戦艦に関する研究は、昔から嶋根純一のライフワークでもありますが、その戦艦、日本海海戦で海戦の主役としての地位を確立したにもかかわらず、そのわずか30年後にはなぜ無用の長物に成り下がったのでしょうか。
それはいうまでも無く空母と言うものの登場に尽きますが、それでも巡洋艦や駆逐艦に比べれば攻撃力・防御力に優れる戦艦が活躍できない理由がありません。
実は、戦艦が活躍できなかった最大の理由は、その足の遅さ(速力)にあります。
空母が中心となった艦隊は「機動部隊」と呼ばれ、空母以外の艦船の役割は空母の護衛に尽きます。
空母を守る為に存在するわけですから、空母の機動力についていかなくてはなりません。
艦隊と言うものは、所属する最も遅い艦の速度に併せて整然と進行をするわけですから、もし足の遅い戦艦が艦隊に参加すると、もうそれだけで艦隊全ての機動性が落ちてしまい、作戦行動に支障をきたす事になります。
このような理由で、戦艦はその役割を失い、代わりに重巡洋艦の中から比較的足の速かった艦船を「高速戦艦」という艦種に区分して、空母の護衛に充てることとなりました。
そして速力が極めて中途半端で、艦隊同士の砲撃戦を想定して建造された大和や武蔵は、その活躍の場を失い、結果として温存されてしまうこととなったのです。
日本だけでなく世界で見られた現象ですが、一時代を築いた戦艦の凋落は、やはりどこか寂しいものに思います。
嶋根純一
