父が亡くなりました

享年76歳でした

 

週末父は荼毘に付され、お骨になりました

父がお骨になったこの火葬場…

 

ここは10年ちょっと前にできた新しい施設ですが、その前はここに我が家の畑がありました。
祖母が毎日のように耕して、大きな栗の木があって。
今頃の季節にはたくさんの大きな栗を拾いました。
奥に見える小山で、私も秘密基地を作って遊んでいました。
 
畑の横は父の会社の資材置き場で、会社が火事に遭ったあとは、ここに事務所を建てて毎日父はここで働いていました。
そんな場所で、父は骨になったのです。
 
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父は11年ほど前に、クモ膜下出血をしました。
半年ほど意識がなかったにも関わらず、幸い麻痺も障害も残らずに父は退院できました。それから父は仕事には戻らず、大好きだった釣りもすることなく、ただ静かに家で過ごしていました。
あんなに派手好きおしゃれ好き遊び好き女好き酒好きの父が、ずっと家にいるのは家族としては変なきもち。
 
 
病気をしたことで、昔の父はもういないんだな…と思うと
それが少し寂しかったです。
 
でも私の結婚式のために海外に行ったり、孫を抱かせてあげることもできたので、そこは良かったかなと思っています。
 
 

数日前から「お父さんの様子がおかしい」

母が言い出しました。

「急に認知症が進んだ気がする。起きてこないしご飯も食べない」

 

その数週間前、私が実家に帰った際に見た父の姿。

結果的にそれは最後の生きている姿になりましたが、父の友人が来ているにも関わらず、下着姿でトイレに行き、声をかけられてもぼんやりしていました。

 

その姿を見たとき、「もう長くはないだろうな。生きる気力を感じない」

私はとっさにそう思いました。

 

だって、父はものすごいナルシストなんです。

昭和22年生まれにしては大柄で、身長は183センチ。

豊かな髪の毛をふさふささせて、高い鼻の濃い顔立ち。

若い頃は俳優をしていた時期もあって、学生運動にも身を投じ、交友関係も華やかだったようです。

 

何より、私には数年前から予感めいたものがずっとありました。

 

お父さんは、77歳くらいで死んじゃうんだろうな…

 

何の根拠もありません。

でも2年ほど前から明確にそんな気がしていました。

流石に不謹慎すぎるので自分の心に留めていましたが、母から父の異状を聞いたとき、「やっぱりな」

ただ、そう思いました。

 

父の誕生日はクリスマス。

クリスマスが来れば父は77歳になります。

思ったよりはちょっと早かったけど、でもやっぱりそうなんだろう。

 

週末は母と一緒に出掛ける用事がありました。

父の体調が心配なので、母は行くのを躊躇っていましたが

私は思っていたことを伝えました。

 

「お母さんは頑張ってる。後ろめたいことなんか何もない。もしこれでお父さんが…ってなっても、そういうタイミングだったってだけ。実はお父さんは77歳くらいまでなんじゃないかって、2年くらい前から思ってた」

 

当日、母は私のために来てくれました。

ときどき兄から電話がかかってくるのを不審に思いながらも、夜に母とわかれてそれぞれ家路につきました。

 

 

その日、胸騒ぎがして帰宅した母を待っていたのは、吐血した父の姿でした。

救急車を呼んで病院に搬送されました。

父はコロナに感染していました。

 

私はそのことを全く知らされていませんでした。