診察に連れて行った際、多動全開になるだろうことは容易に想像できた。
なので、事前にTELし、障碍のことを伝えた上で比較的患者が少ないという時間帯に、ダンナも一緒に行った。
果たしてあゆは、案の定多動全開となった。
院内を走り回り、機械を覗きはするものの、検査の方が慌てて調整しようとした瞬間にからかうように目を離してしまう。
そしてついに、検査を拒否して床に寝転がってしまったあゆに、T医師は呆れたようにため息をついた。
「(多動を抑える)お薬は飲んでますか?」
「いえ・・・飲ませていません」
「これほど多動だと、病院で処方してくれるでしょう?なんで飲ませないの?」
「今は病院には行っていません。普段はここまでのことはないので・・・
初めての場所だとこうなってしまいますが、学校では45分普通に座っていられますし」
「(疑いの目・・・)いずれにせよ、当院では検査は無理ですね。なんでしたらこども病院に紹介状を書きますが?
目は、これだけ動いてるということはちゃんと見えてますよ、大丈夫だと思います」
最後の言葉は言い捨てるような調子だったし、話の流れから、紹介状というのが小児精神科へのものだということは容易に想像できた。
そして、”もう来るな”という、T医師の出入り禁止の言い渡しだということも・・・
あゆの多動を棚に上げて、と言われたら、私としては返す言葉はない。
薬の不使用や小児精神科不受診は私の信念でもあるし、言われても仕方ないことは自分でもわかっている。
けれど、”理解がある”と、多くの母親たちの話があったからこそ、連れて行った。
そこに甘えがあったことは否定できない。
それでも、”理解がある”と評されている医師にこのような扱いをされたことが私自身を打ちのめした。
こういった時に、あゆに怒りの矛先を向けないよういつもなら気を付けているのだが、
この時は全く自制がきかなかった。
ダンナと一足先に車に戻っていたあゆを睨み、
「反省しなさい!」
と怒鳴った後は顔を見もしなかった私の怒りを、あゆは気まずそうに
「ごめんなさい・・・」
と小さくなって半泣きで受け止めた。
素直に謝ったあゆを誉めるべきなのだが、そんな余裕もなく、
”理解がある”と言われる医師に見捨てられ、どうしたらいいのか分からず、
少し落ち着いてから私は担任のO先生に、その日の顛末を簡単に報告した・・・
あゆは、その後もずっと気になっていたのだろう。
時々
「めいしゃさん、いく」
と言っては私に
「無理」
と言われてしょげる、というのをしばらくの間繰り返した。
あゆは、次は頑張って名誉挽回したいという思いもあったのだろうけれど、連れていける眼科の目途はたたなかった。
何より私自身が、眼科を探すことを躊躇してしまっていた。
状況が変わったのは2週間後ぐらいだろうか。
ずっと気にかけてくれていた担任が、1つの情報を仕入れてくれた・・・