自分の方向性を自身で見極めるためには、かなりの冷静さや自信が必要である。
ちび子の特徴、というか。彼女ときたら、幼い頃から常に、根拠の無い自信だけは人様の10倍くらい持っている。
自信?ちょっと違うな。ちび子はいつも、自己判断や行動力など、自分で考えることに長けているのだ。
みっくの親友からも応援され、なかなか手応えを感じていたらしいちび子。大学では間も無く始まる後期の授業のために、履修登録ナドの手続きが始まった。
手始めに。成績発表もあったのだが。
『全部クリアしたよ!( ` ▽ ´ )ノ』
結果の良し悪しは、さて置き(笑)
とりあえず、一つとして落とすこと無く単位を習得できたらしい。ちび子からは、早速成績表の写真が送りつけられてきた。
この日、朝一番の時間に誰よりも早く大学に行ったちび子は。少々ヒマを持て余していた。同じく友人から待ちぼうけを食らい、ボンヤリとしていたユミコと二人、『ヒマだねぇ』と他愛ない無駄話に花を咲かせていた。
しかし。ホントにヒマだ。カオリが来るまでにまだ一時間はある。
ちび子:ねぇ!ヒロシさんのところへ行こうよ!
ヒロシさんとは、とある教授の名前である。
気難しく、なかなか単位をくれない教授、受講生の6割は毎年再履修となる講義は難関として有名で。ちび子は試験では『てんでさっぱり。絶対に不合格だわさ( ` ▽ ´ )』などと吹いていたにも関わらず、フタを開けてみれば辛うじて履修完了となっていた。
実は私、すごーく疑問だったんだよね。なんで合格できたんだろう?
呟くちび子に、ユミコはちょっと驚いた顔はしたものの。同じく辛うじて履修完了となっていた彼女にも同様の疑問はあったようで。
教授の研究室を訪ねる、というちび子に、アッサリと同意をし、ヒョコヒョコとついてきたのであった。
ちび子:こんにちわぁ!( ` 口 ´ )
元気良くドアを叩くちび子。『はーい、どうぞ』という声に、遠慮無しに開扉し、ズカズカと入室したのである。
どうしたの?キミたちは合格したでしょう?僕の部屋に来る生徒なんて、まず居ないんだけど。
不思議そうに尋ねられるのも無理は無い。
ちび子:絶対落ちてると思ったのに、ヒロシさんの授業合格してたから。一体何点でクリアしたんだろうかと思って!( ` ▽ ´ )
ユミコも隣でコクコクと頷いていた。
ケーキを差し出され、食べる?と聞かれたちび子、もちろん遠慮無く頂く。モリモリとケーキを頬張りながら、そう尋ねたところ。
教授:キミたちは、ねぇ。試験の結果は悪かったんだよ?
ちび子:ふーん( ` ー ´ )
ふーん、って…。それだけかい(笑)
教授:…。まぁ、でも。レポートは大変良く書けていたし、加点をしておいたんだよ。だから合格できたんだからね。
ちび子:そーでしたか♩ありがとうございました( ` ▽ ´ )
パクパク食べながら笑顔のちび子とユミコ。コーヒー飲むか?と尋ねられ、『飲めなーい。お茶なら飲みたーい。』と合唱した二人に、なんてワガママなんだ、とボヤきつつ、ヒロシ教授はお茶まで淹れてくれた。
散々ケーキを食べ、お茶をすすり。エアコンの効いた研究室で雑談をし。途中でヒロシ教授の部屋を訪ねてきた別の教授は、『あ、お邪魔してまーす♩』と挨拶したちび子を、あんぐりと口を開けて見ていた。
ピロリローン♩メールの着信はカオリで。何処にいるの?と聞かれたちび子。
ヒロシさんのところだよ、カオリもおいでよぅ。そう返信したのだが、『絶対行かない』と即答が返ってきた。
教授:ところで、ねぇ、キミたち。何しに来たの?
ちび子:えー?カオリ来ないし、ヒマだったし( ` ▽ ´ )ノ
カオリが来ないのは、ボクには関係ないんだけどな。ヒロシさんはそう呟いてみたのだが、ちび子に鼻息で吹き飛ばされてしまった。
楽しそうにおしゃべりするちび子を見ながら、教授は言った。
教授:…ちび子は、勉強頑張りなさいよ?後期の授業もあるんだから。今日はそのお願いに来たのかと思ったよ。
出来の悪い子ほど可愛いと言うが。教授もそんな心境だったのだろうか(笑)
しかし、バカ娘の答えは見当違いだった…。
ちび子:えっ…?センセ、私たち、お金なんて払えないよ??( ` △ ´ )
教授:アホ!誰がソデの下を持ってこいと言った⁈
ちび子:なーんだ、チガウのか( ` ▽ ´ )
とんでもない生徒である…。
ブツブツと教授は何やら言っていたのだが、ちび子と来たら『ゴチソー様でした!あ、ヒロシさぁん、カオリのケーキも貰っていっていい?』と図々しいことを言いながら、返事の前にせっせとカバンに菓子を入れていた。
ホントに…。何をしにやって来たんだろう…。
飲み食いし、雑談を終え、『じゃあ、後期もよろしくお願いしまーす!』とスタスタと研究室を後にしたちび子たちを、ちょっぴり困惑顔で見送った教授だったのだが。
この電撃訪問、ちゃんと理由はあったのだ。
ユミコとカオリは、ちび子の『学生サークル計画』の賛同者であり。
やったこと無いけど、支援者の体験に行ってみたい!
そう言った二人に、ちび子は、とある利用者さんのお話し相手のボランティアを提案した。
その利用者さんは、重度の身体障害を持つ女の子で、ちび子たちと変わらぬ年齢。年頃の女の子は、お出かけもおしゃべりもしたいのだが、あまりにも身体の障害が重過ぎて外に出ることも出来ないのだ。
ユミコもカオリも、『行ってみたい!』と二つ返事だったので。ちび子としては、早速、自分の所属する事業所の所長に話を繋ぐつもりであった。
こうしたボランティア活動への希望を持つ学生と、支援事業所とを繋ぐきっかけに。ちび子は学生サークルの立ち上げを計画しているのだが。サークルのバックには、それなりのオトナを置いておきたいもの。
一つは、もちろん。みっくの親友である、支援センター長だが。ちび子が大学側の窓口として目を付けたのが、実はこのヒロシ教授なんである。
ヒロシ教授は、去年まで学部長を務めておられ、大学ではかなりの重鎮である。気難しくて学生たちには敬遠されているが、旗印には持ってこいである。ちび子は、勝手にそう計算しているのだった。
⇒もちろん教授には、一言も相談していない(笑)
それまでは、この距離を維持し。いざとなったら担ぎ出そう。ちび子の目論見は、着々と進行中なんである。