組織変更とは
会社の組織変更とは、会社の構造や運営方法を変更する。これは、会社の成長、経営戦略の変更、法的要件の遵守など、さまざまな理由で行われる。
以下に、代表的な組織変更の種類とその内容をわかりやすく整理しておこう。
会社の種類変更(組織変更)
株式会社から持分会社への変更
理由: 柔軟な運営が可能で、経費を削減できるため。
手続き: 株主総会特別決議を経て、変更登記を行います。
持分会社から株式会社への変更
理由: 資金調達を容易にし、会社の信用力を向上させるため。
手続き: 社員総会の特別決議を経て、変更登記を行う。
株式会社→持分会社へ
株式会社から持分会社(合同会社、合名会社、合資会社)への変更手続きは、会社の組織形態を根本的に変えるもの。慎重に進める必要があるのだ。
以下に、株式会社から持分会社への変更手続きを整理しておこう。
株式会社から持分会社への変更手続き
1. 変更の決定
取締役会の決議(取締役会設置会社の場合)
株式会社が持分会社への変更を検討し、取締役会で変更の提案を決議する。
株主総会の特別決議
株主総会を開催し、持分会社への変更を特別決議で承認します。特別決議は、議決権のある株主の過半数が出席し、出席株主の 3分の2以上の賛成が必要。
組織変更において、株主総会の特別決議が必要な場合についてわかりやすく整理する。
特別決議が必要な状況は、会社の構造や基本的な運営方針に大きな影響を与えるような重要な変更を行うとき。
具体的な例を挙げて整理。
特別決議とは?
特別決議は、株主総会で議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その出席株主の3分の2以上の賛成が必要な決議。通常の決議(普通決議)よりも高いハードルが設けられている。
参考:特別決議が必要な主な組織変更
1. 定款の変更
定款の変更: 会社の基本的なルールである定款を変更する場合。
例: 会社の目的や商号、本店所在地の変更など。
2. 組織形態の変更
株式会社から持分会社への変更: 株式会社を合同会社、合名会社、合資会社に変更する場合。
例: 株式会社Aを合同会社Aに変更する場合。
持分会社から株式会社への変更: 合同会社、合名会社、合資会社を株式会社に変更する場合。
例: 合同会社Bを株式会社Bに変更する場合。
3. 合併
・吸収合併: ある会社が他の会社を吸収し、1つの会社になること。
例: A社がB社を吸収し、B社が消滅する。
・新設合併: 複数の会社が合併して新しい会社を設立すること。
例: A社とB社が合併して、新会社C社を設立する。
4. 会社の分割
吸収分割: 会社の一部を他の会社に譲渡すること。
例: A社の事業部門をB社に譲渡する。
新設分割: 会社の一部を切り離して新しい会社を設立すること。
例: A社の事業部門を分割して新会社D社を設立する。
5. 株式に関する変更
株式の併合: 複数の株式を1つにまとめること。
例: 10株を1株に併合する。
株式の分割: 1株を複数の株式に分けること。
例: 1株を2株に分割する。
6. 重要な資産の譲渡
重要な資産の譲渡: 会社の主要な資産を譲渡する場合。
例: 会社の主要な工場や土地を売却する。
7. 株主の利益に大きな影響を与える事項
新株発行の差止め: 新たに株式を発行する際に、既存の株主に不利な条件で発行することを防ぐため。
例: 既存株主の持ち株比率が大幅に下がるような新株発行を防止するための決議。
具体例:例えば、株式会社Aがその組織形態を合同会社Aに変更する場合、次のような手順が必要。
①取締役会の決議:株式会社Aの取締役会で、合同会社への変更を提案
②株主総会の特別決議:株主総会を開催し、合同会社への変更を特別決議で承認します。
特別決議には、出席した株主の3分の2以上の賛成が必要です。
③変更手続き:株主総会で特別決議が承認された後、新しい定款を作成し、必要な変更手続きを行います。
まとめ組織変更に関して特別決議が必要な場合は、会社の根本的な構造や運営に大きな影響を与えるような重要な変更を行うとき。これにより、会社の経営が透明かつ公平に行われるようにし、株主の利益を保護することが目的。特別決議には高いハードルが設けられているため、重要な変更については多くの株主の賛同を得る必要がある。
公告・通知
公告は、債権者保護手続きの一環として行われ、会社が組織変更を行う際に債権者の利益を保護するために必要。
株主総会の決議
1.株主総会の特別決議: 株式会社から持分会社への変更には、株主総会での特別決議が必要。これは、議決権を持つ株主の過半数が出席し、その出席株主の3分の2以上の賛成が必要。(復習がてら再掲)
2. 債権者保護手続き
組織変更に伴い、債権者に対して異議申し立ての機会を与えるために公告を行う。
3.公告等の手続き
公告の手続き
官報公告
内容: 会社が組織変更をする旨、異議がある場合の申し立て方法と期限(通常は1ヶ月以内)を記載。
方法: 官報に公告。官報は政府が発行する公式な公告媒体。全国のあらゆる団体、機関、個人の情報が掲載されている分厚い新聞
のようなもの。
個別通知
対象: 既知の債権者(会社が把握している債権者)
内容: 組織変更の内容と異議申し立ての方法と期限を記載した通知書を送付。
方法: 書面で通知します。通常は郵送で行われます。
具体的な公告例
官報公告の例
公 告
当会社は、令和○年○月○日の株主総会の決議により、株式会社から合同会社に組織変更することを決定いたしました。この組織変更に異議のある債権者は、公告の日から1ヶ月以内に当会社に異議を申し立ててください。
令和○年○月○日
株式会社A
代表取締役 ○○ ○○
個別通知の例
通知書
○○様
拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、当会社は令和○年○月○日の株主総会の決議により、株式会社から合同会社に組織変更することを決定いたしました。
つきましては、貴殿が当会社に対して有する債権に関して、本組織変更に異議がある場合は、本通知の受領日から1ヶ月以内に書面にて当会社に異議を申し立てていただきますようお願い申し上げます。
異議がない場合、組織変更は法的手続きを経て正式に実行されます。
敬具
令和○年○月○日
株式会社A
代表取締役 ○○ ○○
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4. 債権者からの異議申し立て
異議申し立ての受付:債権者が異議を申し立てる場合は、書面での申し立てを受け付ける。
異議があった場合、その債権者との協議や対応を行う。
※ 異議があった場合、会社はその債権者に対して、弁済、若しくは、相当の担保を提供し、又は、その債権者に弁済させるた
めに、信託会社等に相当の財産を信託しないといけない。
5. 登記申請書の作成
法務局に提出する登記申請書を作成する。
必要書類の準備:
新しい定款
株主総会議事録
債権者保護手続きの公告および通知の証拠
変更後の社員名簿
代表社員の就任承諾書
変更登記申請書と必要書類を法務局に提出する。
登記が完了すると、株式会社は正式に持分会社に変更される。
まとめ株式会社から持分会社への変更手続きでは、株主総会の特別決議とともに、債権者保護のための公告と個別通知が重要なステップです。公告は官報に、通知は既知の債権者に対して行います。これにより、債権者が異議を申し立てる機会を確保し、法的手続きを適切に進めることができます。