発起人の仮装払込 | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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発起人がその引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを仮装した場合,当該発起人以外の発起人であってその出資の履行を仮装することに関与した者は,その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は,株式会社に対し,払込みが仮装された当該金銭の全額の支払をする義務を負わない。(会社52条の2第2項但書,103条2項但書)。

 

発起人が設立時発行株式の引き受けに際して、出資に係る金銭の払込みを仮装した場合について整理しおこう。

 

 

 仮装払込みとは?

 

仮装払込みとは、発起人が実際には出資金を払っていないのに、あたかも払ったかのように見せかける行為。これは会社設立の過程での不正行為とされ、法的な問題を引き起こすというもの。

 

 

発起人の責任

会社法では、発起人が仮装払込みを行った場合の責任が規定されている。

 

 

 直接関与した発起人

仮装払込みを行った発起人は、無過失責任を負う。これは、過失の有無に関係なく、仮装した金額の全額を会社に支払う責任があるということ。

 

 

 関与した他の発起人

仮装払込みに直接関与しなかったが、何らかの形でその事実を知り得た他の発起人については、その責任が異なる。

 

注意義務違反が証明された場合:仮装払込みに関与した他の発起人は、職務を行うにあたって注意を怠った場合、その発起人も連帯して責任を負う。

注意義務を果たした場合:他の発起人が、その職務を行うにあたって注意を怠らなかったことを証明できた場合、その発起人は責任を免れる。具体的には、仮装に気づかず、気づくべき注意を尽くしていた場合には、責任を免れることができるのだ。

 

具体例

例1: 仮装払込みを行った発起人A

発起人Aが設立時発行株式の引き受けに際して、1000万円の出資を仮装した。

責任: 発起人Aは無過失責任を負い、仮装した1000万円を会社に支払う義務がある。これは、発起人Aが仮装を行ったことに対して過失の有無に関係なく全額支払う責任があるため。

 

例2: 仮装に関与した発起人Bと発起人C

発起人Bと発起人Cは、発起人Aが仮装払込みを行った事実を知らなかったけど、これを知り得た立場にあった。

発起人Bのケース:

発起人Bは、職務を行うにあたって十分な注意を払っておらず、仮装の可能性に気づくべきだった。この場合、発起人Bも1000万円の連帯責任を負う。

発起人Cのケース:

発起人Cは、その職務を行うにあたって十分な注意を払い、仮装の事実に気づくことができなかった。この場合、発起人Cは責任を免れる。具体的には、発起人Cが定期的に監査や確認を行っており、仮装に気づくための合理的な努力を行っていたことを証明できた場合。

 

 

まとめ

 

仮装払込みを行った発起人: 無過失責任を負い、仮装金額全額を会社に支払う義務がある。

仮装に関与した他の発起人: 注意を怠った場合、連帯して責任を負いますが、注意を怠らなかったことを証明できれば責任を免れる。

この制度は、会社設立時の出資の信頼性を確保し、会社およびその株主を保護するため。発起人はその職務を行うにあたって慎重に行動し、仮装払込みのような不正行為を防ぐ責任がある。

 

 

発起人がその引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを仮装した場合において,当該発起人が株式会社に対し払込みを仮装した当該金銭の全額の支払をしたときは,当該金銭の額は,その他資本剰余金の額に計上されます(会社計算規21条2号,3号)。

 

発起人が設立時発行株式の引き受けに際して、出資に係る金銭の払込みを仮装した場合、その発起人は仮装した金額の全額を株式会社に支払う義務がある。ここでは、発起人がこの支払いを実行した場合、その金額がどのように会社の財務諸表に計上されるか整理しておく。

 

 

仮装払込みとその後の処理

発起人が出資金の払込みを仮装した場合、その行為が発覚した時点で、発起人は仮装した金額の全額を株式会社に対して支払う義務がある。

発起人が仮装払込みを行った金額を全額支払った場合、その金額が会社に入金される。

 

その他資本剰余金への計上

会社計算規則第21条2号および3号に基づき、発起人が仮装払込みを補填するために支払った金額は、「その他資本剰余金」として計上される。

仮装払込みがあった場合、発起人が実際に払込みを行った金額は、資本金として計上されない。これは、仮装払込みの補填は新たな出資とは見なされないため。

 

 

具体的例

仮装払込みの補填金額の計上:

発起人が支払った金額は、「その他資本剰余金」として計上される。この計上により、会社の資本剰余金が増加する。

会計処理の具体例:

例えば、発起人が仮装した払込み金額が1000万円であり、それを補填するために実際に1000万円を支払った場合、その1000万円は「その他資本剰余金」として会社の財務諸表に計上される。

具体的な会計処理の例

例:発起人Aが仮装払込みを補填

仮装払込みの金額: 1000万円

補填した金額: 1000万円

会計処理は次のようになる。

(借)現金 1000万円    (貸)その他資本剰余金 1000万円

 

まとめ

 

仮装払込みの発覚と補填:発起人が出資金の払込みを仮装した場合、その発起人は仮装金額の全額を会社に支払う義務がある。

発起人が仮装払込みを補填するために支払った金額は、「その他資本剰余金」として計上される。これは、新たな出資とは見なされないため。

この会計処理により、会社の財務諸表は正確性が保たれ、資本金と資本剰余金の適切な区別が行われるのだ。