完璧な純炭素鋼を造ろうと志を立てたのは我ながら殊勝であったが電気炉での製作実験はそう簡単ではなかった。
坩堝に電解鉄と純炭素をいれて電気炉で真空溶解すると構想したのはよかったが実際の実験は電気炉の選定とから始まった。
電気炉の内部を真空にするときに発熱体が坩堝と一緒に内部にあると なんと鉄の蒸気がショートをおこして電源が落ちてしまうのである。
この電気ショート現象は何回やっても同じであった。それで電気炉の特注を受けてくれた製作会社と相談して発熱体は外部におくように変更した。
しかしそれだけではうまくいかずさらに新たな困難が待ち受けていた。これは26年も前の時代なので仕方なかったのかもしれない。
以下つづく。
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