鋼の小片を上手く組んで刀を鍛えるときに問題があります。
小片と小片の間がきちんと一体化できない可能性もあります。
つまり、鍛接線がどうしても出てくるからです。
薩摩刀では鍛接を確実にするために溶鉱炉でつくった銑鉄を上げ鍛えのときに上から染み込ませたといわれており、薩摩の芋弦といわれる刃境の金筋はこの銑鉄の入った跡と考えられています。
ちなみに薩摩刀はわりと刃こぼれしやすく、錆びやすいといわれており、銑鉄の品質が低かったせいなのかもしれません。
和銑の品質の高いものが手にはいるならば同じ事を
しても結果がもっといいはずです。
中国古代の鍛冶技のひとつの技法で鍛接する鋼の板を数枚縦に並べて針金でしばって一番上に銑鉄の小片を載せて火炉で強く銑鉄だけが溶解するようにして鋼の板の間に溶けた銑鉄を染み込ませて接着剤とする方法があります。
おそらく東アジアでは銑鉄をこのように使うということが昔から行われていたようです。
相州伝の金筋は一部はこのようにしてできたのかもしれません。
いまその実験の計画中です。