善かれと思い『30客』を『366客』にしてしまった手前、東華帝君も考え中です。
東華帝君は気分転換に、夜華を連れて中庭で碁を打っています。
「夜華、白浅への贈り物だが、いま少し考えてみよ。」
「はい…」
『碁』は打ち手の力量もですが、何より性格が滲み出ます。
夜華の『手』は素直で力強く、こつこつと陣を組んで行きます。東華帝君の誘い手に惑わされることなく、着実です。
「・・・。」
「・・・。」
面白味がないとも言える『手』ですが、将来の『天君』ならば十分でしょう。
「・・・。」
「・・・。」
それだけに『堅実な贈り物』をと考えて、当り障りのないものでは『夜華の気持ち』は伝わりません。
「普段、白浅が使っている物や白浅の母、白鳳九の装飾品を思い出してみよ。手懸りはないか?」
「青丘の狐族は皆、素朴な物を好みますが、天宮では質素に見えますので『皇太子妃』には相応しくないかと…」
「いつも返されているではないか…」
夜華が碁石を落とし掛ける。
さて、夜華君。どうする?