極、当たり前のことだが。
ノスケにも反抗期はあった。
最初の反抗期は。小学4年生だったか?
嵐の翌日。私が拾ったのは生まれて間もないとおぼしき野鳥のヒナ。子供達の下校時刻間際だったので、思わず連れ帰った。
ノスケは自分の障害に自覚を覚えた時期。
『どうせ僕はオカシイんだ』
…すっかりクサっていた。優しいノスケは、何処へ?
『水も飲めない。何を食べるのか解らないの。』
そう言って。私がヒナをノスケに差し出したとき。ノスケは本当に驚いた。
手の平の上で震える、小さな小さな命。ヒナは驚くほど温かかった。
ノスケの瞳が輝いた。
『助けないと!』
ノスケは必死だった。ヒナは、嘴を突くと。時折チラリとノスケを見るが、あとは反応しない。
すり餌を与えようにも、嘴を固く閉じたまま。ヒナは段々弱っていくようだった。
『お母さん、ヒナが死んでしまう…』
…ちび子が。エアコンのスイッチを入れた瞬間。ピピっと操作音を聞いたヒナが。大きな声で。
ピリッ!
と鳴いた。
ノスケは餌を嘴に近づけ、もう一度エアコンを。
ピピっ。
『ピリッ!』
嘴を開けた瞬間。餌を押し込むと、ヒナはゴクンと飲み込んだ。ノスケを見て、ピリピリと鳴き続ける。
『お母さんだと思われちゃったね』
ノスケは本当に嬉しそうだった。
ノスケは毎日ヒナを育てた。
その後、ヒナの正体が解った。
ヒナは保護鳥だったのだ…。
『イヤダ!家で飼う!』
ノスケは泣き叫んだ。ヒナはノスケが名を呼ぶと飛んでいく程懐いていた。
ノスケに野鳥の生態を見せた。ヒナの、本当の仲間を。
『ボクが仲間になるから!』
と泣くノスケ。野鳥図鑑を見ながら、一週間泣いていた。
そして。ノスケはヒナを帰すことに。
慣れたヒナは。カゴから出ても飛んで行かない。
ノスケ:さようなら。友達と行くんだよ。
ヒナは。しばらくノスケから離れなかった。
そして、真っ直ぐに森へ飛んで行った。
ノスケ:鳥は鳥の仲間が1番幸せだよね…。
でも。私は知ってる。ヒナはノスケの大切な友達だったよ。
ノスケは投げやりな言葉を言わなくなった。
小さな友人は、ノスケの心を救ってくれた。
命は。全て等しく。
尊いのだ☆