こんばんは。

 

よく『恋をすると人は変わる』などといいますが、馬にもそういうことがあるのでしょうか。

 

2004年に桜花賞を制したダンスインザムードという牝馬が、同い年の

皐月賞馬ダイワメジャーに恋をしていたのではないかというお話です。

 

もちろん馬は言葉を話せませんので、競馬ファンの間での語り草にすぎません。

 

 

ダイワメジャー 誕生日200148

名家「スカーレット一族」のプリンス

 

父 サンデーサイレンス

母 スカーレットブーケ

姉 ダイワルージュ(桜花賞3着)

妹 ダイワスカーレット

1 - 桜花賞   秋華賞   エリザベス女王杯   有馬記念 大阪杯(G2)

 

ダンスインザムード 誕生日2001410

名家「ダンス一族」のお嬢様

 

父 サンデーサイレンス

母 ダンシングキイ

兄 エアダブリン(ダービー2着、菊花賞3着)

姉 ダンスパートナー(オークス、エリザベス女王杯、桜花賞2着)

兄 ダンスインザダーク(菊花賞、ダービー2着)

 

と、兄も姉もビッグレースを勝ったいわゆる ダンス一族のお嬢様で、

デビュー前から大きな期待を集めていました。

 

そしてその期待にたがわず、デビューから4連勝で桜花賞を制覇。

偉大な兄や姉をあっさりと超えていきそうな末恐ろしい実力を見せました。

 

しかし、彼女には大きな問題がありました。それはとにかく「気難しい」こと

 

本気で走れば強いのに、ちょっとでもやる気をそがれるとあっさり負けてしまう。

 

「お嬢様らしい」といえば聞こえはいいですが、スタッフやジョッキーには大きな悩みでした。

 

 

アメリカ遠征ではアメリカンオークスに出走し、2着。

しかし秋華賞、天皇賞・秋では善戦するも、香港遠征では大きな挫折を味わう

 

香港で傷ついた彼女は、気難しさがさらに悪化し、

年明けからの成績は9着、18着、8着、12着、8着。

 

能力をまったく発揮しなくなってしまいました。

 

 

その彼女が、2005年終盤から突然本気で走るようになりました。

 

どのレースでも全力。となれば能力は一級品ですから、牝馬相手なら負けませんし、強い牡馬(オス)相手のビッグレースでも2着と、対等に渡り合います。

 

 

では一体なぜ、ダンスインザムードは真面目になったのか。

 

この時期の成績を見てみると、不思議なことが分かりました。

それは、復活してからのレースのほとんどでゴールするダンスインザムードの

少し前にダイワメジャーがいたということです。

 

2005年、最下位だった安田記念では8着のダイワメジャーに気付かなかったようですが、

その5ヶ月後のマイルチャンピオンSでは2着と4着。存在に気付いたようです。

 

 

2006年、5歳になった彼女の年明け初戦はマイラーズカップ。

 

そこで、再びダイワメジャーと出会いました。

彼女は彼について行き、そのまま彼の後ろを走って2着。

 

恋の力は、香港で傷ついた彼女の心を癒し、その才能を蘇らせたようです。

続くヴィクトリアマイルでは久しぶりにGⅠレースを勝利し、

このレースの初代女王の座を射止めました。

 

 

 

2006 ヴィクトリアマイル
 
 

ダイワメジャーも、これまたビッグレースをいくつも制した名馬ですが、

 
 
2007 安田記念
 
 

いつもそのダイワメジャーのすぐ後ろを付き添うようにダンスインザムードがゴールするのです。

 

その証拠に、2頭のワンツーフィニッシュで決まったレースが2006年に3回もあり、それ以外でも、ダイワメジャーが4着ならダンスインザムードは5
 

ダイワメジャーが2着なら、ダンスインザムードはわずか後ろで4着など、

レースではしっかり彼の姿を探し、ぴったりくっついて走っているかのよう

 

2006  毎日王冠
 
2006 マイルチャンピオンシップ

 

 

 

この現象を見て、「ダンスインザムードはダイワメジャーに恋したのではないか

それで真面目になったのでは?」とファンは疑い始めたのです。

 

注目すべきは、ダンスインザムードがいつもダイワメジャーの「少し後ろにいた」こと。

 

気性の荒かった若い頃とは別の馬のように

ダイワメジャーの後ろにそっと寄り添う

健気な姿を見せていました。

 

ただ、真面目になったダンスインザムードですが、ダイワメジャーのいない香港で行った引退レースでは久々に気難しさを発揮。12着に大敗してしまいました。

 

この時ダンスインザムードに騎乗していた武豊騎手は、敗因を聞かれると

 

「ダイワメジャーを探していたのかな」と、粋なコメントを残してくれました。

 

そういうこともあり、ダンスインザムードの恋はいまだに競馬ファンの語り草となっています。

 

 

 

ダンスインザムードの復活の原動力となったダイワメジャーへの想い。

しかし、それは実ることのない恋でもありました。

 

2頭の父親はサンデーサイレンス。

そう、同じ父親を持つ2頭なのでした……

 

知ってか知らずか、彼女は禁断の恋をしてしまいました。

繁殖牝馬となって、ダイワメジャーと結ばれることはありません。

 

 

 

競馬には時として不思議なドラマが生まれます。

それを見ていくと、意外と人に似ている部分があります。

 

レースの予想以外にも、馬それぞれが持つキャラクターや

歩んできた道のりをたどると、競馬の別の面白さを見つけることがあります。

 

 

 

ダンスインザムードは引退後、2007年より社台ファームで繁殖入りし

初年度はファルブラヴと交配されました。

 

その子が、ダンスファンタジア

フェアリーS(G3)を勝ち、既に3頭の母親です。

 

その後、シンボリクリスエス ホワイトマズル ハービンジャー 

エンパイアメーカーなどと交配し、たくさんの仔を産みました。

 

 

 

11番仔のエトーソと ダンスインザムード
 

 

 繋養されている牧場は、 

 

ダイワメジャー

社台スタリオンステーション:北海道勇払郡安平町

 

ダンスインザムード 社台ファーム:北海道千歳市東丘

 

いつか牧場見学に行ってみたいですね☆彡

 

 

 

ダイワメジャー (2012)