週末の夜です。今日は、私の手元にある豆猪口の話をしましょうか。
ツバメが描かれたもの、3個ありますが、すべて手書きのためか、微妙にその姿は違います。底の部分には、窯元か作者かはわかりませんが、3文字の漢字が記されています。達筆すぎて読めませんが、かろうじて3文字目は「秋」と読めます。
万古焼の猪口も3個あります。「祭國秋 竹古時 〇域外 〇悲欲 呉天」と隷書の漢詩らしきものが書かれ、その作者名でしょうか、これまた達筆で2文字が記され、竹林の三賢人らしき絵が描かれています。
骨董仲間のAさんが好きそうな土ものの猪口、茶色をベースに水色の釉薬がかかっていますが、小さなお猪口で、Aさんの好みは、もう少し大きめなのが好みかもしれません。記号のような窯印があります。
つづいてはキュートな小さな猪口、枇杷色と土色の中間色をベースにした、これまた土ものです。中には、何かの鳥と思われますが、鳥が2羽、描かれていますが、かすれていて、その正体ははっきりしません。口縁に1か所、へこみがあるのも魅力的です。
「九谷木米」の窯印がはっきり書かれた磁器のお猪口、四角い形で、四隅がへこんでいます。赤をベースに緑の樹木が描かれ、中国風の衣装をつけた人物が描かれています。
たぶん、明治か幕末ごろでしょう。手書きで藍色の染付が白地に描かれたもの。
底の部分に四角で囲んだ中に「九谷」とかかれた猪口、白地に草花が描かれています。その中に御所車かと思いますが、車輪が描かれています。京都風の絵です。
「九谷」の窯印、白磁に赤色の線が中ほどと下部に描かれ、草花や水の流れが上部に描かれています。中を見ると、底の部分に草花らしき文様が描かれています。小品ながら、手の込んだ作りかと思います。
平底の猪口です。外側には紅葉と水流が描かれ、底の部分の周囲は蓮華模様が書かれています。内側を見ると、さらに豪華な文様です。赤絵の鳳凰らしき図柄や蝶を思わせる文様が描かれ、見込みには中国の山水画が藍色であしらってあります。赤色との対比が見事です。内側の口縁部分にも文様がめぐらしてあります。外側から見た印象と、内側を覗き込んだ時の印象が全く違うのは見事です。
底に「道八」の銘、白磁に漢字4文字が記され、山水画風の藍色の染付。
まだまだあります。「九谷」「九谷南山」の窯印があるもの、同じく「九谷」の窯印が内側にし
るされたもの、「大明嘉成年製」と底に窯印のあるもの、「陶古」と窯印がかかれ、見込みには「魁」の文字の赤絵のあるもの。
きりがないのでやめますが、前猪口というのは高さ3センチからせいぜい5センチ弱、直径も同じように3センチから5センチ弱のちいさなものです。しかし、そんな”小宇宙”に描かれた細かい文様の多様性が見事です。絵筆をふるった職人さんたち、1日中、書いていたのでしょうか、昼時には、疲れた腰を手で支え、大きく伸びをしたのでしょうか。それとも絵を描くのに夢中になり、昼飯を食べるのも、一服する時間も忘れて夢中で描いていたのでしょうか。
そんなことを想像すると、たかが豆猪口と言って、また、私自身は全くの下戸ですが、手放す気にはなれない愛すべき陶磁器諸君です。
如庵