こんばんは。

 

まだ来月の話ですが、5月3日(日)に春の天皇賞が開催されます。

 

距離が3200mということで、長距離血統というものに関心がいきますが

競走馬の血統というものは本当に奥が深いと思います。

 

少しでも予想の参考にしたいと思いますし、時節柄、時間もたっぷりあります。

そこで、今回はステイヤー血統について考えてみたいと思います。

 

 

「馬は誰に似る?」

 

「馬は誰に似る」というのは、例えば皐月賞に勝ったコントレイルは父母の

どちらに似てあのスピードやパワー・瞬発力を持っているのかということ。

 

コントレイルの血統表を見ると

 

当然、父のディープインパクトの特徴を強く持っていますが、母方の祖母も

アメリカのG1馬で2005年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬です。

 

また、ディープ産駒は重馬場が弱い傾向にありますが、馬場が悪くても実力を発揮したのは母父のアンブライドルズソング (Unbridled's Song)の血を受け継いだ

からとも云われています。

 

   

 

 

アンブライドルズソング  (Unbridled's Song)

 

 

しかし、いい血統の馬を掛け合わせたからといって、すべての馬がいい馬になる

わけではないのも事実です。

 

人間なら、よく「性格はお父さん似」とか「死んだお祖父ちゃんにそっくり」

などということが云われます。

また、隔世遺伝というものも実際にあると信じられています。

 

人間は言葉を話すことができるので性格や性質を家族などから聞けます。

しかし馬は話せませんので、父母のどっちに似ているかわかるのは

 

馬格、走り方、毛色、厩舎・牧場関係者のお話など

から類推することになるわけです。

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(上段 左から)栗毛(くりげ)   鹿毛(かげ)    青鹿毛(あおかげ)    芦毛(あしげ)

(下段 左から)栃栗毛(とちくりげ)   黒鹿毛(くろかげ)   青毛(あおげ白毛(しろげ)

 

 

【サリオスの毛色】

皐月賞2着のサリオスの毛色は栗色です。ところが父ハーツクライは鹿毛。

母サロミナも鹿毛。誰に似たのかと調べていくと、母父のロミタスが栗毛でした。

 

さらに、ロミタスの栗毛は母系のLove Inから受け継いでいる。サリオスの特徴も

そちらからの影響が大きい可能性が・・・

これを解明しているのがこちらの動画です。

サリオスが栗毛の件・・・誰に似た?

 

2019/06/05 サリオスが新馬戦を勝ったときの動画

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                                            ※Lomitas-母La Colorada-母La Dorada-母 Love In
 

【血統表】

もうひとつ、重要なヒントが血統表だと思います。

                                           ※訂正「競走馬の血統」wikipedia

 

例えば、ディープインパクトの場合、兄のブラックタイドや弟のオンファイア。

(ブラックタイドはキタサンブラックの父で優れた繁殖成績をあげています)

 

母ウインドインハーヘア 父Alzao-Lyphard-Northern Dancer

 

netkeiba.com  ディープインパクト・血統詳細より

 

【隔世遺伝】

つぎは、母の父に似る(隔世遺伝)について。

 

馬は遺伝的要素がかなり大きく作用します。

 

特に注意しないといけないのが母の父、つまり人間でいえば母方のおじいちゃんの血です。

 

馬の世界では、BMS:ブルードメアサイアーと言います。

ですから競馬新聞には必要な情報として「母の父」が必ず書いてあります。

 

新馬戦で14001600mくらいの距離でものすごく強い勝ち方をした馬が、ダービーの2400mの距離で惨敗することがあります。

 

その際、ブルードメアサイアーを調べると、短距離系だった。そこで、

「やはり血は争えなかった」

などとスポーツ紙には大きく報じられたりします。

 

 

好きな馬の親・祖父を調べ上げ、まず適応距離を把握し、次に先行馬か、追込み馬かなどを判断し、さらに性格・体重の増減・ダートが得意か、芝が得意か、

 

雨でどろどろになったコース(重馬場)が好きなのか、良馬場が好きなのか、等々さんざん研究していくと、競走相手がどういうメンツで、馬場の調子、馬の体調サイクルがどのような時なら勝てる、というかなり確率の高い推論が出てくるそうです。

 

人間の社会では、時として「隔世遺伝」と言って、おじいちゃん方に似ている

と言われる場合があります。

 

アインシュタインの子供は大工さんで、その世界でカリスマ大工と言うこともなく、ぱっとしなかったようです。

一方アインシュタインのお母さんの父は優秀なお医者さんだったそうです。

 

「瓢箪から駒」という言葉があります。

この親からどうしてこんな秀逸な子が生まれたのだろう、という場合に使います。

 

一方「両親ともに頭がいいのに、どうして子どもはイマイチなんだろうね?」

なんてはたから言われることがあります。お爺ちゃんとか、お婆ちゃんとか

どこかに気質の似たご先祖様がいるはずです。ただ人の素質は、けっして頭の良さだけではありません。足が速いことや手先が器用なことも大事な性質です。

 

実は「たまに隔世遺伝がある」のではなく、むしろ「隔世遺伝の方が主流」ではないのかと考えることもできます。

 

顔、体格、肌の色、声の質等、肉体的遺伝は確かに父母の流れを優先的に引き継ぎますが、芸術性、論理性等の頭脳特性は、はるかに隔世遺伝、それも馬と同じくブルードメアサイアー(母の父)が優勢であるという研究があります。

 

その研究では、前述のように

「遺伝的な性質は母馬から5560%、父馬から4045%」となっています。

 

【母の父から適性を調べる】

以上の事から、出走馬の血統表から母の父を調べることが重要ということがわかりました。さっそく、適性を調べてみましょう。

 

例として、天皇賞(春)に出走予定のユーキャンスマイルを。

血統表が見やすく書かれているネット競馬(netkeibaを利用します。

 

 

父がキングカメハメハです。

ネットで「キングカメハメハ産駒の特徴」と調べると、芝2500m以上の長距離はハンデ戦の重賞3勝のみで苦手としている、と書かれています。

 

ユーキャンスマイル 近年の成績

 

しかし、ユーキャンスマイルは今年の阪神大賞典や3400mのダイヤモンドSでも

優勝しています。

 

次に、母父のダンスインザダークをみてみます。

ダンスインザダーク自身と同じく、菊花賞を制した産駒を3頭も輩出しています。

(ザッツザプレンティ デルタブルース スリーロールス)

 

また、ネットで「ダンスインザダークの特徴」を検索すると

つぎの表を見つけることが出来ます。

 

 

ということで、ユーキャンスマイルは母父ダンスインザダークの血をついで、

長距離で好成績をあげるということがわかりました。

 

(つづく)

 

 

次回は、【春の天皇賞】ステイヤー血統2~「登録馬の母父を分析」の予定です。