黙阿弥とは江戸時代末期の狂言作家です。
オペラは文明開化になって西洋文明を取り入れオペラやろうとする
動きがあり
この二つが思いもかけぬ出会いを経て混ざり合う・・。

舞台はちいさな柳橋の壊れそうな蕎麦屋のみ。
でもこの筋立てのすごさ。展開のよめなさ。
笑わせて泣かせる そしてさまざまな事を教えてくれる。
さすが井上ひさし。

あ、藤原君が主演かと勘違いしてました。主要キャストの一人です。
ほんとうは別のお芝居をする予定だったのですが井上ひさしさんが倒れ
これを上演して欲しいという事になったそうです。

印象的だったのは
木戸銭を一年ためてお芝居を見に来てくれる人への狂言作者の愛。
これは井上さんのお客さんへの愛を出演者の口を
借りて言ってるんですよね。
それが熱い。とても熱い台詞。

そしてそれを裏切るような仕事はしてはいけない。
急ごしらえは薄くなる、薄い所から破れる。
ああ耳に痛い。 
公演ぎりぎりまで戯曲をつくっているという井上さんの仕事は
妥協しない仕事。芝居への愛なんでしょうね。
伝説をいくつも作ってるからなあ。

あと、ご恩送りという言葉。
 自分が受けた恩を他の人へと返す事。
自分が観客からうけた賞賛を若手へ役者へと投げて行く事。
自分が育ててもらった恩を自分の働きで返す事。
 海外でオペラをみせてもらった恩を西洋音楽の普及として返す事。

国への愛 国へ返す愛 国への愛を育てる事
明治維新 鎖国が無くなった時代だからこそ それが切実だったんでしょう。
今の日本も第二の開国みたいになってる気がします。

本格的に英語をしゃべらなきゃ、とか逆に本格的に日本の文化をみつめた方が
とかいう事になっているんじゃないかと。

タイトルの印象は私はなんとなくシリアスで難しそうに感じたのですが
全然です、さすが井上ひさしさん。

つくづくおしい才能を日本は永遠に失ってしまったのだと実感してしまいました。