サラブレッド。
英語にするとTHOROUGHBREDと書きます。
「完全な、徹底的な(THOROUGH)」
「繁殖させたもの、作りだしたもの、改良したもの、育てられたもの(BRED)」
表記の通り、徹底的に育てられた馬のことを指します。
競馬はブラッドスポーツと呼ばれるくらい、血統を重視するスポーツです。
強く、そして早く走ることができるオスとメスの馬同士を掛け合わせ、
さらに優秀な馬をつくりだします。
ただし、優秀な血統の馬が必ずしも大きなレースを勝てるわけではありません。
反対に、それほど優秀な産駒を出していない父馬と近親に活躍した馬がいない
母馬との間からでも、後に名馬となる馬が生まれることもあるのです。
これは、隔世遺伝などさまざまな要因が考えられますが、後天的なトレーニング
などもその馬の素質を開花させる要素であるといえます。
かつて応援していた馬の産駒を競馬場で見られることは、心を躍らせるものがあります。サラブレッドの世代交代のサイクルは、わたしたち人間とは比較にならないほど早いです。
引退した名馬の産駒が、わずか数年後には、競馬場に登場することになります。
父が勝ったレースを子供も勝つといったシーンを見ると、競馬がブラッドスポーツであることを実感できます。
競走馬の活躍は何才まで
人気が爆発し社会現象まで引き起こした競走馬、ディープインパクトは2才で
デビューし、4才で引退しました。
まだまだこれからという年齢で日本中のファンに惜しまれながら引退しました。
では、競走馬は一般的に何才でデビューし、何才で引退するのでしょうか?
誕生し、トレーニングを積み2才から厩舎へ入ります。早い馬だと、2才の春に
新馬戦でデビューする馬もいますが、一般的には秋ごろデビューします。
デビューする時期も馬によって異なり、3才でデビューする馬もいます。
競走馬は、2才から3才が成長期だといわれており、身体能力はぐんと上がります。人間と同じで1年の間に見違えるぐらい大きく成長します。
そして、4才から5才で花を咲かせ、大活躍する馬が多いです。
その後、早い馬で4才、一般的には5才から6才で競走馬を引退します。
4~6才で引退し、命を終えるまで、かつて活躍した馬たちは、一体どこで暮らし、何をしているのでしょうか。
乗馬クラブ
馬術競技
セラピー馬
などが競走馬のセカンドキャリアとなります。しかし、もとは競走馬として、
とにかく少しでも速く走れるようにと、生まれた時から調教された馬たちは、
乗馬クラブへ行っても競走馬としての習慣が抜けず、乗馬のようにポッカポッカとゆっくり歩いたり、走ったりということが受け付けられません。
結局、乗馬クラブへ行ったとしても、セカンドキャリアを積むことができない。
そこで、再調教(リトレーニング)が必要になるわけです。
NPO法人 吉備高原サラブリトレーニング はこの「リトレーニング」の課程を担っています。
酷使した馬体のケア、心のケア
それぞれの馬の個性に合ったリトレーニング
「一頭でも多くの馬の命を救いたい」
「引退したサラブレッドを、五輪へ」
という想いを胸に、この団体を立ち上げた代表のもと、馬たちは自然豊かな
岡山の吉備高原でのびのびとトレーニングを受けているそうです。
競馬の世界は「より速く」走れることが命ですから、足の速い親馬同士をかけ合わせ、足の速い遺伝子を持った馬たちを誕生させます。
けれど、両親の遺伝子が足が速いからといって子どもの馬も速いかといえば、
必ずしもそうではありません。
馬にはそれぞれ性格の違いもあれば、適性も、能力の違いもあります。
競走馬には適していなくても、
何をしても動じない、おとなしくて人懐こく、観光牧場などで皆にかわいがられることに向いている馬もいます。
(馬は賢くて、「この人は僕の世話をしてくれる人だ」
と相手を見てわかるという)
引退後、この吉備高原サラブリトレーニングを経て、岡山県の岡山乗馬倶楽部に
繋養され、地元の競技大会などで活躍している馬がいます。
エアソミュールも、その内の一頭です。
重賞2勝-- 毎日王冠(G2)、鳴尾記念(G3)
3着-- 金鯱賞(G2)、アメリカジョッキーC(G2)、産経大阪杯(G2)
(2014 毎日王冠)
2015年10月に種子骨靭帯炎のため引退し、吉備高原サラブリトレーニングへ。
今現在のエアソミュールは、岡山県の岡山乗馬倶楽部に繋養され、地元の競技大会などで度々入賞を果たしたりして頑張っているそうです。
TCC(サラブレッド・コミュニティ・クラブ)という引退後の競走馬を支援している団体もあります。
TCCは先日、TCCセラピーパークという施設を滋賀県の栗東に建設しました。
ホースセラピーを通じて支援が必要な子供たちと交流したり、競走馬を引退した
馬の「ホースシェルター」として活用する施設となります。
この「ホースシェルター」を使って、引退馬たちに「時間」と「場所」を提供しようとしているそうです。
これらの引退馬支援というのは古くからの課題ですが、具体的なアクションとしてはまだ始まったばかりです。
課題(資金調達方法など)もたくさんあるし、まだまだ世間に認知されているとは言えない状況です。
今大事なのは多くの人たちに、こういう取り組みがされているのを
知ってもらう事だと思います。