無権代理人の責任を追及するには,無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときを除いて,善意の相手方に過失がないことが必要(民117条2項2号)。
無権代理人への責任追及できるのは相手が純粋無垢な生まれたての赤ちゃんのような相手じゃなきゃだめということ。
この条文はややっこしい、原則と例外を織り交ざっている。シンプルでいて複雑な文章。
無権代理とは?
まず、「無権代理」というのは、代理権がない人が、あたかも代理権があるかのように他人の代わりに契約を結ぶこと。たとえば、BさんがAさんの代理人だと偽ってCさんと契約を結ぶ場合。
大原則:悪意の相手方の場合
もし相手方が「悪意」、つまり無権代理だと知っていた場合、無権代理人の責任を追及することはできない。そもそも悪意の相手方は、無権代理行為であるというリスクを理解して契約を結んだとみなされるから。
無権代理人の責任は?
諸悪の根源、無権代理の場合、原則として無権代理人(この例ではBさん)が責任を負う。
しかし、無権代理人が責任を負うためにはいくつかの条件がある。
相手が赤ちゃんのような精神状態じゃなきゃダメ。
最強ピュアな善意無過失であることが求められる。
条件1:相手方が善意であること
まず、相手方(この例ではCさん)が「善意」である必要がある。「善意」というのは、相手方が無権代理だと知らなかったことを意味する。
条件2:相手方に過失がないこと
次に、相手方に過失がないことが必要。過失というのは、不注意や注意不足を指す。つまり、相手方が普通に注意を払っていれば無権代理だと気づくことができた場合、その相手方には過失があるといえる。
例外:無権代理人が自分に代理権がないことを知っていた場合
無権代理人が自分に代理権がないことを知っていた場合には、相手方に過失があっても無権代理人は責任を負う。この場合、無権代理人が自分が知っていたことを認識していた(悪意)のであれば、相手方が多少の不注意をしていたとしても、その責任は無権代理人にあるということ。
例
AさんがBさんに、「私は代理権がないけどCさんと契約を結ぶ」と知っていた場合、Cさんが注意不足で無権代理に気づかなかったとしても、Aさんは責任を負うことになる。
まとめ
無権代理の法的効果
-
無効の原則:
- 無権代理による契約は、原則として本人に対して無効。つまり、本人はその契約に拘束されない。
-
本人の追認:
- 本人が無権代理行為を追認すれば、契約は有効となる。追認とは、後からその行為を有効と認めることを指す。
-
相手方の催告権:
- 相手方は、本人に対して相当の期間を定めて、無権代理行為を追認するかどうかを確認するよう求めることができる(催告権)。相手方が悪意(無権代理だと知っている)としても催告することができる。
- 本人が期間内に回答しない場合、その契約は無効となる。
-
相手方の取消権:
- 相手方は、無権代理行為であることを知った場合、契約を取り消す権利がある。この取消権は、相手方が無権代理行為を知らなかった場合にのみ行使できる。悪意の場合は取り消すことができない。
-
無権代理人の責任:
-
無権代理人が責任を負う条件:
- 相手方が善意であること
- 相手方に過失がないこと
- ただし、無権代理人が自分に代理権がないことを知っていた場合、相手方に過失があっても責任を負う
-
無権代理人が責任を負わない場合:
- 相手方が悪意(無権代理だと知っていた)
-