前回年度末の午後半休を満喫した僕。


この日のメインイベントはずっと公開を楽しみにしていた作品で。



浅野いにお原作

『零落』


原作者の漫画家浅野いにお。

もはや僕の高校時代のバイブルと言っていい、愛してやまない漫画家だ。


彼の作品は基本的に終始憂鬱で、救いなどはなく、淡々と日常の中で落ちに落ちていくみたいなものが多い。


過去に映画化もした『ソラニン』は有名だと思うが、あの作品だけが唯一浅野いにおの良心と言っていい作品だと思う。


それ以外は全て陰鬱で読んでいて疲れるし落ち込む。

それが浅野いにおの真骨頂だ。

(散々)


しかし彼の描く人物、心理描写はそのどれもが人間らしい。


救いようがなくて、孤独で、自分勝手。

そんな登場人物を見ているとどこか自分も許されているような気がして安心するのだ。


今を頑張りすぎている人や、頑張ることに疲れた人には浅野いにおをオススメしたい。


そういや人間ってそんなもんだったよなぁ。

を再確認できて安心する。


そんな落ち込みに寄り添う癒しが浅野いにおにはある。

(一緒に堕ちていく感覚)


皆様お察しの通り万人受けする作品ではないので映画館も大型劇場では上映しておらず。



テアトル新宿まで足を運んだ。


こちらテアトル新宿。

日本映画の今を写し出す邦画専門館ということで。


独自の上映ラインナップが話題となり多くの映画ファンを惹きつける映画館だ。


館内に足を踏み入れると早速ファンコーナーが!



浅野いにおファン歓喜…!!!


僕以外にも写真を撮りまくるファンが多く、交流の機会ではあるのだが、基本的に浅野いにおファンは他者といきなりコミュニケーションを取るようなことをしない。

(偏見の塊)


あんなに陰鬱で、ジメジメとした作品を熟読して癒されるような人間性の持ち主が初対面の人間に対してフレンドリーに心を開くなどということはありえないのだ。

(自分へのブーメラン)


みんながどこか日常に辟易した様子でファンコーナーを楽しんでいる。


映画の宣伝を見ればその雰囲気は一目瞭然である。



これの公開を楽しみに待つ人たちですよ?

(前売り券も買った)


今回鑑賞のこちら『零落』

元人気漫画家が手にした、堕落への片道切符!

を冒頭にこのようなあらすじになっている。



(零落HPより)


もうこんなストーリーに癒しも感動もあるわけがない。

(しんどい)


実際見終わったあとも涙など一滴も出ず、ただただ疲労感と何とも言えない安心感があった。


これが浅野いにおの醍醐味なのだ。

(陰鬱とした人)


そしてキャストが原作と瓜二つで、世界観を活かし切っていたのがすごかった。


何とも見応えがあり、人間らしさに震えた作品。

ファンとしても納得の仕上がりだった。


テアトルではコラボドリンクも発売されており。



うん。

コラボドリンクって普通もっと可愛いものなのでは?


コラボドリンク!

とキャピついた色をしていない。


まどろみソーダ。

濁っている。

コラボドリンクなのに。

濁っている。



もちろん飲むんだけども。


お洒落な味がするカルピスソーダだった。

(味わいは爽やか)


帰りがけにはしっかりパンフレットも購入。



夜な夜な熟読しさらに落ち込んだ。

(そういう癒し方です)


午後半休の使い方がこれでよかったのか甚だ疑問ではあるが、大満足の映画鑑賞であった。


やっぱり映画はいい。

次は何を観に行こうかな。