同僚と銀行に行った際、自分は中座し外で携帯電話で話をしていた。
人通りを避け通りの中央分離帯で少し話し込んだ。
電話をきったとき、怖いお兄さんが近付いてきてこっちへ来い、
という。
「タウンオーソリティ」の身分証をぶら下げている。
「お前は違反したから、ここで罰金を払え」
中央分離帯で電話をしていたことが悪いらしい。
以前中央分離帯の芝生の上を横切ろうとして
同僚に注意されたことがある。
だから、芝生の中には立ち入っていないし問題ないはずで、
単なる言いがかりだと思った。
実はその場にいる、「タウンオーソリティ」に同じように罰金を
請求されている人々の逆恨みもあるようだ。
「なんで自分たちだけが悪いんだ。あの中国人(私のこと)は
この町でさんざん商売して私たちからお金を巻き上げて
商売をしているんだから、あいつからもとれよ。」
銀行にいる同僚を呼びに行こうとしても、ここから離れるな、と
群衆から言われる始末。全く嫌われたもんです。
そこで、プロジェクトの同僚に電話し、助けに来てもらった。
同僚が「タウンオーソリティ」に私の立場を説明し始めると、
ぐっと群衆の輪がせまくなった。
たちの悪いのは「タウンオーソリティ」だけでなく、
騒ぎ出す群衆もである。
同僚が、「罰金を払うにもレシートを受け取る必要がある。
レシートを発行できるあなたのオフィスに行こう」と提案し、
「タウンオーソリティ」とともにその場を離れることに成功した。
群衆から逃れたところで、同僚が改めて私が日本人であること、
商売ではなくプロジェクトを進めていることを説明すると
担当者はもう私からお金をとる気はなくなったようである。
最初は100キナ(3,000円)、同僚が来てからは
20キナ(600円)を要求していたが、それもちゃらになった。
この町の暮らしもなかなか油断がならない。
同僚を待つ間、私を助けようとしてくれた女性がいた。
約1年前、車を借りたレンタカー会社の女性事務員である。
これまでも町で何度か見かけては挨拶をしていた。
通りかかって私が群衆に囲まれているのを見て、
助けようと声をかけてくれた。
却って彼女に危害が及ぶのが怖かったので、
同僚を呼んでいることを伝え
その場を去ってもらった。
女性に助けられるのは男性としてどうかとも思うが、
勇敢な女性だと思う。
やっぱりこの町やこの国の人が好きである。