トランプ大統領は、ロシア疑惑(ロシア・ゲート)で弾劾され、大統領を任期途中で辞任する事態に陥るのではないかと今、世界中で話題になっています。

 

アメリカの大統領が弾劾されたら史上初です。

このような事態に至ったのは、トランプ大統領が、コミーFBI長官に「彼(マイケル・フリン前大統領補佐官)はいいやつだから捜査しないでくれ」と依頼したが、コミー長官が応じなかったため、同長官を解任し、

コーツ国家情報長官(DNI)とロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長に対し、ロシア疑惑を裏付ける証拠はないと公言するよう要請したが、両者とも違和感を感じて拒否し、

ブレナン前CIA長官(中央情報局)が、ロシア疑惑の調査を実施するに値する情報や諜報を見たと証言したからです。

それに加えて、トランプ大統領の娘のイヴァンカ・トランプの夫・ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が、ロシア疑惑に関するFBIの捜査の対象となっていると報道され始めました。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


トランプ大統領は、以前、ロシアを訪問した際、首都モスクワの最高級ホテルに売春婦を複数呼んで○○をしたと言われているように、(米ニュースサイト「バズフィード」が公開)

大統領選挙の候補者となる前からロシアに渡航したこともあり、ロシア関係者と長年の関係を持っていたとしても不思議ではありません。

実業家であるトランプやクシュナー(不動産業)、ティラーソン国務長官(ロシアと共同事業を実施していたエクソンモービルCEO)が、政権就任前からロシア関係者と経済関係において親密なのは当然と言えば当然です。


それにしても、アメリカの情報機関の長官がこぞって、大統領の不正を告発するという光景は歴史上初めてではないでしょうか。

ちょっと背筋が寒くなりますね。

アメリカの情報機関を敵に回して生き残った政治家はいないと言われるくらいですから。


欧米の賭け業者ブックメーカーでは、トランプ大統領が弾劾される方に掛ける人が圧倒的に多いそうです。


 □ □ □ □ ロシア疑惑の根拠は死文化したローガン法 □ □ □ □ □ □ □ □


「ロシア疑惑」とは、トランプの選挙陣営が、アメリカ大統領選挙決定前にロシア政府関係者と接触していたことが法律に違反しているというものです。

その法律とは「ローガン法」です。

「ローガン法」とは、政府の許可なく敵対国(アメリカと争っている国)と交渉をすることを禁じるものです。

ローガン法は、1799年に施行されて以降、一度も起訴されたことがありません。

法律ができて以降、200数十年間、一度も使われたことのない死文化された法律を持ち出して大統領の弾劾に利用しようとすることには違和感を感じます。

 □ □ □ □ 「民間外交」は当たり前の常識 □ □ □ □ □ □ □ □

 


「民間外交」という言葉があるように、政府以外でも外交・交流することの重要性が強調されることは世の中には多いです。

日本の政治家もゴールデンウイークや夏休みになると外遊して外国の政治家と会談することを恒例にしています。

事実、トランプ当選前に安倍総理は「トランプタワー」で就任前のトランプと会談しています(昨年11月)。

「敵対国」以外なら民間外交をいくらでもやっていいというなら、「敵対国」(アメリカと争っている国)の定義が問題になってきます。

しかし、アメリカは別に「敵対国」を指定していません。

そこが前もって指定されている「テロ支援国家」(シリア、イラン、スーダンなど)とは違うところです。

指定していないにもかかわらず、後になって、「敵対国」と「民間外交」したから「ローガン法」違反だと言って犯罪者扱いするのはフェアでしょうか?


加えて、あからさまな「敵対国」である「北朝鮮」であっても、軍事オプションだけでなく外交オプションも保持しておくことは重要なことです。

あの「狂犬マティス」国防長官(実は最高のリアリスト)でさえ、北朝鮮に軍事行使すれば想像を絶する悲劇が起こると警告しているくらいですから。

ということは、北朝鮮に対しても「民間外交」が重要だということになります。

数十万人の死者が出る戦争を食い止めるためなら、何回も訪朝しているバスケットボール選手のデニス・ロッドマンやアントニオ猪木の「民間外交」でさえも、ないよりはましと言えます。

ましてやロシアに対しては、アメリカは官民様々な重層的な交流を促進すべきです。

「敵対国」に対する外交がこれほど不可欠(人の命を大事にするもの)だと痛感させる世界情勢に残念ながら現在はなってしまっています。



ただ、トランプがロシアの操り人形(パペット、マリオネット)だったと証明されたら話は別ですが、その証明は難しいでしょう。

トランプについては、ロシアが何十年も前に「お前をいつか大統領にしてやる」として、ずっと育ててきて、今回やっとロシア支援のもと大統領になることができたという話もありますが、真偽のほどは定かではありません。

アメリカのルーズベルト政権には、当時のソ連のスパイが大量に入り込んでいたというのは有名な話なので、アメリカの政権がロシア(ソ連)に操られているという話はそれほど驚く話でも新しい話でもないのかもしれません。

北朝鮮が、外交によって、核爆弾やICBМを放棄することはあり得ない(注)ので、軍事的衝突は一見(論理的に)、不可避にみえます。

(注)金日成、金正日、金正恩の三代続いて世襲された北朝鮮の独裁政権は、核兵器を保持することが独裁政権を維持していく最強かつ唯一の手段だと信じています。それは核兵器を持たなかったフセイン・イラク政権、カダフィー大佐(リビア)、ムバラク・エジプト政権などの独裁政権がアメリカによって次々と倒されていることによって、その正しさがある意味証明されているということもできます。

論理的には解決不可能に見える国際紛争に覆われた世界を、非論理的に見えても何とか調整するのが「政治」です。

そこには建前や法律などは関係ありません。

「政治」は結果です。

その「政治」の世界は裏取引や秘密交渉など蛇の道は蛇で、きれいごとばかりで成り立っているわけでは当然ありません。


 □ □ □ □ 機密情報の漏洩? □ □ □ □ □ □ □ □


また、トランプ大統領は、イスラム国に関する機密情報をロシア・ラブロフ外務大臣に漏らしたとして批判を浴びています。

しかし、イスラム国対策をロシアの外務大臣と話し合う際に、イスラム国に関する現状認識が食い違っていては話し合いにならないので、現状の認識を共有したいとしてノートパソコンを見せたトランプ大統領の気持ちはよく分かります。

外国の要人と現状認識を共有する際、大統領本人が持っている情報が、外国に漏らしてはいけない機密情報か、そうでないか区分できていたかどうかが問題です。

外国に絶対に漏らしてはいけない機密情報と外国の要人と共有してもよい情報を厳密に区別して大統領に提示しなければならない責任があるのは大統領の側近や国務省・情報機関です。

大統領本人が「これは外国に教えてはいけない情報だったかな、どうだったかな」と考えなくてはならない組織現状になっているとしたら、その組織のスタッフに問題があると言えます。


 □ □ □ □ スタッフの不手際? □ □ □ □ □ □ □ □

少し次元の違いますが、ちょっと前に政府高官(務台俊介内閣府政務官)が台風被害を受けた岩手県を視察する際(昨年9月)、「長靴を忘れ」、水たまりを渡る際に部下におんぶされたことが批判を浴びたことがありました。

この時は、周りの関係者の多くが「長靴」を履いている中で、その政務官だけが「革靴」を履いて被災地を視察したことがパッシングされました。

しかし、周りのスタッフが全員「長靴」を履いていたとしたら、視察現地が水浸しになっているかどうか熟知しているスタッフ(含現地自治体)がなぜ政務官の「長靴」を用意してなかったのか。

政務官本人は視察前に現地が水浸しになっているかどうか知るすべは(スタッフに知らさせない限りは)ありません。

この不手際の原因は、「長靴」が必要な現地を視察するのに「長靴」を用意しなかったスタッフの不手際であると評価されるべきケースです。

このように周りのスタッフの不手際を取り上げて、大々的にフレームアップしてバッシングするのが、先のトランプの情報漏洩問題も含めて、世界中のマスメディアの手口です。

皆さん気を付けましょう。


 □ □ □ □ ペンス副大統領が交代するというシナリオ □ □ □ □ □ □ □ □


トランプ大統領が弾劾されて任期途中で辞任することになれば、副大統領のペンスが一旦、代わりに大統領に就任することになります。

コントール不能のトランプよりは、共和党の手綱が効くペンスの方が共和党としては願ったり叶ったりというところです。

このように、トランプ大統領はいずれ任期途中に立ち行かなくなり副大統領が就任するというシナリオは、トランプ大統領当選前後から囁かれていたものです。

トランプは、従来の常識からすると外れた政策ばかりを執り、オバマ前大統領とは真反対の政策ばかりを打ち出していましたが、

交代したペンス政権では、伝統的な共和党の政策に戻ることが予想されます。


 □ □ □ □ 国策捜査と指揮権発動 □ □ □ □ □ □ □ □

「国策捜査」は、「外務省のラスプーチン」と言われた佐藤優さんが著書「国家の罠」 (新潮文庫)の中で詳細に記述してベストセラーになったことで有名になりました。

 

「国策捜査」は、政権や世論の動向を考慮して地検特捜部が行うものとされています。

 

佐藤優さんはこの作品で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞されています。

「国策捜査」では、そのほかに鈴木宗男や堀江貴文が有名です。


「指揮権」とは、法務大臣が検事総長に対して事件の捜査を指導することができる権限です。

 

指揮権が発動された例は、1954年の造船疑獄の強制捜査を中止させたのが唯一の例です。

 

このように「国策捜査」と「指揮権」について考えると、時の政権が犯罪捜査をコントロールすることは絶対にありえないことでも、必ずしも犯罪と規定されているものでもありません。

 

もちろん三権分立を侵害するので基本的にはやってはいけないことですし、自分の捜査をやめろというのは論外です。だからこそトランプは「自分はFBIの捜査対象になっていなかった」と強調していました。

 

政権が犯罪捜査を支配していると言えば、中国、ロシア、北朝鮮などの共産主義独裁体制やその他独裁国家では当たり前の日常茶飯事ですし、他の国でもいろいろとありそうです。

 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 □ □ □ □ ヨーロッパの「潮目」も変わった? □ □ □ □ □ □ □ □


ヨーロッパの各種選挙でも、EU離脱の波・トランプ旋風は起きませんでした。

フランス大統領選では、EU離脱・移民排斥を訴える極右政党「国民戦線」の元党首・マリーヌ・ルペンが決選投票まで進み、3割の票を獲得するまで善戦しましたが、決選投票で敗れました。

マリーヌ・ルペンの一時期の勢いは世界的に注目されるものがありましたが、マリーヌ・ルペンは決選投票まで進んでも、極右政党に対して拒否反応を示す層がフランスには厚いために決選投票で勝つことはできないだろうと予想されており、結果、予想通りになりました。


決選投票で敗れるというのは、「フランスの恥」とも言われた父親のジャンマリー・ルペンと同じで、父親を超えるべく、「国民戦線」のイメージチェンジを図り、ソフト路線を歩んでいた娘のマリーヌ・ルペンも、結局、成功しませんでした。

もちろん、フランス大統領に当選したマクロンも順風満帆なわけはなく、フランスの経済的な不況と格差拡大、テロの蔓延、移民増大による社会的な混乱などの問題はそのまま残っているので、マリーヌ・ルペンは次期大統領を狙っているでしょうが、それは次幕となります。

つまり、フランスでもEU離脱ドミノは起こらない。


ドイツの3月の地方選挙でも、EU離脱を訴える政党を抑え、EU残留を訴える政党(メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が勝利しました。

このため、秋に行われるドイツ議会選挙でもメルケル首相の政党(メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU))が勝利することが予想されています。

つまり、ドイツでもEU離脱ドミノは起こらない。


昨年6月のイギリスのEU離脱を決めた国民投票に続いて、フランスやドイツなどでEU離脱ドミノが起こることが懸念されていましたが、どうやらここまでのヨーロッパでの選挙結果をみると、EU離脱ドミノは行らない公算が高くなってきました。



 □ □ □ □ 小池都知事の「潮目」も変わった?□ □ □ □ □ □ □ □


小池百合子東京都知事は、昨年7月の東京都知事選挙の際には、舛添要一前知事と自民党東京都連を批判して、小池ブームを巻き起こしました。

小池氏は東京都知事就任後は、「豊洲市場は盛り土をされていないから汚染されている危険性がある」と喧伝して耳目を集め、それに騙された大衆の人気を高めました。

しかし、自分の人気取りのために利用した豊洲市場問題が諸刃の剣となり、現在はその豊洲市場問題の切っ先が小池自身の喉元に突き付けられています。

そのような目を覆う事態になった原因は、築地市場の豊洲への移転が長引けば長引くほど、損失を補填する業者への補償金が数十億円単位で毎日、積み重なっていっているからです。

豊洲移転を延期すれば、莫大な損失が発生するということは前もって分かっていたことです。

豊洲の地下の汚染問題をクローズアップすればするほど、潔癖症である日本人の心情を刺激するであろうことも前もって分かることであり、豊洲移転が困難になることは予想できます。


このことは、日本人の特徴である食品に関して過度に敏感過ぎる潔癖症である国民性を見ても明らかです。

それは、世界に稀に見るBSE(狂牛病)の全頭検査を始めとして、食品への異物混入を大事件かのように報道する風潮、賞味期限切れに近い食品の大量廃棄問題(食品ロス問題)などを見ていくと、一連の系譜に位置しているものです。
 (食品に関する日本人の潔癖症に関してはこれまで次の記事で書いていますし、今後も書きます)

7月の東京都議選で再び「小池ブーム」が起きるほど日本の民度は低くないと思いますし、起きてはいけないことだと思います。

 □ □ □ □ トランプ大統領は風前の灯火? □ □ □ □ □ □ □ □

グローバリゼーションにより中国などの安い製品とメキシコなど中南米からの不法移民に駆逐され、職を失ったアメリカの失われた中間層の悲しみと、テロが頻発している欧米の不安感を救済するべくして登場したトランプ大統領が、どのようにこの21世紀の世界を変えていくのかに、当ブログは注目して、記事を書いていました(世界同時右傾化)が、

そのトランプ大統領は風前の灯火になっています。

 

 

 □ □ □ □ 追記 イギリス総選挙で予想外の結果 □ □ □ □ □ □ □

 

 イギリスの総選挙(6月8日投開票)では、当初、圧勝の予想を覆して、メイ首相の与党・保守党が過半数割れに追い込まれ、メイ首相の責任論まで噴出しています。

 この予想外の苦戦について「Hard Brexit is dead EU離脱強硬派は死んだ」との見方まで出ています。

 このイギリス総選挙での大方の予想を覆す結果も「世界の潮目が変わった」兆しかもしれません。

 

 

 □ □ □ □ マクロン新党圧勝 □ □ □ □ □ □ □ □

 


 フランスの国民議会(下院)総選挙(6月11・18日)では、マクロン大統領の新党「共和国前進」が圧勝する見通しとなった。
 

 フランスでもEU残留派の方に「潮目」が流れているようにみえます。