オバマ米大統領が最後の退任演説を1月10日夜、行いました。
オバマ大統領が「チェンジ」を唱えて、8年前に就任した際、アメリカ国民は熱狂的に期待しました。
その前のブッシュ大統領がイラク戦争、アフガニスタン戦争など戦争ばかりしていたからです。
オバマ大統領の「チェンジ」は、何を変えようとしていたのでしょうか?
◇ ◇ ◇ ◇ オバマの「チェンジ」は何を? ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オバマ大統領は、
○ 戦争がない平和な世界(アフガン撤退)
○ 核のない平和な世界(ノーベル平和賞)
の実現を目指していました。
その上、黒人初の大統領として、差別のない多様性を尊重する社会の実現を目指しており、
○ 人種差別反対
○ 宗教差別反対
○ 性(男女)差別反対
など差別反対・是正を前面に掲げていました。
これは言い方を変えると、
○ 人種的マイノリティ尊重
○ 宗教的マイノリティ尊重
○ 性的マイノリティ尊重
など少数派・マイノリティを尊重・支援する社会の実現を目指していたということになります。
◇ ◇ ◇ ◇ オバマの政策はマイノリティ優遇 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これらオバマの具体的な政策としては、
○ 人種・宗教差別反対のため、移民・難民を積極的に受け入れる政策
○ LGBT(レズ、ゲイ)などの性的マイノリティ差別をなくすためポリティカル・コレクトネス(PC・政治的公正さ)やアファーマティブ・アクションなどのマイノリティを優遇する政策
(注:アファーマティブ・アクション 女性や黒人等の大学・会社の合格比率を何割以上にするという規則)
を推進してきました。
◇ ◇ ◇ ◇ 移民受け入れ推進 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
このようなオバマの移民受け入れ策によりアメリカは、白人が近年まで90%~80%と大多数を占めていた社会から、2050年頃までには白人が半分にまで減ってしまうほど、白人が激減していく社会になっていくようです。
白人が急減し、黒人やヒスパニック(中南米系)が急増していくことに、米国内白人は危機感を抱いています。
「移民国家」と言われながら、意外とアメリカは、近年まで白人の比率が高かったようです。
また、アメリカの国境警備隊は、オバマ以前は、不法移民を厳しく取り締まるのが仕事であったのに、オバマ政権になってからは移民を丁重に保護しなければならなくなったため、「まるで託児所ようだ」と嘆いているそうです。
このエピソードは、オバマ以前の不法越境移民は、捕まったら犯罪者として扱われ、良くても強制送還と「命懸け」だったのに対して、オバマ後は「やったもの勝ち」になってしまったことが分かります。
しかも、不法移民が子連れで来るということは、厳しい取り締まりは受けないと最初から舐められている証拠です。
また、近年、米国内で黒人が殺される事件があると、米国世論が過敏に反応するようになり、白人警官が黒人犯罪者を銃撃すると、すぐに暴動が起こるようになりました。
アメリカは日本と比べたら、殺人事件数や犯罪発生率が数十倍なので、警官が銃を撃つケースも日常茶飯事だったはずですが、現状では、白人警官が銃を使用するのに躊躇してしまう世情になってしまいました。
人種的マイノリティ差別反対が過激になりすぎたせいで、人種的マジョリティである白人がプライドを持てなくなったと言われるくらいの弊害が起きています。
◇ ◇ ◇ ◇ マイノリティ差別反対の異常さ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オバマ大統領が黒人初の大統領だったこともあり、この間アメリカでは、
○ 人種・宗教マイノリティやLGBT(レズ、ゲイ)などの性的マイノリティ差別をなくすためポリティカル・コレクトネス(PC)
がこの8年間、急激に行き過ぎてしまいました。
このポリティカル・コレクトネス(PC)については、近年、笑い話になるくらい行き過ぎた弊害が発生しています。
例えば、「ジェンダー・ニュートラルトイレ」、「ジェンダー・フリートイレ」などというように、「トランスジェンダー」(男とも女とも言えない人)のために、トイレを男女別に分けるのは「性差別」であるからトイレは男女兼用にすべきであるとの市の条例が米各地で制定されています。
このように、「男女を区別することが性差別である」という主張がアメリカでされるようになり、また、それに対する反発が「トランプ現象」となって激しくなってきているようです。
また、「Facebook」では性別欄が新たに58種類設けられ、「男と女の間を揺れ動いている人」という「ジェンダー・フルイド」などが有名です。
このように、ポリティカル・コレクトネス(PC・マイノリティ差別反対)がアメリカにおいてエスカレーションしており、58種類の性別を考慮しなければ性差別と言われかねない状況になってきてます。
トランプ支持者が言う「トランプは本音を言ってくれるから支持している」という言葉は、この「反PC」の流れを認識しないと理解できないものです。
◇ ◇ ◇ ◇ 性別のファクターは5種類以上 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そもそも、性には、
① DNAの性(XY染色体)
② 性器の性(アンドロギュノス(両性具有)もあり)
③ 脳の性(男性脳・女性脳)
④ 性自認の性(自分で自分のことを男・女と思っている)
⑤ 社会的な性(ジェンダー、社会の中での役割や地位)
⑥ 性嗜好の性(自分は男だけど男が好きとか、人ではなくモノが好きとか)
なと、五つ~六つ以上のフェイズ・ファクターがあり、それがグラデーションになっているので、その組み合わせは無限です。
例えば、性器の形成は、母親の胎内において、どの程度、男性ホルモンに晒されるかで違いが出てきます。
人間の胎児の身体は、原型となるベース(デフォルト)が女性で、その原型に男性ホルモンのシャワーが降り注がれることによって、男性的な体が形成されます。
同じように、脳も母親の胎内での男性ホルモンレベルによって、男性的な脳になるか女性的な脳になるか決まってきます。
このため、妊娠中の母親の胎内の男性ホルモンのレベルによって性器や脳がどこまで男性的になるかが決まってきます。
例えば、同じ胎内で男児と同時に生育する双子の女児は男勝りになることが知られています。双子の男児の精巣から男性ホルモンが分泌されるからです。
この妊娠中の男性ホルモンレベルは、母親のストレスなどによって減少するようです。
例えば、先の大戦中のドイツで妊娠した母親から生まれた男性には、同性愛者が多かったとの説もあります。
仮に、五つの各フェイズに3ファクターあるとして、
3×3×3×3×3=243の組み合わせ
つまり243の性が少なくともあることになります。
◇ ◇ ◇ ◇ トランプの政策はオバマの反対! ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
このようなオバマ大統領の理想主義的な差別反対、マイノリティ優遇措置が行き過ぎたために、トランプ現象を巻き起こしました。
このため、トランプ大統領は、オバマ前大統領の反対の政策を打ち出すことになります。
いや、逆にトランプの主張を見ていくと、オバマの政策の逆だということがよく分かります。
つまり、トランプ大統領が今後、打ち出す政策は、
○ 移民・難民を厳しく取り締まる政策
○ 軍事を増強する政策
○ 核兵器を増強する政策
○ 有事の際には軍事行動を厭わない政策
ということになりそうです。
トランプの閣僚人事は、「軍人」と「大富豪」と「ゴールドマンサックス」ばかりと言われているくらいですからね。
トランプは、「これがトランプワールドだ。そうだろ、そうだろ」
(This is the Trump World. right? right?)
などと言っています。
「トランプワールド」は「オバマのチェンジ」と正反対の世界です。
自国第一主義(自国優先主義)、排外主義、ナショナリズム、ポピュリズム、エゴイズムに基づいた世界です。
トランプ大統領の就任が1月20日、一週間後に近づいています。
トランプが、どんな政策を打ち出すか、予測不可能だと巷間、言われています。
しかし、トランプ大統領の政策は、オバマ大統領の反対側にことごとく打ち出してくるだろうと思っていれば間違いないのではないでしょうか?