太古の神々で生き残っている者は少ない。


原始天尊の妻・西王母は先代天君の姉で、天君・浩徳君の伯母にあたる。夜華君の曾祖母にあたり、天君に嫁いだ天后の生母である。


現天后の縁談も、白浅との縁談も、天君に提案したのが東華帝君だったから、この事態に帝君は責任を感じている。

画像は、中国ドラマ『永遠の桃花』よりお借りしました。


『神器・推古鈴』を以て、阿離と子狐達をいま守護しているのは高祖父・原始天尊である。

手にある小さな推古鈴を『鳴らしている』のは、曾孫の夜華君や崑崙虚の者が見つけやすいようにだ。
「太子・浩徳君と幸せになります。」と相思相愛の相手に嫁いだ娘は太子后となり、天后となり、3人の息子と1人の娘を生んだ。

天后は長男・央錯君を跡取りにするべく教育したが、天君の期待は次男・桑籍君にあり、帝君の期待は三男・連宋君にあったため『後継者』を定めることが出来なかった。

天君の後継者に成り得ない1人娘だけが、好きな男性を見つけて愛を育み、嫁いだ。生まれたのは娘で、夜華君の従妹『織越』である。

天君に嫁いだ娘は『天族の掟』に従い、夫である天君が複数の側室を持つのを認めるしかなかった。泣き暮らした。

七族のうち二族である『妖族』と『鬼族』は武神・墨淵上神率いる『天族』が攻め滅ぼし、『魔族』は東華帝君が攻め滅ぼした。
残る『翼族』とは同盟を結んでおり、『青丘(狐族)』は東華帝君に臣従した。

父神・伏羲は『人間界』を創造し、神々の争いに巻き込まれて苦しむ人間(凡人)を新しい世界に送った。
息子の墨淵上神にしろ、東華帝君にしろ、神々の争いに巻き込まれて命を落とす人間を顧みないことに失望していたから。

原始天尊はそんな世の在り方について考えはするものの、全ては『天』が定めるものだと関知しなかったのだが、娘が生んだ孫・桑籍君を父である天君が殺そうとしたり、幼い頃から『自分を殺して、我慢をし続けてきた曾孫・夜華君』が唯一愛した者を、躊躇せずに手に掛けた天君をみて、このままでは『天族』も遠からず滅びるのではないか?と考えるに至った。

というのも、いままで『手段を選ばず』だった墨淵上神と折顔上神が『白浅上神』を守るために原始天尊に頭を垂れたからだ。

女子一人のために動くなど無かった者が「助けてやりたい。」と言ったのが、曾孫が愛した女子である。

娘、孫息子、曾孫と傍観に徹した原始天尊であったが、さすがに黙っていられなくなった。

白浅の腹の子は、原始天尊の子孫である。

阿離が「高祖父さま」と原始天尊を呼んだことはないが、呼ばせてやるべきだったと後悔した。ゆえに、『神器・推古鈴』を譲り渡した。

高祖父、原始天尊にも『情』がある。


続く。