基本の一括申請
申請できるかどうかという話。
原則、登記の目的、原因が生じた場合、
その申請は一つの不動産毎に申請すること
になっている。
不動産に生じた出来事は不動産毎に
申請せよ、というガチガチなのが基本。
100個の不動産があったら100個別個に
申請しなければならないというのが原則。
同じ不動産の登記申請について、移転が
2回生じたら、2回別個に申請しないといけない。
例えば、令和6年1月1日マイクラがA土地とB土地
を🎅君に売った。
A不動産
原因 令和6年1月1日売買
B不動産
原因 令和6年1月1日売買
このように原則は別個に申請することになる。
でも、原則例外があるのが法曹界。
いちいち、原則どおりに複数の不動産の売買等の
申請をやってるとどんだけ残業しなきゃいけないんだよ、
って話だ。
例外が認められて一括申請できるのだ。
不動産登記令第4条
(申請情報の作成及び提供)
第四条 申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。
但し書きに注目。
申請が2つ以上
不動産が2個以上
不動産の管轄区内が同じであること
登記の目的が同じ
登記の原因及び日付が同じ
これが揃えば一括申請ができるのだ。
上記の例で、マイクラが同日にA土地とB土地を
🎅君に売った売の申請情報を作成してみる。
不動産の管轄区域は同じ。
登記の目的 所有権移転
原因 令和6年1月1日売買
権利者 🎅
義務者 マイクラ
不動産の表示 A土地
B土地
変更の一括申請
変更申請はどんなときに一括申請できるのか。
上記の不動産登記令第4条 その他法務省令で定めるときは、以下の規則になる。
不動産登記法第35条(一の申請によって申請できることができる場合)
八 同一の登記所の管轄区域内にある一又は二以上の不動産について申請する二以上の登記が、いずれも同一の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記であるとき。
同一管轄区域であること
不動産が2以上
同一人物の氏名、名称、住所の変更or更生
一括まとめて申請できるのだ。
ケース:現在の住所が違う①
例えば、令和6年1月1日、私、マイクラが結婚して、
司法マイクラという名前に変わり、同時に住所も変わった。
その場合の申請情報は、
登記の目的 2番所有権登記名義人住所、氏名変更
原因 令和6年1月1日氏名変更、令和6年1月5日住所移転
変更後の事項 司法マイクラ ●●県●●市●●町1丁目1番地
登録免許税 金1,000円
楽してしかも1000円で済むって超エコなことができるのだ。
ケース 現在の住所が違う②
私、マイクラの住所が令和6年1月1日移転によって変わり、
令和6年3月1日に住所表示の実施があった
場合も一括申請できる。
原因は全部記載。
登記の目的 2番所有権登記名義人住所変更
原因 令和6年1月1日住所移転、令和6年3月1日住所表示実施
変更後の事項 ●●県●●市●●町1丁目1番地
登録免許税 非課税
住所は現在(最終)の住所になる。
最終住所が住所表示の実施だから、自治体の区画整理等の
事情であることから、非課税となる。
ケース 現在の住所が違う③
住所が初めから間違っていたうえ、その後に
引っ越しして更に住所が変わった場合。
住所の更生と変更を一括、一つの申請情報で
もって申請可能となるのだ。
登記原因が「錯誤」と「変更」異なる場合でも
一括申請できちゃう。
原因は全部記載するべし!
登記の目的 所有権登記名義人住所更生、変更
原因 錯誤、令和6年1月1日住所移転
変更後の事項 ●●県●●市●●町1丁目1番地
登録免許税 金1,000円
更生の住所は書かなくてもいい。
住所は現在(最終)の住所になる。
ケース 現在住所が違う④
住所が4回転々とした場合。
①令和3年1月1日 ●●県●●市●●町1丁目1番地
②令和4年1月1日 ✖✖県✖✖市××町1丁目1番地
③令和5年1月1日 △△県△△市△△町1丁目1番地
④令和6年1月1日 ♡♡件♡♡市♡♡町1丁目1番地
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原因 令和6年1月1日住所移転
変更後の事項 ♡♡県♡♡市♡♡町1丁目1番地
登録免許税 金1,000円
登記は③→④への移転日の変更登記のみ、
住所は現在(最終)の住所になる。
登録免許税
住所の変更+更生、氏名の変更+更生、氏名変更住所更生、氏名更生+住所変更
住所と氏名の更生及び変更は一括申請(一の申請情報)で申請できる。
登録免許税は1不動産につき1,000円であるが、組み合わせはこうなる。
1,000円になるとき
単発組
① A県からB県へ移転 住所のみ変更
目的:●番所有権登記名義人住所変更
原因:令和6年1月1日住所移転
登録免許税:金1,000円
② A県からB県の記載ミス 住所のみ更生
目的:●番所有権登記名義人住所変更
原因:令和6年1月1日錯誤
登録免許税:金1,000円
③ 婚姻による氏名変更 氏名のみ変更
目的:●番所有権登記名義人氏名変更
原因:令和6年1月1日氏名変更
登録免許税:金1,000円
④ 氏名記載ミス 氏名のみ更生
目的:●番所有権登記名義人氏名更生
原因:錯誤
登録免許税:金1,000円
住所と氏名の組み合わせ
登録免許税が1,000円になるのは
原因が住所氏名ともに”更生”、もしくは
住所氏名ともに”変更”の場合。
① A県からB県の移転と氏名変更
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名変更
原因:令和6年1月1日 氏名変更
令和6年2月1日 住所変更
登録免許税:金1,000円
② A県からB県の移転の更生と氏名の更生
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名更生
原因:錯誤
登録免許税:金1,000円
2,000円になるとき
住所、氏名の変更、更生を一つの申請をするときの原因が
バラバラのときは、2,000円となる。
住所、氏名、更生、変更、組み合わせがバラバラのときということだ。
「住所、氏名変更、更正」は一つの単語と覚えるべし!!
① A県からB県に移転、氏名が更生
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名変更、更生
原因:令和4年1月1日 錯誤 ・・・氏名の更生
令和6年1月1日 住所移転・・・住所の変更
登録免許税:金2,000円
② A県からB県の記載ミス、氏名の変更
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名変更、更生
原因:令和4年1月1日 錯誤 ・・・住所の更生
令和6年1月1日 氏名変更・・・住所の変更
登録免許税:金2,000円
非課税と課税の組み合わせ
住居表示の実施の場合は自治体等の事情に
よる変更だから非課税となる。
氏名変更や住所移転による変更は1,000円かかる。
① 氏名変更と住居表示の実施の組み合わせ
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名変更
原因:令和2年1月1日 氏名変更
令和3年1月1日 住居表示実施
登録免許税:金1,000円→氏名の変更
(住所につき登録免許税法5条4号により非課税)
② 氏名更生と住居表示実施の組み合わせ
目的:●番所有権登記名義人住所、氏名変更、更生
原因:令和3年1月1日 錯誤→錯誤による氏名変更
令和4年1月1日 住居表示実施
登録免許税:金1,000円→氏名の更生
(住所につき登録免許税法5条4号により非課税)
非課税(ゼロ円)
① 住所移転後に住居表示が実施された場合
目的:●番所有権登記名義人住所変更
原因:令和2年1月1日 住所移転
令和4年1月1日 住居表示実施
登録免許税:非課税(登録免許税法5条4号)
※ 住所移転と住居表示の実施を並記するのだ!
最終の住所にて登録免許税が加算される。
そのため、非課税、ゼロ円となる。
② 住所移転後に町名や地番が変更(区画整理)
された場合
原因:令和2年1月1日 住所移転
令和4年1月1日 町名(地番)変更
登録免許税:非課税(登録免許税法5条5号)
※ 住所移転と町名(地番)の変更を並記するのだ!
最終の住所にて登録免許税が加算される。
そのため、非課税、ゼロ円となる。
住居表示と地番の違い
住居表示の実施とは、自治体がわかりやすく
整理するために付する住所のこと。
地番は法務局が管理する番号で登記簿上は
地番であらわされる。
住居表示と地番、似て非なるものだけど、
管理するのが自治体と法務局、まったく
違うから、別物として扱う。
いずれにしても、非課税になるから覚えておきたい。
根拠とする法律が登録免許税法5条4号が
住居表示の実施、
同法5条5号が町名や地番の変更と異なる。
これも覚えておきたい。
(非課税登記等)
第五条
四 住居表示に関する法律(昭和三十七年法律第百十九号)第三条第一項及び
第二項又は第四条(住居表示の実施手続等)の規定による住居表示の実施又は
変更に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
五 行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はこれらの名称の変更
(その変更に伴う地番の変更及び次号に規定する事業の施行に伴う地番
の変更を含む。)に伴う登記事項又は登録事項の変更の登記又は登録
を添付して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。