鋼と炭素量の関係 | ―正宗の名刀は再現できる―

―正宗の名刀は再現できる―

自身を「スーパーメーカー」と称する鋼の研究者、古屋道正です。
世界に3人しかいないダマスカス鋼の再現者の一人です。
鉄・鋼に対するあくなき探究心を、ブログに少しずつ書き記していきます。名刀細川正宗は再現することができることを知っていただけることでしょう。

 白紙1号の厚さ6ミリの板と白紙2号の同じ厚さの板を鍛造して包丁を2種類つくってみました。


 もちろん 鍛造は650℃と850℃のあいだの温度で自分でハンマーを振るって形をつくっていくのですがこれがまた難しい。


 しかしめげずに叩いてなんとか形に近くもっていってあとはグラインダーで削り最終的な形にしました。


 すこし傷が残るのは仕方ありませんが棟側にあっても気になりません。


 刃の側は完璧な形に仕上げて焼き入れをするわけです。


 もちろん焼き入れ前に球状化焼きなましは必ずやります。


 そしてサブゼロも焼きもどしも完璧にやってそのあとの鋼の違いをみるとこれはびっくりです。


 白紙2号はだいたい炭素量1%ですができた包丁の刃はやや柔らかくて甘い感じがします。

 白紙1号は炭素量1.3%ぐらいですが、この0.3%がとても大きな違いを作り出すのです。

 白紙1号の包丁は刃が引き締まって決して甘かったり刃がまくれたりしません。


 長切れします。最初の研ぎ上がりの状態がいつまでもつづくのでこれはすごいと感嘆することしきり。


 岩崎航介氏の感想にある通りです。


 白紙1号は非金属介在物がいまは日本のハイテクでゼロにちかいようです。


 だからどこにも刃が欠ける要因がない。

 長切れしてしかも脆くない刃になります。


 これはすごいことですね。カミソリや刺身包丁のような刃物には最高ですね。


 ただここまでには失敗がたくさんあったのでそれは次回、



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