・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・









タツヤは頭のてっぺんから足の先まで相変わらず真っ黒なカッコで



鋭い目つきに細い眉がキリッとしていて




良く言えば凛々しいけど
ハッキリ言えば怖いってやつ




久しぶりの再会、知ってる奴とはいえ俺も少し身構えてしまうくらいのオーラを放っている






でも、まだまだ小さいワンコは怖い物知らずなんだろう




尻尾をフリフリしながら近付いて行って足元をぐるぐると回っている




そして立ち上がり足にしがみつこうとするから、裾に真っ白な毛がフワフワと張り付いて




スーツなんて滅多に着ないし、別に神経質なわけじゃない俺でも、うわぁ…って思ってしまうやつ






ワンコが怒られるんじゃないかと恐る恐るタツヤを見ると……




っ?!?!



目も眉も下がり見たことないくらいのデレデレ顔、更には抱き上げてフワフワの体を優しく撫でていた




何ていうか……意外な光景






俺の視線に気が付いたのか、タツヤはハッとしたのち顔を整えワンコを翔へと渡した




ワンコは翔にも尻尾をパタパタとするもんだから、タツヤはヤキモチなのか複雑そうな顔をしたが、それは見なかったことにしてやった






そんなワンコとは対象的に翔の顔はあまり優れないというか……




腕組みしたタツヤにじっと見られているが明らかに視線を合わせようとしない




【ショウ……】





低い声で名前を呼ばれ肩をビクンとさせる様からも、翔が何かマズい事をしたんだろうなとは予想ができて





もしかして……



勝手にこっちにやって来たとか?



消えてしまう事を恐れずに?




そうしてまでも会いに来てくれたんだとしたら俺だって嬉しいけど




でも最悪な結果にだってなるかもしれないわけで




そんな事になったら、何の為にあの時あんなツラい思いをしてまで別れを選んだのかわかんなくなる 





ワンコすら場の空気を読んで大人しくしている中、タツヤが一つため息をついた




それは呆れているからなのか
それとも怒っているからなのか




【ショウ、何故私の言う事を聞かなかった?】




更に低くなった声、どうやら後者のようだ









ただいま、なんて言ってたけど



そっか……
やっぱりまた居なくなっちまうのか……






今日までの日々、一日足りとも忘れたことなんてなかった




最初の頃なんて毎晩涙を流して




それでも翔が消えずにいてくれたらそれでいいと何とか自分の中で納得しようとして


一日一日をただ過ごしてきたというのに




戻って来たんだとぬか喜びさせられて



また苦しまなきゃいけないのかと思うと、あまりにも理不尽というか



こんなことなら会えないままのが良かったとすら思えてきた





それでも元気な姿をまたこうして見られたんだから




あの時と同じように俺から言ってやらなきゃいけないんだろうな……




ったく、ホントに世話が焼ける奴だ




でもそんな奴を好きになったのは俺なんだから仕方ねぇか……







意を決して口を開こうした時、翔に抱かれたままのワンコがタツヤに向かってワンワンと吠え出した




威嚇しようとしてるのか、それとも何か反論しようとしてるのか




でもその愛くるしい姿ではちっとも怖くなく




【番犬としては一人前ではあるな】




タツヤはデレそうになる目尻を必死に抑えている





【しかし、これから訓練が必要だったというのに……主人に仕えるお主が、我先にと人間界に降り立ってどうするのだ?】





身を屈め、ワンコの目線に合わせるタツヤは、言い方こそ優しいが威圧感ハンパない





「タツヤ様!この子を責めないであげてください!」




【ショウ、お前がそうやって甘やかすからいつまでたっても……】





「それはこれから私がキチンと教えていくつもりで!」





【それでお前まで追い掛けて来てしまってはいけないだろう?待てという命令を無視して…】





「ですがそれは……」




【少しでも速くというお前の気持ちは理解する、誰よりも目を掛けてきたのだからな】




「ありがとうございます……」




【まったくお前という奴は……
何も心配することなく人間界で暮らせるようになったというのに、危うく取消しになる所だったのだぞ?】




「タツヤ様のおかげです!」




【いや、お前の努力の成果だ

貴方は昔からそうでした】




上司として怒っていたのかと思ったら、兄として慕っていた頃を懐かしんでいるのか



タツヤの顔も穏やかに見えるけど……




今、なんて言った?





なかなか出せなくてごめんちょ💦
そしてまた気になるところでごめんにょ🙇