と違って3分の1以下の定足数でもOK
累積投票NG
就任承諾書必要
②株主総会で選任
添付書類:定款、株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書
③清算開始時の取締役が横滑りで法廷清算人となる
添付書類:定款
法定で決められているため就任承諾書不要、問答無用ということ。
④①②がいない場合は裁判所が選定
添付書類:定款、裁判所の選任決定書
裁判所が選定時に本人に意思の確認をとっているという高度な上から目線の選定だから下界の就任承諾書という書類は不要。
最初の清算人に定款が必要な理由
常に定款が必要というのがわかる。
①清算人会を設置しているか、
②定款で清算人を定めているか、
これを確認するためだ。
とにかく、清算人、清算人会を確認するために定款を提出させる。
清算人の資格
株主に限定してもOk
兼任の禁止
監査役はその会社、その会社の子会社の清算人を兼ねることができない。
清算人会の代表
原則、各自が代表→添付書類は不要
しかし、代表を定めることも可能。
清算人会非設置会社
・定款でその人が代表だ、と決める
・定款の定めに基づいて清算人の互選とする
添付書類:定款、互選を証する書面、就任承諾書
・株主総会で定める
添付書類:株主総会議事録、株主リスト
株主総会の記載の援用する場合就任承諾書不要
清算人設置会社の代表選定方法
清算人会で選定。
代表清算人として就任承諾書が必要。
清算人の登記の留意事項
・添付書類として必ず定款が必要
・選任決議・・・総会議事録、裁判所の選任決定書
・就任承諾書・・・法廷清算人と裁判所選定は不要
・定款・・・清算人等を確認するため常に必要
・最初の清算人は氏名のみ。住所は不要
・最初の清算人は就任年月日と就任の旨は登記しない
ただし、登記期間2週間の起算日を確認するために登記の事由に清算人が就任した年月日を記載する。
代表清算人の登記の留意事項
・代表清算人には氏名と住所まで必要。
・選定議事録や就任承諾書に印鑑証明は不要。
代表取締役と違い清算するため緩いというだけの話。
・解散前の会社で代取だった人が代表清算人になったとしても改めてこの人の登記が必要。同じ人間であっても役割と意味が違うから。
STEP.8会社の継続
・会社が解散したが、株主総会特別決議によりやっぱ再開!となった場合、会社を再開できる。
・再開決定と同時に取締役の選定が必要。
・存続期間満了により解散した場合は、存続期間の定めの変更か廃止を同時に申請することで継続できる。
・新たに代表取締役の選定が必要であるため、選定議事録と就任承諾書、印鑑証明書が必要。これは再開であっても会社設立と同じ。
・代表清算人が横滑りで代表取締役になったとしても就任承諾書の印鑑証明書は省略できない。→再任ではない。
・代表取締役を選定した議事録に代表清算人が登記所登録の印鑑を押印したとしても、その議事に出席した人の印鑑証明書の添付は省略できない。別物ということ。
継続登記で抹消されるもの
解散、清算人、清算人会、代表清算人の登記が職権抹消される。
これと同時に、取締役、代表取締役の登記が必要。
STEP.9清算結了
清算結了で始めて会社がなくなる。
清算結了して登記簿閉鎖となる。
株主総会で決算報告書が承認されたときに結了となるのだ。
債務超過している状態では株主総会ではOKとならない。
結了の登記
登記の事由 清算結了
登記事項 年月日清算結了
登録免許税 金2千円
添付情報 株主総会議事録 1通 →決算書類が了承されたこと
株主リスト 1通
委任状 1通