・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・









突如現れたタツヤは



【まぁ、仲が良くてよろしいな】



俺たちにはたったこれだけを言って



【ミルクは一人でいるのだろう?悪さをしてないか見てくる】




それなら自分も一緒にと言った翔を制して、一人でスタスタと二階へと上って行った




『何か足取り軽くね?』




じいちゃんの代からの古い建物、所々軋む階段はトントンと軽い音を立てていて



悪さをしてないか確認だという割には、ウキウキとしたような声と表情に見えた





「我々ではなく、ミルクの様子を見に来たんでしょうね(笑)」




向こうにいた頃、翔が面倒を見る前、1匹だけ異質だったミルクを気にしていたのは他でもなくタツヤだったらしい




「本当はご自分でお世話をしたかったのかもしれませんね……立場上、難しかったでしょうけど」 




階段下でそっと耳をすませてみれば楽しそうな声も聞こえてくる




「ミルクも懐いてましたからね」




怖い顔してるけど、なるほど、動物にはその人の本質が分かるんだろう




『アイツも家族なんだな……』




心強い味方がここにもいるということだ








満足するまで構うことができたのか



【大人しくしていたようだが、また時々様子を見に来ることにしよう】




仕方ないなみたいな雰囲気を出してるけど、目尻を少し下げながらタツヤは帰って行った




『毎日でも来そうだな……』



「確かに(笑)」



ニノと松潤にお願いしたけど、自分が見るからいいと言い出しそうで、想像したら可笑しくなった







パンがあと少しとなったところで店を閉め二階へと上がると、ミルクは待ってましたと元気にお出迎えしてくれて、その愛くるしい姿に疲れなんて吹っ飛んでしまう



そのまま買い物がてら散歩に出掛けた







朝は翔が連れて行ったから、今度は俺がリードを持つ事に



ミルクは、キョロキョロとはしてるけどグイグイ引っ張ることなくピタリと俺の隣を歩き



「私の時とはえらい違いですね?」



これはきっと、俺だからとか翔だからというのではなく



“わぁ〜、かわいい〜♡”
“お利口さんね♪”



すれ違う人たちにそんな風に褒められてるからで



『お前ご機嫌だねぇ♪』



そりゃカッコイイとこ見せようと頑張っちゃうのは人も犬も同じってことだ





薬局の斗真はみんなと同様、ミルクをかわいいと褒めつつ



“こうして大ちゃんと翔ちゃんの間にいると、2人の子どもみたいだね”




男同士だし犬なんだから冗談で言ってるに決まってるんだけど



『ミルクは俺たちの子だもんな♪』


「もちろんですよ♪」


【ワンッ♪】



ここにも分かってくれてる人がいると思うと自然と笑顔になって



“なんか、笑った顔が似てるね?”




翔とはもちろんのこと、犬と似てるなんてありえないのに、嫌な気なんて全くしなくて、むしろ誇らしくも思えた





長くない商店街、散歩には短いかもしれないけどまだまだ小さいミルクにはこれくらいで充分かと、端の駐在所の風間ぽんに挨拶した所で折り返した




帰りは開いてる店で買い物をして、店に入れないミルクは翔と外で待たせ



『ねぇねぇ、うちの子見てよ♪かわいいでしょ?』



親バカのように店主に紹介しながら歩いて



いつの間にか翔の手にはいくつもの買い物袋がぶら下げられていた





「たくさん買いましたね」




『ついつい色んな店に寄りたくなっちゃったもんで……』




「ミルクのお披露目成功ですね」




『みんなかわいいってよ』




「似てるなんて言われちゃいましたしね」




『なんか嬉しいな♪』




「やっぱり私たちが愛し合って産まれてきてくれた子ですからね♪」




『まぁな……///』




「まだまだたくさん産まれてきますよ〜、悪魔界も愛で溢れちゃいますね
ハニーもそう思うでしょ、ムフフ♡」




『んふふ……///』




「さっそく今夜もいかがですか?」




『連チャンは無理!』




「えぇ〜?!」




『だってこれからずっと一緒にいるんだろ?焦らなくたっていいじゃん』




「まぁ、それはそうですけど……」




『なんだよ』




「ハニーを前にしたら私のアレがいつでも反応してしまうわけで……」




『わっ!お前、バカヤロっ!こんなとこでナニしてやがる?!』




「だからいつでもこうなっちゃうんですってば♡」




【ワワンッ!】




『ミルク、もっと怒ってやれ!
節操ねぇなぁって!』





「自然現象ですから仕方ないんですよ〜、さっ早く帰りましょ〜♪」




『今日はしねぇぞ?!』




「ムフフ〜、どうでしょうねぇ♡」




【…………】




両手の荷物をブンブン振り足取り軽い翔の後ろで、やれやれだななんて顔を見合わせるミルクと俺だけど




歩き出したミルクの尻尾はフリフリとしているし、そのリードを持つ俺の顔もきっと笑っているはずで








2人と1匹


人間と悪魔と犬


俺と翔とミルク




種族が違う俺たちの暮らしは、きっと毎日楽しくて





「ハニー、愛してます♡」



『んふふ、俺も愛してるよ♡』




【ワンッ♡】




そんな言葉が飛び交い、幸せが溢れる未来がどこまでも広がっている気がした




End





何とか最終話を迎えることができました
6月中に完結を目指してましたが
僅かに叶わず( >_< )
あとがきは後ほど……
ひとまずありがとうございました(*^-^*)