アイコさんの同行支援業務を終えて、ちび子は事務所に帰還した。
おかえりー。
半年前までアルバイトしていた事務所には、それぞれその日の業務を終えた先輩職員たちがいた。
リーダーのマッさん、ちび子の大学の先輩・ウメちゃん。そして、今回ちび子が退職すると聞いた日に、すぐに連絡をくれたタケ先輩。
先生に辞表を出した日、帰り道でバッタリと出会ったタケ先輩は、ちび子が辞表を出してきたと話すと、即座に言った。
〝ちび子ちゃん、空いてる日にウチにバイトに来ない?僕からマッさんに話しておく。ちび子ちゃんの事情は、知ってる。でも、僕たちは気にしてない。ちび子ちゃんが良かったら。〟
ちび子が、5年も一緒に過ごした事務所の先輩たちは、今回の事情を全部聞いても、ちび子を信じてくれた。
『就活しながらのアルバイトになるから、いつまた辞めるかわかりませんよ』
〝いいよ。一回でも、二回でも。〟
『こんなことになったのに、私が行っても大丈夫ですか?』
〝ちび子ちゃんが、悪いんじゃないから〟
そう言ってくれた。
この日、久しぶりのアルバイト。アイコさんの支援にちび子をつけて、先輩たちは事務所でちび子の帰還を出迎えた。
一日の出来事を報告して、ついでにババァに遭遇したことも話して。事務所内にいた他の職員たちも、〝えええっっ!!〟と驚いた表情を隠さなかった。
よく、続けられるね。一体どういう神経してるんだろう。
ババァの悪評たるや、ちび子の一件は関係なく、地元の主だった福祉法人では最初から凄まじいものだったらしい。そんないわくつきのババァをちび子の先生が雇ったと聞いて、みんな愕然としたそうな。
ちび子は大丈夫だろうか。皆で心配しているうちに、ちび子が病気になって休職→みっくが介入した、と瞬く間に噂が広まり。地元のみならず、ババァの関係してきた様々な各所には一躍有名なパワハラババァとなったようだ。
タケ先輩:ちび子ちゃんがウチのバイトを引き受けてくれたときは、嬉しかったんだ。
タケ先輩は、全てを承知で。ギリギリでちび子を止めたかった。支援者として。
本当は、ちび子は、この事務所に就職するつもりだった。先生から誘われて、1から一緒に頑張ろう、と、苦労を承知でいったのだ。タケ先輩たちは、すごく残念がってくれたけど、ちび子が夢を叶えるために、と送り出してくれた。ところが、ほぼ同時に先生がババァを雇ったと知り、ずっと心配していたらしい。
ちび子:私は、先輩たちにお世話になったのに、他所に就職して。こんな騒ぎを起こして。
マッさん:うん。僕さ、本当は。ちび子ちゃんは、もう福祉の仕事をやめてしまうんじゃないか、って思ってた。
ウメちゃん:それは違う!ちび子ちゃん自身が何か不祥事を起こしたワケじゃなくて!
マッさん:うん、わかってるよ。
本当に。ひどい出来事だった。
タケ先輩:それで?次に行くとこ、決まったの?
ちび子:いくつか応募してて…( ` 口 ´ )
マッさん:へー。なんて会社?
◯◯っていうところと、△っていうところと。ちび子が名前をあげると、マッさんがネット検索をした。
わっ!すっごく大きな会社じゃん。
マッさん:しかし。ここからめっちゃ離れてる。なんでこんな遠くに。
ちび子:こんなことになって、今更この近辺なんて行けません。
マッさんは、ババァが平気で勤めていることをあげ、やっぱり異常な人なんだね、と頷いていた。
タケ先輩:大丈夫?あっちこっちの部署に行かされたりしない?
先輩たちは、ちび子を心配している。
ちび子は話した。面接の時、配属される部署を明示されたこと。経緯も察してしまわれ、ほぼバレたこと。
ちび子:…で、3週間考えてみてね、って言われて、今向こうの返事を待ってるんですけど、何にも連絡無いんです。やっぱり難しいですかね、再就職( ` ー ´ )
ウメちゃん:…ねぇ、ちび子ちゃん。それってさ。
タケ先輩:うん。ちび子ちゃん次第、っていう意味だと思う。
ちび子:え?( ` 口 ´ )
マッさん:うん。向こうはね、もうちび子ちゃんに決めてるんだよ。で、ちび子ちゃんの返事を待ってるよ、っていうこと。ちび子ちゃんは、どうなの?
ちび子:…私は…( ` ー ´ )
あの会社での面接は、1時間半にも及び。ジムチョーさん、現場責任者の人も、ちび子が将来相談員の仕事をしたいことや、今はたくさん勉強したいこと、たくさん話を聞いてくれて、ちび子の今と、この先のこと、将来のことまで、一緒に考えてアドバイスを受けてくれたこと。
おかげでちび子は、自分がこれからやるべきことの順番が見えたこと。
ちび子:私…。あの会社に、行きたいな、って。そう思っています( ` ー ´ )
マッさんは、優しい眼差しでちび子を見つめた。
マッさん:自分から電話してごらん。
ちび子:え?で、でも。私がカンチガイしてるかもだし…( ` △ ´ )
大丈夫だから。頑張れ、ちび子!