「因子を見える化し、本来の姿へ還る」プロセスです。

1. 目覚め(Awakening)
「このままではいけない」という疼くような気づき。
現状への違和感、疑問、痛みを感じる、今までの価値観を揺さぶる出来事

・預言者エレミヤが「国が滅びた」という現実を前に、古い預言の枠組みが通用しないと気づいた瞬間。イスラエルの堕落、民の迷走を直視する。

・クリシュナムルティでいえば、外の環境ではなく、自分の思考がつくり出した過去の記憶、比較、恐れ、良いか悪いかの評価、他者の目、自動的回路、これらが積み重なって、人は自分の心の中に檻をつくる。そして、その見えない檻に気づかないまま生きてしまう。

 

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・トヨタ思考では、ムダが見えるようになる、滞り・不具合に気づくという最初の一歩。

2. 覚醒(Insight)
目覚めが「気づき」なら、覚醒は「理解」です。

「因子を見える化(Visualization)する」とは何か。
現場の内側に生じている問題、本当の原因を見える化しない限り改善は起きない。
「なぜそうなっているのか」「真因(本当の原因)は何か」「自分の内側で何が起きているのか」
ここで初めて、外側の、人のせいにする問題ではなく、内なる心の問題だとわかる。
感情の澱、澱み、無駄な思考のクセ、古い価値観、過剰な自己防衛

・イエスに出会った人が、心の重力から自由になり、目がひらけ、モノクロの世界がカラーに変わるような世界を経験した瞬間。

・クリシュナムルティでいえば、恐れ、比較、条件づけ、思考の自動的な動き、これらを心の牢獄として観察(経験)し、見える化する。人は外側の嫌なことではなく、自分の思考がつくった牢獄に囚われている。
「真理は道なき地」真の「自由」を渇望する。

・預言者は、民の心のかたくなさ、偶像崇拝、権力の腐敗、神との関係の断絶、これらを内なる罪として、言葉で可視化する。民の心が変わらなければ、国はダビデ・ソロモンの栄華の時代に戻らない(再生しない)。
「内なる統治者が古い自分のままでは、外側は変わらない」
にもかかわらず、民の心の状態を見抜いたうえで、新しい契約、新しい心、新しい霊を促す。問題は自分たちの外にあるものではなく、自分の中にあることを受け容れた時、「内なる統治者の交代」が起こる。

・トヨタ思考でいえば、現状と本来のあるべき姿のギャップが見えてくる段階であり、現場にあるムダ、不要な工程、無駄な動線、壊れた道具、在庫の滞留…
これらを「5回のなぜ?」で因子として分解し、カンバンで見える化する。
そうすると、理想状態が見えてくる。適正に整うよう設定をして、本来あるべき姿に向かう。

 

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3. アクション(Action)
覚醒しただけでは、まだ何も変わらない。ここで必要なのは、具体的に今すぐできることで、小さな一歩を踏み出す勇気。
生活習慣を変える、思考のクセを手放す(憑き物落とし)、いつもの気分、いつもの人間関係から、人との関わり方を変える、仕事のやり方を改善するetc.
ここで現実が動き始めます。

・預言者は絶望の中でも、神との関係が深まると、怒りから、憐れみ、嘆きから希望、裁きの恐れから信頼へと、前半と後半を比べると、預言が変わってきます。
状況が変われば、預言も変わる。
 エリヤはただ1人戦うなら道は険し、共に立ちあがろうとエリシャに後を託す。ホセアは裏切りに傷ついた自分から、裏切られてもイスラエルに憐れみをかける神に焦点をあてます。ヨナもアッシリアへの怒りと固定概念から神がいかなる方かを知り、植物、自分の快適さに喜ぶのではなく、人に心を寄せるよう導かれました。ミカも野で不正をはたらく者への厳しさを告発しましたが、後半には平和と快復のヴィジョンを見て、メシア預言をします。
預言者の転回。
 カトリックでは習わなかった預言者、ハバクク、アモス。災いに、社会の混乱に神が何もしていないように見え、「なぜですか!」激しく神にくってかかるハバクク。それに対する神様の答えは、「信じなさい」分からなくても信じていくこと、その歩みの中、ハバククは、たとえ実らなくても、私は主なる神の内にあり、喜ぶ。こういう心境に導かれたのです。
アモスは農夫でしたね。宮で為政者のために預言する預言者集団とは違い、ミカに似たタイプでしょうか。高いところではなく、低いところから叫ぶ。貧しい人を抑圧する裕福層を神は忘れないと。言葉は容赦ありません。しかし、踏みつけられた下から上を見上げる社会批判ではなく、後半では、搾取され荒れ果てた外的沙漠だけでなく、無関心、孤独といった内的沙漠にも、正義と平和の力強い水の流れ、私たちの心、ライフスタイル、社会に生じる問題に向き合うことで、世界の豊かさ、回復、復興を私たちに託したのです。

 問題という問題が溢れている。よく見れば見るほど、絶望的なほど、闇が濃く、その根は深い。問題が山積していようとも、それを良くしていこうとする力が、心があるということを信じるということ。人間も神が創られた世界も100%の正しさを体現できていないかもしれない。それを罪だと糾弾するのではなく、そこにはより良きものに向かおうとする意志、志向性がある。それを神は信じておられるのと、導かれているという確信を抱くことが大切です。
そしてそれは順調なときにではなく、「神も仏もあるのか」と嘆く時、もたらされるのである。プロジェクトが成功して、良い評価をされた時、無名、下積みから採用された時、感謝するのは容易である。だが、お腹を満たす事が出来ない貧しさ、長年の夢(理想)が潰えた時、職場での衝突、友人の裏切り、家族関係の苦悩、伝わらないコミュニケーション。これら全て、旧約の預言者が経験した事です。彼らは救いに直接的に与れなくとも救いを先取りしていました。預言者が闇につまずいたら、嘆きの淵に沈み、打ちひしがれたままだったら、でも彼らは人生を投げる事なく、神やカラス、大魚、炭の出来事によって、自分の行動にあった未熟や不足を発見し、再起を決意します。そして、再起はかれらの決意だけではなく、それらの出来事によって自分自身が導かれた事を知り、その事実を認めたのであった。(フランシスコ教皇、中野正勝氏)
 言葉で罪、悪を語るだけではなく、どう生きるか。そこに神はおられると。

・クリシュナムルティでいえば、「理解が行動を生む」
トヨタでいえば、改善(Kaizen)の実践。現場改革、標準化の開始。

4. 使命に向かう歩み(Mission-Oriented Action)
アクションが積み重なると、輪郭が浮かび上がり、方向性が定まる。
ここで初めて、「自分は何を願っているのか」が見えてくる。
使命とは、外から与えられるものではなく、実践の中で神意に叶うものとなる。

社会・共同体の変容は、
預言者でいえば、民の恢復・信仰共同体の再構築、再解釈。
クリシュナムルティでいえば、「個人の変容が社会を変える」。
トヨタ思考でいえば、「現場が変わり、組織が変わる」。
「内側の因子が変わらなければ、外側は変わらない」

5. 使命に応える(Fulfillment)
使命に向かう行動を続けると、ある瞬間、「自分が神に使われている」という感覚が生まれる。誰かに褒められることでも、成果が出ることでも、地位や名誉でもない、神様に喜ばれることをしたい気持ち。召命(calling)に応えたい。
設定した目標、ゴールに向かう気持ちではなく、外側の成功を希求するよりも、神との一体感。
愛が満ち、心が軽く、しなやかに、自由な心を育てていける。

「本来の姿に還る」とは、
・トヨタ思考では、本来あるべき姿(Ideal State)ムダがなく、モノ、ヒト、コトが流れ、好転した現場。
・クリシュナムルティでいえば、自我、条件づけから解放され、本来の心の静けさ、アタラクシア(古代ギリシャ哲学)を得ること。
預言者でいえば、「新しい契約」神と人の関係の恢復。

 

 

 

 長年やってきたトヨタの「見える化」は、混沌(カオス)の現場から秩序を生み出すプロセスでした。
ムダを見える化。要因を項目ごとに洗い出す5回のなぜ、カンバン。本来の姿(Ideal State)を描く、そこに向けて改善の環を回す。
これは、現場における創世記(Genesis)再創造のプロセスでした。
混沌(Chaos)から秩序(Cosmos)へ。トヨタ思考を採用した企業は、毎日それをやっている。

 クリシュナムルティが語ったのは、心の牢獄から自由が生まれるプロセスでした。
条件づけを見える化する、思考の因子を観察する、恐れや比較の構造を理解することで、本来の自由な心へ戻る静けさ。条件づけの固定の闇から、自由という光が生まれる。
「理解が行動を生む」は、「内側の統治者の交代」と同じ意味を持っています。

 創世記はバビロン捕囚の時代に編纂された。国を失い、神殿を失い、アイデンティティが崩壊した時、ヘブライ人たちはルーツを尋ねた。
「自分たちはどこから来たのか」「自分たちは何者なのか」「自分たちは何を信じるのか」
その答えとして生まれたのが、創世記(Genesis 起源・始まり)だった。
国が滅びた時に、ヘブライ人のルーツを再創造する物語が書かれた。

混沌(Chaos)、ムダムリムラ、心の牢獄、国の滅亡、捕囚から、
因子の見える化(Insight)、5回なぜを問う、自己知による理解、罪の可視化
本来の姿の発見(Ideal / Freedom / Covenant)、本来あるべき姿、自由の静けさ、新しい契約
再創造(Genesis)、現場の改善、心の解放、人と神との和解、国の再生、秩序。

 問題は外にあるのではなく、自己知をしなければ、改善、変容、回心は起きない。
本来の姿(Ideal State)滅を描く。いかに遠くとも、そこに向けて小さな改善、実践を積み重ねる。預言者は、真善美(神との契約)を示し、行動を促し、共同体を再生する。
混沌から本来あるべき姿へと。