新聞記事やテレビニュースで、40歳以上の人のひきこもりについて初めて調査したことが報じられているな。

ひきこもりの問題は発達障害や精神疾患、親子共依存の病理まで、多岐に渡る背景が各家庭にあるから、池上のおっさんのように一言で「ざっくり」言えない難しいテーマだ。

この報道が出る直前に読んで、報道を知って本とのシンクロに驚いた一冊を今日は紹介したい。

本とのシンクロ、といえば、辛坊治郎さんの近刊を読んだ日の夜の池上さんの番組のネタが、辛坊さんの本そのままで驚いた。

これはただ単に二人の目の付け所が同じなだけだったのか、池上さんが最近「有識者」から訴えられているように辛坊さんのネタをパクったのか。

俺には後者の方に思えるな(笑)

おっと、話がそれてしまった。

 

ルポ ひきこもり未満 レールから外れた人たち(集英社新書)

この著者も偶然池上さんという。「彰」さんに次いで「池上」姓では有名な方ではないか?

……それはいいとして。

天使界では今、「天使長に就任早々、同じタイミングで人間界に降臨している池上彰氏に張り合い過ぎ」(某天使←新聞の政治面風に)と俺に対する懸念の声が聞かれていてな(苦笑)

 

著者はひきこもり研究・支援の第一線で活動されている方だが、プロローグとエピローグに紙幅を割いて書かれているように、ある一人の男性の自殺に大きく心を動かされたように思える。

仕事もポツポツとしてきたとある中年男性。

今はひきこもりだと著者に相談するメールを送り、実際に男性に会ったことから話は始まる。

著者も彼に手を差し伸べようとしたのだろう。

しかし彼は、その手を振り払った。

いや、つかみかけていたのかもしれないな。

アルコール依存症の父親に、共依存の母親という絶望的な家族環境。

公団住宅なら審査がゆるいと、しかも家賃が安くなると「事故物件」を自ら進んで探して住んでいた。

しかしこの本で紹介されていて俺も驚いたのだが、今はそういった「事故物件」を歓迎する方(歓迎というか、困窮してそこを進んで探す方)も多いらしく、1年とか2年で事故物件の効力を失い、家賃が通常の値段に戻ってしまうそうだ。

彼は家賃が高くなってしまうタイミングに合わせて、新たな事故物件へと何度も引っ越しした。

彼にはわずかながら蓄えがあった。

生活保護は受けたくないというプライドがあった。

そして著者に「蓄えが尽きたら自殺します」と予告していた。

きわめて知的に論理的に「自殺する以外に何も方法がない」と。

しかし著者とのコンタクトは頻繁にとってくれるので、すぐさま自殺の危険が迫っているとは著者も考えていなかったらしい。

 

その男性が変化する兆候はあった。

しかし、つぶされてしまった。

ひきこもり当事者が集まって語らう試みを自分で企画したのだ。

最初は上手く行ったのだが、数回目の集まりで、乱入者が入ってきてイベントをメチャクチャにしたという。

著者も彼も本の中ではトーンは控えめだが、「遅刻して入ってきて、一人で演説を始めて止むことがなかった」というこの乱入者に、男性は心を大きく挫かされたに違いない。

読んでいて俺は、このイベントでの「事故」が、自殺の大きな伏線になっているのではないかと感じた。

 

そして彼は、救いようのない老両親に電話口で今までの恨みつらみを罵り倒した後に自殺した。

本も「自ら命を絶った。」で、あとがきもなく突然終結している。

著者の無念がよく伝わってきた。

俺も本が突然このような著述で集結して、本を閉じてしばらく考え込んでしまった。

レオン「ずっとクロムに一人語りさせているけど、この本はその方がいいと思って。僕も宇沢弘文として最近まで生きていた人間として、このような人から同じような相談があったら、どう対応したか、自分が相談に乗っても彼は自殺してしまっただろうかとか、色々考え込んでしまったよ。」

 

2004年、2007年、2015年と、三度も自殺してそのたびに復活した人間として俺は思う。

彼の「自殺」は、「良くないこと」だったのか?

彼がこのまま生きていても、「良くないこと」ばかりが襲ってきたのではないか?

とはいえ、彼も著者を起点として心を開ける人に出逢えなかったものか。

もちろんここまで彼に不運が重なったのは過去世のカルマも影響しているが、思考パターンを変えられたら世間を恨んで自殺することもなかった。俺が言えたことではないが、逆に経験者として気持ちは分かるぞ。

(この容姿ははじめましてだったか?最初にソフトなクロムを出したが、普段の俺は結構むすっとしているし、冷酷だし怖いぞ。)

俺が彼の自殺の大きな伏線になっていると思うひきこもり当事者が集まる試み。

本当にこういう人が集まるもののイベント設定・構築は難しい。

参加者を限定しないと、必ず変な人が入ってくることは分かる。

 

そして、彼の自殺の遠因として、家賃が安いと「事故物件」にばかり住んでいたことももちろんある。

彼と同じように亡くなった亡霊に引き寄せられてしまったのだな。文字通りの「引き寄せの法則」。

今の彼もまた、亡くなった物件で同じように新しい入居者を黙って見ているぞ。

しかし新しい入居者は、そういったものを全く気にしていないようなので、関心を向けてもらえずさみしくしている。

それでも自殺した彼の亡霊は、しばらくそこに留まり続けることだろう。

死後も、一人で。孤独に……。

 

この方は両親と決別しているという点で、言葉は変だが「自立したひきこもり」と言えるのではないか。

皆さんは「8050問題」というのをご存知だろうか?

「80歳になっても20本自分の歯を残そう」という「8020運動」とは違うぞ。

あ、どっちも知らない?

じゃあ俺はドヤ顔だな(笑)

 

今の中高年のひきこもり当事者の年齢層は、最年長で60代に達している。

最年長で60代なのだから、50代のひきこもりもとても多いのだ。

「8050問題」とは、「80歳の介護が必要になった親と、生活能力を有さない50歳のひきこもりの子ども」の家庭が破綻する問題のことを指す。

調査発表を受けて朝日新聞が掲載していた記事を引用すると、直接その方を批判するようになってしまうのだが、「子どものためにできるだけ貯金をためて、自分が死んだ後も子どもがその貯金で最後まで生きていられるように必死で頑張っている」と語る親がいた。

これ、ひきこもり解決のために一番ダメなパターンだ。

俺は著者の池上氏も批判するような、無理矢理居室から引っ張り出して戸塚ヨットスクールのような矯正施設に送ることが解決策だとは思わない。

(この本にも書かれていたが、今はそういうビジネスもあるそうだ。ひきこもって出てこない子どもを業者が無理矢理外に引っ張り出すビジネスが。)

しかし、「長い間ひきこもった子どもは何もできないから」とただお金を貯め、毎日毎日黙ってドアの前に食事を置いているようでは、ただの共依存だ。

ではどのようなプロセスを経て解決するのがいいのかというと、俺もブログ1つの記事で簡単に書く事などできない。

そのための今日紹介している本だと思うので、ぜひ関係ない方にもお読みいただきたいと思う。

 

社会的な対策を掴むヒントは、著者が「あくまで体感だが」と前提した上で指摘する

「ひきこもりしている人の親は公務員・教師が多い」

ということにあるのではないかと俺は思うぞ。

親がハイステータスだと繊細な人は負けてしまう部分があるのかもしれない。

甘ったるいことを嫌う人は、「親が高収入だからひきこもっていても暮らせるんだ」なんて言いそうだが。もちろん、それもあるだろう。

 

ひきこもりの方は精神疾患を家族も本人も知らないうちに抱えていることも多い。

(多いと言っているのであって、全員とは言っていない。ここらへん、言い回しにセンシティブにならざるを得ないのが難しいところだな。)

支援団体のみならず、精神科医も積極的に関わらないと支援が失敗してしまうことも多いだろう。

もっとも、ひきこもりの方は診たがらない精神科医も多いというのだが……。これは斎藤環さんの論説だったか。

 

最終目標は「就労につなげる」ことなのだろうが、そこまで行きつくのは、体力のない人がいきなり富士山に登頂するのと同じくらい難しい。

まずは家族以外の人との接点を持つことだろうな。

それが継続できれば、ひきこもり当事者にとっては及第点ではないだろうか。

 

ここまでにしておこう。

子どものひきこもりや自殺の相談も俺たちは受けるが、仲間と対話する客、親を見ていて、ご自身の問題の無自覚さに「この方は何も分かっていないな。これでは子どももかわいそうだな」と残念な気持ちになることも多い。

そんなことも思って今日は書かせてもらった。

 

天使界から遣わされている文字通りの存在として、天使、龍神、天照大御神のメッセージ、それも表面的なものではなく時事問題、社会問題、政治問題についての思いを伝えている。

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