テレビのニュース報道が、事実を追及することをやめ、自らが信じる政治的信条を実現するため、敵と見なした政治家等は悪人であるとのイメージを扶植し、世論操作に徹することによって、報道機関としては既に自ら死んでいることは、実は多くの日本人が気付いていると思います。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ マスメディアはイメージ操作機関 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 マスメディアがイメージ操作機関であることは、すでに皆さん薄々ご存知だと思います。

 つまり、テレビのニュース報道は、ジャーナリズムではなく、政治的運動組織と化しているということです。

 (注:日本の「放送法」には、政治的公平の規定があるので、国民は事実を追及する報道を期待しますが、新聞・雑誌の報道には中立・公正の規定はありません。このため、新聞・雑誌報道は、特定の政治勢力を応援し、特定の政治勢力を駆逐するという政治的に片寄った報道であることを最初から常識(メディアリテラシー)として身に付けておかなければならないということが、まずこの話の大前提としてあります)

 テレビのニュース報道がイメージ操作機関となった具体例としては、「何が・どこが」法律に違反しているか具体的な指摘はせずに、何か悪いことをしているのではないかという憶測に基づく悪者だというイメージを扶植する報道を毎日のように垂れ流しているという事実があります。


 数日前、TBSの解説者の鎌田靖(週刊こどもニュース二代目司会者)は、いみじくも「明確な違法性の指摘がないにもかかわらず加計学園問題に関して国民の関心がなくならないのは、総理が説明責任をきちんと果たしていないからだ」と述べました。

 つまり、マスメディアは、加計学園問題について、違法性がないことを認識していながら、大々的に報道し続けているということです。

 「朝日新聞」(平成29年7月13日付け)には、立岩洋一郎・元NHK記者の言葉として、皮肉にも、アメリカの公共放送のベテラン記者から日本のメディアは政党色がついていると言われショックを受けた旨、掲載しています。

 

 また、同じ紙面に詩森ろば・劇作家の言葉として「不偏不党でなくてもいい」との見出しを掲げて、市民がメディアに不偏不党を求めて批判することのほうが恐ろしい旨、掲載しています。

 

 これを見ると、日本のマスメディアは、国民に事実を提供するという理想をかなぐり捨てて、「政党色がついている」現状を認めて「不偏不党を求める世論は実は危ない」という世論を盛り上げた上で、自らの政治的思想信条を実現すべく世論操作に邁進すると、開き直って宣言しているように見えてしまいます。



 ◇ ◇ ◇ ◇ 日本をバッシング社会にしてしまったのは ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 


 日本をバッシング社会にして、モンスタークレーマーを蔓延させてしまったのは、イメージ操作機関・世論操作装置と化したテレビのニュース報道にあります。

 なにせ、毎日、テレビをつければ、

 「また政治家・官僚・当局がこんなバカなことをやったのか?一体何を考えているのか?政治家や官僚はみんな変わらないとダメだ」

などと、訳知り顔に「バカ」にして、自分だけは正義が分かっているとばかりに優越感に浸ることができます。

 これは、癖になります。

 人は、常に「バカ」にできる対象を無意識的に探しています。

 「バカ」にできる対象さえあれば、自分はそれよりも「正しく」、「賢い」、「上のレベル」の存在であると、いい気持ちになることができます。

 つまり、テレビのニュース報道とは、「バカにできる対象」を毎日自動的に提供してくれて、視聴者を優越感に浸らせて、いい気持ちにさせることによって、視聴率を稼ぎ、金儲けをしている企業・機関ということになります。

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ テレビ報道のワイドショー化の歴史 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 


 テレビのニュース報道が、事実の追及を放棄し、視聴率稼ぎを邁進するためにワイドショー化してきた「きっかけ」・「はしり」は、とりわけ久米宏さんのテレビ朝日「ニュースステーション」です。

 及びそれを追っかけて始まったTBS「筑紫哲也のニュース23」です。

   (このテレ朝日「ニュースステーション」TBS「ニュース23」は現代日本の報道の偏向を歴史を研究する上で最大のキーワードとなります)

 

 「ニュースステーション」以前は、テレビのニュース報道にコメントを付けることはタブーでした。

 

 ニュースに意見や感想、何らかの価値判断を付け加えることは「放送法」に違反するのではないかと思われていた時代があったということです。


 

 日本をバッシング社会にして、モンスタークレーマーを蔓延させてしまったのは、この「ニュースステーション」開始以来の30年間のテレビ報道の変質=ワイドショー化であることは、当ブログでもかねてから指摘してきたところです。
 (日本ってバッシング社会ですよね?パート②~日本はなぜバッシング社会になったのか~)

 

 

 それと同じ指摘をテレビ業界内部の方がされています。
 

 それも、「ニュースステーション」のプロデューサーをしていた末延吉正さんです。

 「正論」平成29年7月号に、

「愚神礼讃ワイドショー、テレビマンから見ても何かおかしい、「共謀罪」、加計学園で、また大騒ぎ…」

と題して寄稿されています。

 末延さんも、テレビ局の報道局の雰囲気が変わったのは、

  「1980年代半ばの『民放夜のニュース番組戦争』の勃発」であり、

  「ニュースで視聴率を稼ぐ」、

  「ニュースが売れる時代」

になったと指摘されています。

 この後、それまで報道局が作っていたニュースは、視聴率を稼ぐための演出が躊躇なくできる制作畑と外部プロダクション(制作会社、例えば「株式会社 泉放送制作」)が作っていくことになります。


 これは、テレビ業界のインサイダーの歴史的な証言として貴重なものです。


 こうしたテレビのニュース報道のワイドショー化に拍車を掛けたのが、「1990年代半ばの夕方ニュースのワイド化だった」そうです。

 こうして「ニュースや情報の品質管理についての反省がない」まま「メディアの政治権力化」が起こったということです。

 この末延さんの寄稿の中に引用されている指摘ですが、

 ジャーナリズムの一番大切な役割である「権力監視」について、

 「権力監視と権力批判が混同され、まず価値判断ありきで事実の究明が後手に回る」(「政治とマスメディア」谷口将紀著、東大出版会)

という言辞は鋭いです。

 完璧に今の日本のマスメディアの状況を言い表しています。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ 視聴率を稼ぐための演出手法 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 視聴率を稼ぐための演出手法には、

 

 ○ 印象的な短い場面だけをピックアップして繰り返す。

 ○ 派手なテロップ(字幕スーパー、スーパーインポーズ)を付ける。

 ○ 派手な効果音・音楽を付ける。

 

などがあります。

 

 発言内容を正確に引用するには、長い時間が必要ですが、視聴者の関心を引くには3秒から10秒程度の短い場面を切り貼りして次々と刺激を与えていく演出手法が採用されることが多くなっています。

 

 素早く場面を切り替えていって、視聴者に次から次へと刺激を与える手法は、CМや映画などで発展してきた手法ですが、今やこの手法はニュース番組にまで取り入れられています。

 

 素早く場面を切り替えると視聴者は考える時間がなく、次々と刺激を受け続けるため、視聴者にある一定のイメージ・印象を植え付けるには大変効果的な手法です。

 

 世界中で大ブレイクした‟6秒動画”アプリ「Vine」は1秒程度の短い動画を切り貼りして6秒間分の構成にして繰り返すもので、近年、場面の切り替え時間の短さはどんどんエスカレートしているようです。

 

 また、テロップによって発言内容を強調したり、「つっこみ」を入れる手法は、お笑い番組「進め!電波少年」(日本テレビ)や「探偵ナイトスクープ」(朝日放送)が先駆けと言われています。(概ね1980年代後半から1990年代前半から始まった手法)

 

 

 このように視聴率を稼ぐ演出手法として、

 ○ 視聴者の刺激を高めるために数秒の短い場面を切り貼りする映画やCМの手法

 ○ 元々は「お笑い番組」から始まって進化してきたテロップで強調する手法

などの演出手法がニュース番組でも使用されるようになってきました。

 

 

 このようにして、テレビ報道は、人々の怒りを煽って増幅するテクニックを進化させ、イメージ操作機関として成熟してきました。

 

 このような視聴率を稼ぐ演出手法がテレビによる報道を歪めてきたのです。

 

 現在では、ニュース番組とバラエティー番組の区別がつきにくくなってきました。

 ○ ニュース番組

 ○ ニュースバラエティ

 ○ ワイドショー

 ○ バラエティー番組

 ○ お笑い番組

 これらのものの区別をつけることができるでしょうか。

 ニュース番組とバラエティー番組で演出手法がどれだけ違うか・同じかという研究をしてみるのも面白いかもしれません。

 

 
 ◇ ◇ ◇ ◇ 「森友学園」「加計学園」問題でのイメージ操作 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 「森友学園」や「加計学園」問題に関して、マスメディアがイメージ操作するためにあえて報道しない事実を順不同で思いつくままに箇条書きしてみます。

 

 

 ○ 8億円の値引きを問題としている「森友学園」の用地の北隣の豊中市・野田中央公園は14億円の値引き、南隣の給食センターのゴミ撤去費用は14億円掛かったこと

 

 ○ 森友学園は学校建設費用や保育士数の虚偽申請、紙幣偽造などの詐欺の常習者であるにもかかわらず、マスメディアは詐欺師の証言をありがたがって延々と報道していること

 

 ○ 加計学園問題を告発?している前川喜平前文科省事務次官こそが天下り問題で首になった人物で、まさに日本の教育行政を数十年間にわたって歪めてきた元祖であること

 

 ○ アベノミクスの目玉政策である規制緩和を促進する国家戦略特区を早く進めるよう総理が指示することは当たり前であること

 

 ○ 獣医師がいかに足りないか、特に公務員獣医師不足の報道がほとんどないこと

 

 ○ 加計学園問題の追及の急先鋒である玉木雄一郎、福山哲郎議員は「日本獣医師連盟」から100万円の献金を受けていること、特に玉木は父親が香川県獣医師会副会長、弟も獣医であること

 

 ○ 52年間続いた獣医学部新設を認めない岩盤規制の方こそ問題であること

 

 ○ 今治市の獣医学部新設については当初、民主党政権が積極的に推進したとする加戸守行・前愛媛県知事の証言はほとんど報道しないこと

 

 ○ 忖度がさも問題かのごとく報道しているが、総理大臣の指示・命令・方針を中央省庁は実現する義務があり、それに従うのは当然であること

 

 ○ 国家公務員が職務上知りえた秘密を漏洩することは国家公務員法の守秘義務違反で懲役一年以下の犯罪に当たること

 

 ○ 前川喜平は、10数年前の小泉政権下、文科省の課長時代から自分のブログを立ち上げて政権批判を行ってきた情報漏洩の常習者であったこと

 

 ○ 読売新聞による前川の「出会い系バー」報道を問題視しているが、ジャーナリストが「政権」等に食い込んでスクープを獲ることと、「政権」等から情報をリークされることは紙一重であることは、まともなジャーナリストなら一度は考えたことがあるはずの問題であること


 ○ そもそも安倍総理が親友の事業を「優遇してほしい」などと言う訳がないこと

 


 □ □ □ □ 野党が与党を批判するのは当たり前だが □ □ □ □ □ □ □

 

 そもそも野党が政権与党を批判するのは、どの国を見ても当たり前のことです。


 権力闘争とは、文字通り「闘い」なので相手の弱点を見つけたら、ここぞとばかりに突きまくるというのは古今東西、いつでもどこでも行われてきたことです。

 

 問題は、その野党の批判を冷静に分析することなく、そのままマスメディアが垂れ流す報道が多すぎることです。

 

 やはり日本のマスメディアは政党色が付き過ぎているので、最初から公正・公平・不偏不党、可能な限り客観的な報道を期待する方が間違っているのでしょう。

 

 三木武夫総理大臣の靖国参拝に対して、「公式参拝ですか?私的参拝ですか?」と記者が詰め寄っていた約40年前から一部マスメディアは社会党の応援団でした。

 (朝日新聞が戦後一貫して社会党の応援を続けてきた理由については「ミトロヒン文書」を参照)

 

 この靖国神社参拝が、中国や韓国が歴史認識問題を外交カードとして使い始めた最初のきっかけでした。

 


 ◇ ◇ ◇ ◇ 「反安倍なら違法でもいい?」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 このように、イメージ操作機関と化したマスメディアは、安倍政権打倒のためなら違法行為をしてもいいという風潮を日本社会に作り出しました。

 例えば、
 ○ 文部科学省及び前事務次官からの情報・文書漏洩(国家公務員法に定める守秘義務違反)
 ○ 「安倍やめろコール」(公職選挙法に定める選挙妨害罪)

 ○ テレビ局による政治的公平な報道の放棄放送法に定める政治的公平違反

などです。

 

(他にも「反安倍なら違法でもいい?」という事例はあると思います。下村前文科大臣事務所に勤務していた平愛梨の実弟・平慶翔が下村前大臣を告発?した事例は現在進行中なのでなんともいえませんが、他にあれば教えてください。)

 

 「反安倍なら違法でもいい?」という風潮は、これまでの日本では全く見られなかった風潮です。

 

 過去の自民党政権からの政権交代時を振り返ると、

 

 ○ 自民党・宮沢政権→細川護熙・日本新党連立政権

   (当時の宮沢政権に対して、政治改革を実現できないという激烈な批判はあったにせよ、法律を犯してもいいから宮沢政権を倒せという世論はなかったと思います。テレビ朝日の椿発言事件で自民党政権を交代させる報道を行うとの発言が問題になりました)

 

 ○ 自民党・麻生政権→民主党・鳩山由紀夫政権

   (当時の麻生政権に対しても、激烈なバッシングが浴びせられていましたが、「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだという単なる読み間違いや「ホテルのバーを安い」と言ったことが問題となりましたが、今となっては「なぜあれほどバッシングされたのか訳が分からない」ことばかりです)

 

などがありますが、「現政権を倒すためなら法律を犯してもいい」という風潮は見たことがありません。

 

 「現政権を倒すためなら法律を犯してもいい」という風潮は、その社会で道徳・モラルが崩壊し始めている兆候を示しているとも言えます。

 

 アナウンサーが一言だけ言葉を「噛んだり」、お笑い芸人が空気を読めずに滑って現場が凍った場合は笑い話になっても、政治家が2~3秒程度言葉を言い間違えたり、失言しただけで、「首にしろ」「任命責任だ」などとの批判を垂れ流す風潮は健全とは言えず、ちょっと病的なバッシング・クレイマー病に罹ったのではないかと心配します。

 

 「現政権を倒すためなら違法でもいい」という風潮は、テロが蔓延しているイラク、シリア等のアラブ、破綻国家が多くあるアフリカなどの状況を連想させる点で心配になります。

 

 しかも、国家が破綻してテロが蔓延しているケースと日本とは全くフェーズが違うにもかかわらず「現政権を倒すためなら違法でもいい」という風潮だけ似るというのは異常です。

 

 「現政権を倒すためなら違法でもいい」という風潮は、戦後はありませんが、戦前は「5・15事件」「2・26事件」などがありました。

 

 (この記事では、マスメディアが視聴率と部数稼ぎによって広告収入を得ることしか考えていない営利企業であり、事実を追及するジャーナリズム精神などは微塵もないことを問題にしていますが、実は、日本のマスメディアが中国や北朝鮮などの外国勢力に侵襲されているというネット上では常識になっていることについてはあえて触れません)

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 日本国民は、視聴率稼ぎの演出が大得意な制作畑スタッフと外部プロダクションが作っているテレビのニュース報道を真に受けていては、道を誤ることになります。

 

 

 これまで日本では見たことがない「反安倍なら違法でもいい?」という現在の風潮を見ると、今後、日本が何かとんでもない予測不能のフェーズに突入する予感がします。