強姦致傷事件を起こした俳優の高畑裕太の母親である女優の高畑淳子さんが「謝罪会見」を開きました。

大変「立派な」謝罪会見でした。

 

私たちは、この間、有名人が定期的に吊し上げに遭い(バッシング、メディアリンチ)、その世界から消されていく様を見てきました。

 

有名人が不祥事を起こした時には「謝罪会見」が開かれますが、その「謝罪会見」のやり方によって、その後のバッシングの壮絶さが決まってきます。

 

2007年当時、CМ女王と言われた大女優・三田佳子さんの息子が麻薬事件を起こした時の三田さんの謝罪会見(第1回目)では、涙一つ流さず、自分の子育ての責任を悔悟することなく、気丈に振る舞ったことにより、その後、バッシングの嵐に遭い、トップ女優の地位を追われました。

 

これ以降、「謝罪会見」では涙を流さないとマスコミや世間から許してもらえないということが定説となり、その後は芸能人だけではなく、企業の謝罪会見でも涙を流すことが定番となっていき、「謝罪コンサルタント」(危機対応コンサルタント)という奇妙な職業が成立し、欧米からは奇異の目で見られることになります。

 

その点では、高畑淳子さんの謝罪会見は完璧でした。

 

自分の子育てに原因・問題があったことを否定せず、途中で何回も悔悟の涙を流していました。

 

日本人はあれだけ泣かれると、それ以上、バッシングできなくなります。

 

ベッキーさんがあの謝罪会見の時に、「号泣して謝罪していたら」と思うと、結果が全く違っていたのではないかと想像します。

 

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日本人が、集団の和を重んじること、集団の協調性が高いこと、

 

逆に言えば、集団への同調圧力が強いこと、集団の秩序を乱す者には、大変、神経質で、攻撃的であり、異物排除が激しいことについては、これまで取り上げてきました。


これが日本におけるバッシングが激しい理由であることは、このブログの「日本ってバッシング社会ですよね?」の記事の中で書いてきました。

 

例えば、中学校や高校のクラブ活動における体罰が社会問題になっていましたが、8月1日に放送されたNHK「クローズアップ現代+ 死ね!バカ!これが指導?~広がるブラック部活~」(8/1)では、最近は体罰が減ったものの、「死ね、バカ」などの暴言が増えていることと、そのような過酷な環境の中でも、同調圧力が強すぎるために、部活を辞めた方が壮絶ないじめに遭うために辞めることができない状況にあることが紹介されました。

 

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日本の民族、日本人がこれほど集団の秩序・規律を重んじる民族である理由は、歴史的かつ地政学的な根拠があるはずです。

 

日本は、海に囲まれた閉鎖的な島国であり、稲作を主とする農耕民族でした。

 

稲作は、例えば、雨が降らない時期に、村人全員が困っている際、自分だけ抜け駆けて、かけがえのない水を自分の田んぼだけに引いてしまう「我田引水」をするという「村のおきて」を破ってしまった場合、稲が全滅して、村人全員が飢饉になってしまうということが起こり得ます。

 

しかし、例えば、モンゴルの遊牧民だと、羊や馬などの家畜に食べさせる草がなくなったら、ゲル(移動式住居)をたたんで、広いユーラシア大陸内を移動すればいいだけです。

 

このようにして、稲作を主とする閉鎖的な日本社会では、「村のおきて」を破る者は、絶対に許すことはできない、という排他的な民族性が培われていくことになります。

 

このため、日本人の異物排除が過激になることは、歴史的、民族的な本質的理由から来ているものであるので、根本的に根治することはできません。

 

しかし、多くの心身症の改善策に見られるように、その原因を認識するだけで、抜本的に症状が改善されることが多いということもあります。

 

それゆえに、日本人のバッシングがなぜ激烈なのかという原因を見つめることは意味があると思われます。