「お母さん、あゆちゃんをN医師に診せてみませんか?」
それが担任O先生の言葉だった。
母親たちの誰からも、良い評判を聞かない校医のN眼科。
N医師に対する評判を口ごもりながら言う私に、O先生は熱意を込めて言った。
市内の学校の養護教諭からは、子供のことをよく診ているとかなり評価が高いらしい。
他校の校医と比べて、目の異常を見つけるのが格段に多い。
あの先生がぶっきらぼうなのは、誰に対しても一緒。
大人だろうが子供だろうが、障碍があろうがなかろうが同じ。
子供に関しては、本当に子供のためを思っている。
あゆちゃんの目が遠視かどうか、私が判断できることじゃないけど、もしも私が思ったとおりだったら、矯正メガネで手元がよく見えるようになったら、今以上にあゆちゃんは勉強が好きになると思う。遠視でないのなら、それはそれで私も安心できるし、文字や線がゆがむ原因が別にあるのなら、その時は別の方法を必ず考えます。
O先生の熱意に、私も心が動いた。
いやな思いをするかもしれないけど、自分の心にバリアを張っておけば前ほど自分が打ちのめされることはないだろうと思った。
N医師のところで、あゆの同級生の母親が働いている。
ママ友というほど親しくしている訳ではないが、サバサバした明るい人で、あゆのことも理解してくれている。
Lineであれば連絡もつく。
彼女に相談して、少しでも良い状態であゆを診せる方法を考えよう。
そう考えて、私はO先生の提案を受け入れることにした・・・