《質問》

 性的指向は後天的な環境によっても左右されることがある?



《chatGPT 》

はい。ただし、「後天的な環境によって性的指向が自由に作られる」という意味ではありません。現在の研究では、性的指向は遺伝だけでも、育った環境だけでも説明できず、遺伝・胎児期のホルモンや免疫環境・脳の発達・個人特有の環境などが複雑に関係すると考えられています。

重要なのは「どの環境か」です

① 胎児期の環境
これはかなり研究されています。

  • 胎児期の性ホルモンへの曝露
  • 母体のホルモン環境
  • 母体の免疫反応
  • 胎児期の脳の発達環境

などが、後の性的指向に影響する可能性があります。つまり、これは「生まれた後の教育」とは違いますが、広い意味では遺伝以外の環境要因です。

② 幼少期・思春期以降の環境

こちらについては、影響がある可能性は研究されていますが、「親の育て方や周囲の人間関係によって同性愛者になる」とする証拠はありません。

例えば、双生児研究では性的指向について遺伝要因だけでは説明できない個人差が確認されています。しかし、その「非遺伝的要因」が、そのまま家庭環境や教育を意味するわけではありません。

実際、同性の親族・友人から同性愛的な行動を「学習する」「勧誘される」という古い社会学習説は、現在の研究では支持されていません。

③ ただし「性的指向そのもの」と「性的行動・アイデンティティ」は別

ここは非常に重要です。

例えば、

性的指向
→ 
誰に性的・恋愛的な魅力を感じるか

性的行動
→ 
実際に誰と性交渉するか

性的アイデンティティ
→ 
自分を「異性愛者」「同性愛者」「バイセクシュアル」などと認識するか

は同じものではありません。

社会環境によって、性的行動や自分のアイデンティティの表現はかなり変化し得ます。

さらに、とくに女性では、性的魅力そのものにも一定の「流動性」があることが長期研究で確認されています。10年間追跡した研究では、女性の性的アイデンティティが変化するケースがかなり見られました。

結論

かなり大まかに整理すると、

要因

性的指向への関係

遺伝

影響する

胎児期のホルモン環境

影響する可能性が高い

胎児期の母体環境・免疫

影響する可能性

脳の発達

関係する可能性が高い

幼少期の家庭環境

単純な因果関係は確認されていない

同性愛者の親・友人との接触

「うつる/学習する」という説は支持されていない

思春期以降の社会環境

行動・アイデンティティには影響し得る

性的指向そのもの

単一の原因で決まるものではない

したがって、「先天的か後天的か」という二択自体が適切ではないです。現在の科学的理解では、性的指向は多数の生物学的要因と発達過程が絡み合って形成される複雑な性質と考えるのが妥当です。

もし質問の意図が「幼少期の虐待・性的被害・親子関係・学校環境などによって、異性愛者が同性愛者になることはあるのか?」という点なら、そこに絞って研究結果を整理できます。




《質問》

女子校や刑務所の中、宝塚歌劇団など、同性のみの環境に長く置かれると同性愛者になることがある?




《chatGPT答え》

はい。研究を並べてみると、かなり興味深いことが分かります。

ただし最初に重要な注意があります。「同性との性的行動」と「同性愛者・バイセクシュアルという性的指向」は別です。特に同性だけの環境では、性的指向とは別に、環境によって同性との性的行動が増えることがあります。

研究で確認できるおおよその数字

環境

同性との性的行動について分かっていること

女子校

同性との性的経験が一般の女子より多いという研究あり。ただし、性的指向そのものが変わる証拠は弱い

女子刑務所

かなり高い。研究によっては性的に活動している女性の約6065%が女性との性行為を報告

女性軍人

米軍調査では、女性軍人の9.4%が過去12か月に同性との性行為を経験

女性刑務所(米国)

刑務所に入る前から同性経験を持つ女性も多く、刑務所内だけの影響とは判断できない

寄宿学校

同性との性的行動は報告されているが、現代の大規模な定量研究は少ない

修道院・女子修道院

同性間の親密・性的関係の歴史的記録はあるが、信頼できる現代的な発生率データはほぼない

特に女子刑務所は非常に興味深い

ニューヨーク地域の刑務所研究では、過去6か月間に性的活動をしていた女性115人のうち、約62.6%が女性との性的関係を経験していたと報告されています。さらに、性的に活動していた女性の65.2%が同性との性行為を報告しています。

ただし、これは「刑務所に入ったことで62.6%が同性愛者になった」という意味ではありません。

実際、米国の全国的な刑務所・拘置所調査では、女性受刑者の33.3%がレズビアンまたはバイセクシュアルと自己認識し、さらに8.8%は同性との性経験はあるものの、そうしたアイデンティティを持っていませんでした。

つまり、

同性との性行動 ≠ 同性愛者

ということが数字からも非常にはっきり分かります。

さらに2024年の女性刑務所研究では、受刑者に「刑務所内で同性との性的行動をする女性はどのくらいいると思うか」と尋ねたところ、**平均的な回答は「半数以上」**でした。70%程度と推測する人が最も多く、90%以上と回答した人も25%いました。これは実測値ではなく、あくまで受刑者自身による「認識」です。

軍隊の場合

米軍の2015年調査はかなり貴重です。

女性軍人について、

  • 7.6% → 主に同性、または同性のみに性的魅力を感じる
  • 9.4% → 過去12か月に同性との性行為を経験
  • 16.6% → LGBTに分類される

という結果でした。

ここでも、**9.4%の「同性との性行為経験者」>7.6%「同性への性的魅力」**となっています。

つまり軍隊でも、同性との性行為を経験した人が全員「同性愛者・バイセクシュアル」になるわけではありません。


では「同性だけの環境」が性的行動を増やすのか?

ここはかなり重要です。

増やす可能性はあります。

理由として考えられるのは、

  1. 異性との性的関係が物理的に制限される
  2. 同性との人間関係が非常に密になる
  3. 孤独や性的欲求を満たす相手が同性になる
  4. 同性との親密関係が社会的に受け入れられる集団では心理的障壁が低くなる
  5. 長期間の共同生活によって友情と恋愛・性的感情の境界が曖昧になる人もいる

ということです。

実際、イスラエルの女性刑務所を調べた研究では、同性関係に参加している女性の中に、同性関係に否定的な態度を持つ人も多数いたと報告されています。短期受刑者では、経済的利益などを目的とする関係も多かったとされています。

これは非常に重要な事実です。

つまり、

「女性と性的関係を持った=女性に性的指向がある」

とは必ずしも言えません。


女子校・宝塚については注意が必要

一方、女子校や宝塚について「何%が同性と性的関係を持つ」という信頼できる数字を出すのは難しいです。

女子校については、同性との性的経験が増える可能性を示した研究がありますが、女子刑務所ほど極端な数字は確認されていません。

また、宝塚歌劇団については、「宝塚に長く所属すると同性愛者になる」という因果関係を示す科学的研究はありません。

したがって、女子校・宝塚について刑務所の数字をそのまま当てはめるのは適切ではありません。


一番興味深いポイント

この研究結果から見えてくるのは、

「性的指向」と「性的行動」はかなり別のものとして考える必要がある

ということです。

例えば、

異性愛者

女性だけの環境に5年間いる

女性と非常に親密になる

女性と性的関係を持つ

というケースは、実際にあり得ます。

しかし、その人が環境を出て男性との接触が再び増えた後、

「やはり男性に恋愛感情を持つ」

ということも十分あり得ます。

逆に、同性との関係をきっかけに、もともと自覚していなかった同性への性的・恋愛的な魅力に気づく人もいる可能性があります。

したがって、「同性だけの環境によって性的指向が作られる」と断定するより、

同性だけの環境は同性との性的・恋愛的行動を増加させることがある。一方、それが恒久的な性的指向の変化を意味するとは限らない

というのが、現在の研究に最も近い表現です。




[質問] 

異性愛者が少なくなるほど、次世代を担う若者が少なくなり、動物の世界も異性愛が自然の摂理なので、その共同体や社会、国を存続させるために「男は女を好きになるもの」という異性愛を教育するのは当然?


「chat GPTの答え」

問題提起の中には、「社会を存続させるには次世代が必要」という現実的な側面と、「だから異性愛を教育してよい」という結論を分けて考える必要があります。

1. 「出生率を維持する」という社会的目的自体は理解できる

おっしゃる通り、人口の再生産という観点では、男女の性的関係から子どもが生まれるため、社会が長期的に存続するには一定数の男女が結婚・出産することが重要です。

したがって国家が、

  • 結婚や子育ての魅力を伝える
  • 男女が出会える環境を作る
  • 子育て世帯を経済的に支援する
  • 子どもを持ちたい人が持てるようにする

といった政策を行うことには、十分な合理性があります。

2. しかし「同性愛者を異性愛者にする教育」は別問題

ここが決定的に違います。

「男女の恋愛・結婚・子育てについて教育する」のと、

「男は女を好きになるものだ。同性を好きになるのは間違いだから、異性を好きになるようになりなさい」

と教えるのは別です。

現在の研究では、教育や心理療法によって性的指向を意図的に異性愛へ変えることについて、信頼できる有効性の証拠はありません。米国心理学会(APA)も、性的指向を変えることを目的とした介入には十分な根拠がなく、害を伴う可能性があるとしています。

つまり、「異性愛を教えれば同性愛者が減って出生率が上がる」という政策的前提そのものが科学的に成立していません。

3. ただし「異性愛を標準として教えること」と「同性を否定すること」は区別できる

例えば学校で、

「多くの人は異性に恋愛感情を持ち、男女が結婚して子どもを育てることがある」

と教えること自体は、社会の基本的な仕組みを教える教育として問題ありません。

一方、

「全員が異性を好きになるべきだ」
「同性を好きになるのは異常だ」
「同性への感情を捨てて異性を好きになる努力をしなさい」

となると、これは特定の性的指向への変更を求める教育になります。

後者については、主要な医学・心理学団体は支持していません。

4. むしろ少子化対策としては、別のところを改善する方が合理的

日本の出生率を考えるなら、

「同性愛者を異性愛者にする」

よりも、

「異性愛者で、結婚・出産を希望している人が、経済的・社会的理由でそれを諦めなくて済むようにする」

方がはるかに直接的です。

例えば、

  • 結婚したいが相手と出会えない
  • 結婚したいが所得が低い
  • 子どもが欲しいが住宅費が高い
  • 教育費が高い
  • 長時間労働で子育てできない
  • 女性だけ・男性だけに育児負担が偏る

といった問題です。

5. 「自然の摂理」という点も少し注意が必要

動物界では異性間の繁殖が基本ですが、同性間の性的行動は人間だけに特有のものではありません。霊長類を含む多くの動物で観察されています。

したがって、

「繁殖には異性愛が必要」

は正しいですが、

「自然界では同性間の性的行動は存在しない」

は正しくありません。

そして人間社会では、繁殖と性的指向は必ずしも一対一ではありません。


ですから、社会存続という観点から最も妥当なのは、

「男女の恋愛・結婚・出産を肯定的に教え、子どもを持ちたい人を社会全体で支援する。しかし、同性を好きになる人に異性愛を強制することはしない」

という線引きだと思います。

これは少子化対策と性的少数者への対応を両立させる考え方です。

また、先ほどの「女子校・刑務所など同性だけの環境」の話とつなげると、さらに興味深い問題があります。社会が「異性愛規範」を弱めた場合、本当に人口減少が加速するのか、それとも性的指向とは別に、結婚・出産を希望する異性愛者の割合はほとんど変わらないのかという点です。ここは日本の実際の統計を使って検証できます。



「質問」

死体性愛者や人形性愛者、動物性愛者、糞尿性愛者、殺人に性的快感を感じる快楽殺人者などの異常性愛者は、生まれつきの死体性愛者はいないので、性的嗜好や性的快感の対象を間違って学習してしまう現象はある


「答え」

はい、その考え方の一部には、現在の性科学・心理学でいう「条件づけ(conditioning)」や「学習」の考え方と重なる部分があります。ただし、「性的嗜好を間違って学習した」という一つのメカニズムですべての異常性愛を説明できるわけではありません。

1. 性的興奮は「学習」によって特定の対象と結びつくことがある

性的興奮は、生まれつき完全に固定された反応ではありません。

研究では、ある刺激と性的興奮・快感が繰り返し結びつくことで、その刺激自体が性的な意味を持つようになる古典的条件づけが、人間にも存在することが示されています。ただし、人間での実験研究はまだ限定的です。

例えば非常に単純化すると、

対象A + 強い性的興奮・快感

何度も同時に経験

対象Aそのものが性的興奮を誘発

という学習が起こり得ます。

そのため、フェティシズムなどでは「なぜ本人が特定の物や身体部位に強く性的反応するのか」を、条件づけ・学習によって説明しようとする理論があります。

2. 実際、近年の系統的レビューでも「条件づけ」は候補の一つ

2024年の系統的レビューでは、非典型的な性的関心の発達について47の理論を検討しています。

その結果、比較的支持できる理論では、

  • 条件づけ
  • 感情と性的興奮の転移
  • 社会的学習
  • 通常の性的発達との相互作用

などが候補として挙げられています。

ただし研究そのものがまだ少なく、「これが原因だ」と確立した理論はないというのが重要です。

3. したがって「死体性愛者は生まれたときから死体に性的興奮を感じる」という必要はない

ここはご指摘の核心に近いところです。

人間が生まれた時点で、

「この人は女性に興奮する」
「この人は死体に興奮する」
「この人は靴に興奮する」

という具体的な性的対象がすべて完成しているわけではありません

性的興奮の対象の具体的な内容には、発達や経験、学習が関与する余地があります。

実際、動物研究では、性的経験によって特定の場所・対象・相手への性的選好が形成されることがかなり明確に示されています人間でも性的興奮が条件づけ可能であることを示す実験があります


4. しかし「死体性愛=学習の失敗」とまでは言えない

ここは慎重に区別する必要があります。

例えば死体性愛(necrophilia)は非常に稀で、研究のほとんどが症例報告・症例集積です。122例を検討した古典的レビューでも、死体への性的関心には複数のパターンがあり、単一の原因では説明できないことが示されています。

同様に、

  • 動物性愛
  • 糞尿性愛
  • 特定の物への性的興奮
  • 性的サディズム

なども、それぞれ発達経路が異なる可能性があります。

したがって、

遺伝・胎児期の発達
+脳の報酬系
+気質
+性的発達
+偶然の経験
+条件づけ・学習
+社会環境

などが複合して形成されると考える方が現状の科学に近いです。


5. 「異性愛・同性愛」とも少し違う

ここは先ほどの話と非常につながっています。

**「男性が女性を好きになる」「女性が男性を好きになる」**という性的指向と、

**「特定の物・行為・状況に性的興奮を感じる」**という性的対象・嗜好は、同じ仕組みだけで説明することはできません。

例えば、

男性 → 女性に性的魅力を感じる

という性的指向は、発達・遺伝・胎児期要因などの影響が大きく、単純な条件づけで説明することはできません。

一方、

人形、靴、特定の衣服、特定の身体部位などに性的興奮が結びつく

という現象では、学習・条件づけが関与する可能性が比較的直接的に研究されています。


6. 「快楽殺人」はさらに別問題

「殺人によって性的興奮を得る」という性的サディズムは、DSM-5-TRでも扱われるパラフィリア関連の領域ですが、性的サディズムを持つ人=殺人者ではありません。

DSM-5-TRでは、パラフィリアそのものと「パラフィリック障害」を区別しており、性的関心が非典型的であることだけで精神障害とするわけではありません。一方、非同意の相手への加害などを伴う場合には重大な問題になります。


したがって、あなたの仮説を科学的な表現に直すなら、

「性的な報酬と特定の対象・状況が結びつくことで、後天的な学習・条件づけによって性的興奮の対象が形成・強化されることはある。ただし、死体性愛や動物性愛など個々のパラフィリアがすべてそのように獲得されることが証明されているわけではない」

となります。

そしてこれは、先ほどの**同性だけの環境に長期間置かれると同性との性的行動が増えることがある」という話とも共通する部分があります。ただし、「行動が学習されること」と「性的指向そのものが学習によって作られること」は同一ではありません**



「質問」

だから異性愛の重要性の教育が重要


「chatGPT 答え」

「異性愛を含む男女の恋愛・結婚・子育ての重要性を教育する」という意味なら、一定の合理性はあります。ただし、「異性愛者になるよう教育する」こととは分ける必要があります。

ポイントは3つです。

  1. 社会の再生産を教える
    • 男女の恋愛・結婚・出産が人間社会の存続に果たしてきた役割
    • 子育てや家族形成の意義
    • 子どもを持つことを希望する人への社会的支援
      などを教育することは可能です。
  2. 異性愛を「標準的な選択肢」として教えることと、異性愛を強制することは違う
    「多くの人は異性に恋愛感情を持つ」「男女のカップルから子どもが生まれる」という説明は、事実として教えられます。
    しかし、
    「男性は必ず女性を好きになるべきだ」
    「女性は男性を好きになるよう努力すべきだ」

    とするのは別問題です。性的指向を教育によって意図的に変更できるという科学的根拠はありません。
  3. 少子化対策としては、異性愛の教育だけでは不十分
    日本の場合、出生数を左右するのは性的指向だけではなく、結婚する人の割合、結婚年齢、子どもを希望する人数、所得、住宅、雇用、育児負担などが大きく関係します。

したがって、社会の存続という観点からは、

「異性愛・男女の恋愛・結婚・子育てが社会に果たす役割を肯定的に教える」+「結婚・子育てを希望する人が実現できる環境を整える」

という政策は十分議論できます。

一方で、「同性愛者を異性愛者に変えること」を教育目標にするのは、科学的にも倫理的にも別の問題です。

なお、前の話にあった「同性だけの環境で性的行動が生じること」と「異性愛教育の必要性」を結びつける場合、「異性愛を教えれば同性への性的関心を防げる」という因果関係は現在の研究では確認されていません。ここはかなり重要な線引きです。



《質問》

原住民や狩猟採集民では異性愛はどう教えられ、同性愛はどう扱われる?



《chatGPT答え》

かなり重要な比較対象です。結論からいうと、狩猟採集民・先住民社会でも「異性との結婚・性交・出産」を次世代への加入の重要な道として教える社会は多い一方、同性間の性的行動を一律に禁止する社会ばかりではありません。社会によって驚くほど違います。

そして、これは先ほどの話とも関係します。「性的行動は文化によってかなり変わる」ことは明確ですが、「性的指向そのものを文化が自由に作れる」という証拠にはなりません。

1. 「異性愛を教える」というより、結婚・生殖を教える

狩猟採集社会では、現代の学校のように「異性愛とは何か」という授業をするケースは一般的ではありません。

むしろ、

  • 男性として一人前になる
  • 女性として一人前になる
  • 異性との関係を作る
  • 結婚する
  • 子どもを持つ
  • 家族・親族集団の一員になる

という人生儀礼(イニシエーション)や日常生活そのものを通じて、男女関係と生殖を学ぶという形が多いです。

例えばアフリカの一部の先住民社会では、男子・女子の成人儀礼の中で性や結婚について年長者から教える伝統がありました。

つまり、

「男は女を好きになれ」

と抽象的に教えるというより、

「あなたは男性として成長し、将来女性と結婚し、子どもを持ち、社会の次世代を作る」

という形で社会的役割を教えるわけです。


2. しかし、同性間の性的行動が存在する社会もある

非常に有名なのが、パプアニューギニア高地の**サンビア(Sambia**についての民族誌です。

かつて人類学者ギルバート・ハードによって研究されたサンビアでは、少年期から青年期にかけて男性同士の儀礼的な性的行為が行われ、結婚後には女性との結婚・生殖が社会的に期待されていました。

つまり、

少年期
→ 
男性同士の儀礼的性的行動

成人期
→ 
女性と結婚し、子どもを作る

という、一見すると現代の「同性愛/異性愛」という分類では捉えにくい社会でした。

1989年の研究では、これを「少年期・青年期の同性指向から成人期の異性愛への移行」という社会化の例として分析しています。

ただし、これは現在ではかなり慎重に扱われています。

後の人類学者は、こうした行為を西洋の概念である「homosexuality(同性愛)」と呼ぶこと自体が、その社会における年齢・男性性・儀礼・社会的地位などの意味を見落とす可能性があると批判しました。

つまり、

「サンビアには同性愛者がたくさんいた」

と単純に解釈するのは適切ではありません。


3. これは「環境によって性的行動が変わる」ことの非常に興味深い例

ここはあなたがこれまで質問してきた内容とかなりつながります。

サンビアのような社会では、

文化的規範

少年期には男性同士の性的儀礼

成人すると女性との結婚・出産が社会的に期待される

という仕組みが存在しました。

これは少なくとも、

「人間の性的行動は、社会環境によって大きく変化し得る」

ことを示す強い文化人類学的事例です。

ただし、

「だから性的指向も教育によって自由自在に変えられる」

とは言えません。

実際、後の研究では、サンビアなどの事例を「同性愛異性愛への単純な転換」と解釈すること自体が批判されています。


4. 同性愛を「悪」とする社会もあれば、別の社会的役割を与える社会もある

先住民社会を一括りにはできません。

例えばアフリカの先住民社会についての研究では、異性愛を文化・家族・社会の維持に必要なものとして重視する社会がある一方、同性間の親密関係や同性婚に相当する制度が確認される社会もあります。

したがって、

「原始社会では同性愛は存在しなかった」

も、

「狩猟採集民は同性愛に寛容だった」

も、どちらも一般化しすぎです。

社会ごとに全く違います。


5. 面白いのは「異性愛規範」と「同性行動」が同時に存在できること

これは非常に重要です。

ある社会が、

「男性は女性と結婚して子どもを作るべきだ」

という強い規範を持っていても、

同性間の性的行動が存在しないとは限りません。

サンビアの事例がまさにそれです。

逆に、

同性間の性的行動が存在する

からといって、

その社会が現代的な意味で「同性愛を認めている」

とも限りません。

つまり、

性的行動

性的指向

社会的規範

結婚制度

生殖上の役割

は、それぞれ別の変数として考える必要があります。


6. ここから見えてくること

あなたが最初に提起した、

「社会を存続させるために異性愛を教育するのではないか」

という仮説について、人類学的にはかなり興味深い事実があります。

多くの伝統社会では、実際に「男女の結婚・生殖・子育て」を社会の存続に不可欠なものとして、成人儀礼や家族制度を通じて次世代に伝えてきました。

一方で、

そのような異性愛規範が強い社会でも、同性間の性的行動が存在する場合があります。

したがって、人類学から得られる最も妥当な結論は、

人間社会は、次世代を作るために男女関係・結婚・生殖を強く制度化してきた。しかし、それと同性への性的関心・同性間の性的行動の存在は両立し得る。

というものです。

そしてこれは、「異性愛という社会的規範」と「個人の性的指向」が完全に同じものではないことを示す非常に重要な比較材料になります