中南勢音頭通信 (しょんがいの巻)13 山川正治 | 私が言っては遺憾会(中南勢音頭通信)

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「桜川五郎蔵」 後年、好んで取り上げられた演目である。おそらくは京山子円あたりのアレンジであろう。あまりにも、完成された「文衛門」に比べると、これから音頭の勉強をという身にとっては、まさに宝箱であった。
 

 

さらに まくらの二編について、
 

 

「変わりましたよこの世の中は」
 

 

この主題のまくらは 他の人もそれぞれ工夫を凝らし 演っておられるが、この文句は山川氏だけのものであるから自作されたものであろう。
 

 

「二度とするなよ戦争は」 
 

 

この作者は、中津賀仲(19121996 高須町)氏。学校長を務められた方で 大泉幸平(19111996)氏の近所であり、幼なじみ。大泉市の依頼により書きあげられた。もちろん大泉氏が自分のレパートリーとしていたが、山川氏が気に入り、たつての希望により、山川氏のレパートリーに加わることなった。このことを大泉氏はこう語っておられた。「よこせよこせと あんまりやかましいもんで 書いたったんや」と。このまくらを山川氏はときに ― 負けたのう 戦争は 誰がした ― と唄いだすこともあった。大泉氏もまた ― 負けた苦労は どんぶり鉢 ― と演られていたのを覚えている。
 

 

それにつけても この二つのまくらを聞いてみて、この時代、この年代の人たちの敗戦への挫折感、喪失感はやはり我々世代の想像では計り知れないものがある と思えるのである。、