死ぬのがいいわ
死ぬのがいいわ

藤井風「死ぬのがいいわ」

藤井風の歌詞が頭にこびりついて離れない。
なかなかキャッチ―なフレーズである。
最初聞いたときは、ドキッとしてしまった。

「死んでもいいわ」でもなく
「死ぬのもいいわ」でもないところに
センスと説得力があるなぁ、と感心してしまう。

ここ数年、音楽はSpotifyで聴いている。
無料会員なので、曲のダウンロードもできないし、曲をスキップすることもできない。
曲と曲の間に広告も流れる。

でも車の運転中に聴く分にはなんの問題もない。
広告もいちいちおもしろいので、むしろ聴きたいくらいだと小4の娘も言う。
もっとつまらない広告にしたほうが、有料会員が増えるかも、と思うくらいだ。

 

先日、家族でドライブに行った。
BGMはSpotifyの「Top 50 JAPAN」である。
子供たちはボカロが好きらしいが、とりあえずこれをかけておけば家族のだれからも文句は出ない。

 

Bluetoothで車のオーディオとスマホをつないで聴けるなんて、本当に便利な世の中だ。
AdoとかYOASOBIとか髭男とかを聴きながら、一時間くらいで目的地に到着。

 

目的地についたら、そこでもAdoとかYOASOBIとか髭男とかが流れていた。
娘は「これSpotifyの同じチャンネルじゃない?」と。
まあ、どの配信サービスを使ったとしても人気の曲は変わりないだろうから、Spotifyじゃないかもしれない。

 

でも、もしここで
「スキップ無制限、広告なしの音楽を楽しみたいならプレミアム会員!」
なんて広告が観光地でわんわんと鳴り響いたら、それはそれでおもしろいかもな、なんて思ってしまった。
そんなこと、ありえないけど。

 

中学生の息子は、SpotifyではなくYouTube Music派だ。
推しのVチューバ―の曲が、多く配信されているらしい。
しかもPremium登録しているので、毎月980円をおこづかいから天引きしている。
おこづかいは基本1000円なので、息子は働かないと20円しかもらえない。

 

毎朝の洗濯をして、実際は月に何千円ももらってるくせに、
「おれ、おこづかい20円しかもらってねえ!」
と、よその人には虚偽の申告をしているから、たちが悪い。

 

わたしがまだ、はたち前後のお姉さんだったころ、うん、30年くらい前の話。
音楽はCDを購入するか、ツタヤとかGEOで借りてきて聴くのがふつうだった。

 

定期的に何枚もCDを借りてきて、カセットにダビングして聴いていた。
それが一番リーズナブルに、音楽を楽しむ手段だったと思う。
曲順と曲名は手書きだ。

やる気があるときは、好きな曲だけをピックアップしてダビングし、マイベストを作っていた。
友達も同じようにオリジナルのベストを作っていたので、人の車に乗るときのお楽しみでもあった。
あ、マイラバある、Coccoもいいねぇ、とか。

それをお供によくドライブに行ったっけ。
いろんな話をしたなぁ。
だって、いろんなことがあったもん。
そして、いろんな曲を聴いた。

 

いま、Spotifyでもその頃の曲は聴ける。
ドリカムもプリプリも平井堅も、サザンだってマッキーだって尾崎豊だって、聴ける。
でもわたしは、ひとりで車に乗るときも「Top 50 JAPAN」をかけることが多い。

お姉さんだったころ毎日聴いていた曲には、あまりにも濃い思い出がつまり過ぎている。
聴くと、ふだん使っていない部分の脳が活性化して、オーバーヒートしてしまうみたいな感覚に陥る。

鼻から水を吸い込んで鼻の奥がツーンとするときのように、胸の奥がツーンとして、ツーンとし過ぎて、なんか苦しくなる。
BGMじゃなくて、その曲がメインになってしまうのだ。

その曲を聴いていたころにつきあっていた人、友達、想い、季節感、罪悪感、羞恥心、そんな思い出が一気にぶわっと押し寄せてくる。
まるで、10代、20代で聴いていたカセットテープにしみこんでいた想いが解けて放たれるかのように。
音源が、30年前には考えられなかった、まさかのスマートフォンであっても。

 

だから、わたしにとって気持ちを持っていかれない新しい曲を聴くのが、心おだやかでいられる秘訣である。
いまの曲にも、いい歌がいっぱいある。
新しい感覚の曲調や歌詞に触れると、わくわくする。
そして純粋に感心するのだ。

最近は、King GnuとAdoが好き(告白)。

 

曲をスキップできない無料会員なので、あんまり好きじゃないなと思った曲もずっと流して聴いている。
そして今、とても気になっている曲がある。

アラジンのように魔法の絨毯に乗って
迎えに行くよ 魔法は使えないけど
お金もないし 力もないし
地位も名誉もないけど
君のこと離したくないんだ

川崎鷹也「魔法の絨毯」

歌もうまいし曲もいいけど、とにかく歌詞が気になる。
どうしてこの曲がずっと長い間Top 50に入っているんだろう。
日本の女子たち、大丈夫かな、っていう感想だ。

 

もし娘が紹介したい人がいると言って、連れてきた男性がこんなこと言ったら、わたしは、うーん、二人とももう少し考えて、って言うかもしれない。
いや、謙遜してるだけかもしれないけどね。

でもわたしは、お金もないし、力もないから、これから頑張って力をつけて君を迎えにいきます、っていうほうが好きだな。

 

ところでSpotifyで、ちあきなおみは聴けない。
いつか聴ける日がくるといいな。
CD買えよ、って話なんですが、もう車にはCDプレーヤーすら載ってない時代なのでね。