素敵な親子 | つぶやきブログ

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孫ができました

そんな時代があったのだろうか。

 

先日、車の信号待ちのわずかな時間に、素敵な親子を見かけた。

無造作に茶髪に伸ばしたまだ若いお母さんが、よちよち歩きの子どもの手を引いて歩いている。

散歩だろうか、雨上がりの少し寒い朝だった。

ほんの少し歩くと、何を思ったのか、子どもが街路樹に歩み寄って止まった。

葉っぱに付いた雨水が面白かったのか、小さな虫に心奪われたのか、街路樹のそばに座り込む。

どうするのか見ていると、母親は何か話しかけ、それにつられ子どもも立ち上がりまた一歩歩く。

そしてまた街路樹のそばに行き座り込む。

なんとなく興味があり、じっと見ていると、母親は再度何かを話しかけ、また歩き始めた。

そして、また一歩歩くと、街路樹のそばに子供は座り込む。

どうするのだろうと思い、見ていると、母親はにっこり笑い、今度は子どものそばに座り込んで何かを話し出した。

そのあと、しばらくは動かず、時間が過ぎていった。

私は信号も変わり、車を出したが、まだ二人は街路樹のそばで座って話をしている。

ゆったりした時間が二人には流れているようだった。

普通なら、肌寒さに、手を引っ張って前に進もうとする一コマだが、その日は違った。

ゆっくり子どもに寄り添う母を見た。

子どものペースで歩き、子どものペースで物事を見、子どものペースで時間を過ごす。

こんな素敵な時間を、私は子どもに与えてきただろうか。

 

いつから忙しい時間の波に乗せ、いつから子どもの世界を壊し続けたのだろうか。

今頃、後悔しても遅いかもしれない。

 

だから、子どもの心は離れてしまった。

もう、取り返せない。

 

幸せには程遠い人生だけれど、その日の朝は、なぜか嬉しかった。

こんな素敵な親子に出会えて、自分の心も洗われたような気がした。