垣添ちゃん最後の稽古後に十両取組があり、それが終わるといよいよ断髪式に入ります。
十両取組中に西花道に控えていた垣添ちゃん。
赤いカーペットが用意され、土俵に上がると一礼。
まずは全国藤島部屋後援会会長の北尾武氏からご挨拶がありました。
入門前に膝に大怪我を負い、爆弾を抱えながらも全うした相撲人生のお話を伺いながら、
すでに最盛期を過ぎてからの「垣添の相撲」しか知らない私が
何故こんなにも垣添ちゃんに引き込まれていたのか、今更ながらハッとする思いでした。
基本、土俵上の垣添ちゃんしか知らない私です。
(※「ちゃん」付けで呼ぶこと申し訳ありませんが、どうしても「ちゃん」をつけたくなるのです。すみません)
立合い、つっかけまくってひどい時には4回も5回もつっかけ、
審判部長に厳重な注意をされる垣添ちゃん(笑)
でも、勝っても負けても常に自分の気持ちを全て出してぶちかましていった垣添の相撲は、
いつ見ても私に元気を与えてくれるものでした。ほんとにほんとに大好きでした。
満身創痍でズルズルと幕下に落ちて行き、見るからに体に張りが無くなった中でも、
精一杯気力を振り絞って土俵に上がる垣添。
2012年大阪場所。最後の場所は7戦全敗。
最後だけでも一勝を・・・と願ったけれども叶わなかった白星。
でも全力で闘い抜いた黒星は、安易に決めるような白星とは比べ物にならないほど、ずっとずっと貴い黒星でした。
(垣添最後の相撲~平成24年春場所13日目:前郡山戦)
集まったお客さんでほぼ一杯の国技館。正面二階席も学生さんたちでほぼ埋まっていました。
こんなにもたくさんの人たちに支えられていたとは。来場叶わぬ人も多かったことでしょう。
会長ご挨拶が終わり、断髪式が始まります。
介添え人は木村庄太郎さん。
北尾会長がまず最初に鋏を入れました。
(土俵下に控えるカメラマンと一緒に)
約250人の方が鋏を入れたそうです。
中にはボクシングWBAスーパーフェザー級王者・内山高志氏なども。
あの下町のナポレオン「いいちこ」の三和酒類株式会社も、
大分県宇佐市が本社だと初めて知りました^^;
ハンドボールの宮崎大輔選手も鋏を入れていました。
たいていの方は形だけの切り方でしたが、途中ザックリ切る場面もあり、見ているこちらが焦りました。
髪の毛の小さな塊が垣添ちゃんの肩にハラハラ落ちるたびに、庄太郎さんが手で払っていました。
少しずつ、後ろの鬢がささくれだっていくのが見えて、なんともいえない気持ちに。
クライマックスへ。垣添ちゃんの弟さん。
甥っ子さんも一緒に。
お父様。
出羽海一門親方衆を代表し、千賀ノ浦親方(舛田山)。
力士会代表、横綱白鵬。割れんばかりの拍手で迎えられました。
稀勢の里(登場した理由を失念・・・五月場所で活躍したから???)
出羽海一門力士を代表し豪栄道。
同じ日体大出身者、後輩の嘉風。
そして藤島部屋力士を代表し、翔天狼。
元師匠である第57代横綱・三重ノ海、石山五郎氏が壇上に上がると、ひときわ大きな拍手が・・・。
この時、ニュースによると垣添ちゃんも涙ぐんでいたそうですが、遠目には気付きませんでした。
最後に、現師匠・藤島親方(武双山)による止めバサミ。
ついに、髷が切り落とされました。
四方に礼をする垣添あらため雷親方と、藤島親方。
西の花道からは奥様と長女・星空(せいら)ちゃんの姿が。お母様もいらっしゃいます。
花束を受け取る雷親方。
実は、お義母様が今年の春に突然亡くなられたそうです。奥様が遺影を手にしています・・・。
遺影に額をつけて報告する垣添ちゃん・・・
感動の断髪式もいよいよ本当のクライマックスへ。土俵だけがスポットライトを浴びて浮かび上がります。
テレ朝アナウンサーの飯村真一氏により、垣添の現役時代を今一度振り返ります。
新十両を決めた豊桜戦の実況があり・・・
ついに花道を去って行く垣添ちゃんでした。
一度振り返り、手を振ってお別れ。
相撲経験者である奥様そしてご家族のサポートも、
垣添ちゃんにとってはなくてはならないものだったことでしょう。
魂の相撲を取り続けてくれて、ありがとう。私には垣添ちゃんが、いつも誰よりも輝いて見えました。
垣添ちゃんの姿がテレビに登場しただけで、自分の目も輝いていたと思います(笑)
これからは垣添ちゃんのように懸命に土俵に上がり続ける力士を育てていってくださいね。
親方としての垣添ちゃんも末長く応援しております。
現役生活、本当にお疲れさまでした。
この日、切り落とされた髷は二つ。土俵上の主役のほかにもう一人。
なかなか見られない光景なので、リンク↑をクリックしてみていただければ。
断髪式当日に発売となった、垣添ちゃんの著書「美しい黒星」。
翌日、書店で買いました。少しずつ読み進めています。
奥様のインタビュー、元剣武・宮本一輝さんのインタビューの間に、垣添ちゃんの書き下ろし。
現役時代までの垣添徹のエッセンスがちりばめられた一冊です。