「エキセントリックス」
吉野 朔美
一つの身体と二つの人格を持つ主人公と
一つの人格を二人(二つの身体)で形成している双子
そしてそれを取り巻く人々と、感情の絡み合い。
初めて読むタイプの漫画だったのだけど、惹きつけられてしまった。
登場人物の記憶や人格が交錯して、完全に混乱させられる。
何が真実なのか、誰が誰なのか、一体何がどうなっているのか・・・
特に下巻。
終焉に向けて謎解きなり、まとめに入るのが通常のパターンだと思うのだけど、
終わりに向けてその混乱は一層深まる。
読み終わったとき、
混乱してしまった糸を解きたくて、意味を理解したくて、もう一度読みたいと思った。
だけど、ふと気付く。
作品内での登場人物の言葉
「混乱を愛して。」
もしかすると作者は、混乱を紐解くことを求めてはいないのかもしれない。
混乱を混乱のまま受け止めて、
混乱自体をそういうものとして愛してほしいって言ってるんじゃないか。
簡単に理解なんてできなくて、
不器用に絡まり合って、
混乱しながら生きる「人間」っていう動物を、
混乱そのものである「人間」・「人格」を、
そういうものとして愛してほしいって言ってるんじゃないか。
無理に解こうとするから崩壊する。
無理に固定したりしようとするから歪む。
もちろん理解しようとすることは大切。
そのプロセスを諦めたり、省いたりして
「わかんなかった」って言ってしまうのは簡単すぎる。
もう一度読むときは、
混乱をそのままの形で受け止めて、じっとみつめるようにしてみよう。
混乱したままにも、そこに違うものが感じられるかもしれない。