第一夜からの続きです。
私とたけさんは黙りこんだ。そりゃそうだ、私は足を掴まれた感覚(紛れもなくガシッと掴まれた)と、その弾みで転倒して呆然とししつつ、たけさんは私の転倒した姿と、無数に畳の上に散乱した髪のような黒い糸…、その数が半端なく、おびただしく散らかった様子を見て驚いていた。
私の心境は穏やかではなかった、今すぐにでも家から飛び出したい気持ちで一杯でした。
『たけさん、おかしくない?』
『…』黙り込むたけさん。
『…』黙り込むたけさん。
しばしの沈黙後、そこに触れたくない訳ではない様子でしたが、沢山の荷物を運んでしまった後の、この奇妙な出来事でしたが軽トラックに積んでいる最後の冷蔵庫を運ぼうと、たけさんは言う。
たけさん、この家にこのまま住んだら、一体どうなるのやらと、焦ってきてしまった
のですが、そこに意識しても正直私も関わりたくない家かなと、不謹慎にも冷蔵庫を運びながらそんなことを考えていました。
しかし、たけさんは荷物を全部運んだ後、やはり気になるのか畳の上に散乱している髪の毛をおもむろに拾いあげた、たけさんはマジマジと見つめながら怪訝そうに見ていました。
『これって人形の髪の毛だよな…』
とたけさんが言う。
私はもうどうでも良い心境で、早く帰りたい気持ちでしたので、適当に『以前ここに住んでいた方が人形を忘れてしまったのかな』と言う事を言ったと思います。
するとたけさん、『この家、どう思う?』
と私に答えを求めてきました。
私は黙っていました、これからたけさんが
このお家に住まわれる事もあり、色々と考えてしまった為、正直何と言ってよいのか答えに困ってしまった。
『麻衣が見たと言うんだが…』と先週の日曜日にも彼女と少しずつ荷物を運んでいる時に、二つ折りの携帯電話を開いた際に、おかっぱ頭の着物を着た人が携帯電話の液晶画面に一瞬見えて、もの凄く叫んだらしい。
『たけさんは何かあったんですか?』
と聞いてみると、『まだ契約前に脱衣所の洗面化粧台を見ていると、一瞬化粧台の鏡に赤い着物を着ているおかっぱ頭の女性が見えたものの気のせいだなと…』
そのような会話をしていると、私達の居る居間の電気がチカチカとし出した。
その日はどうするという事もなく、引っ越しの荷物を運び終わった後に帰路に着いた。
その道中に、車を運転していたたけさんへいつ頃住むのか聞いてみると早くて10日以内には住みたいと考えているとの事だった。
このような話を聞いて、更にたけさんに色々お話しを聞いてみると、ローカで誰かが歩いている影もみたというので、
何かあるのだろうなと確信しながら、その日は帰宅しました。
そしてたけさんは、10日後予定通りに引っ越しをして実家を離れた。
たけさんが引っ越しをして直ぐだったと思うのですが、私は不思議な夢を見ました。
土の中に人形が埋まっている夢を見ました。また、違う日には土だらけの人形が私をゆり起こす夢をみたりもありました。
それから暫くしての日
私の携帯電話に電話が入った。
電話の相手はたけさんだった
私は何故かもの凄く胸騒ぎがして、しょうがなかった。