・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・
一緒に暮らしていた頃、俺たちは常に一緒に行動をしていた
朝起きるのもご飯を食べるのも
下に降りて、俺は厨房、翔は店
それぞれの場所で開店の準備をして
厨房で焼き立てパンを食べて、カウンターに並んでパンを売って
同じように閉店作業をして二人でまた2階へと上がってくる
早い時間なら商店街で買い物したり、休みの日は遠出をしてみたり
時に相葉ちゃんやニノや松潤が一緒ということもあったが
俺たちはそうやっていつも一緒にいた
二人声を合わせてただいまと言うことはあったけど、おかえりって答えることはなかったと思う
だから今、こうやって翔におかえりと言えること
何でもないことなのかもしれないけど、やっぱり特別感があって
止まっていた涙がまたじんわりと滲んできそうになったけど、翔がまたワタワタと慌てふためくのが想像できたからグッと我慢した
俺にニコニコと笑いかける顔にキュンときて
この感覚も久しぶりだと思ったら何だか恥ずかしくなって、泣き顔と同じくらい真っ赤な顔も見せたくなかったから、翔の胸にそっと顔を寄せた
「ハニー♡」
翔の嬉しそうな声も胸の中をくすぐった
優しく腕を回され、このぬくもりに包まれてると安心できてつい時を忘れそうになっていると
【ワンッ!ワンッ!】
『あっ、ごめんっ!苦しかったか?!』
俺たちの間に挟まれているワンコが鳴き出した
でも俺にというよりは翔に向かってで
更に言えば、顔を見てじゃなくて下の方に向かってで……
「邪魔しないでください、メッ!」
本気ではないだろうけど叱っているその真剣な顔とは反対に、ワンコの視線の先には存在感をハッキリと示すアレがあった
正月明けてすぐ、早朝のまだ人通りのない商店街とはいえ、外でこんな事になってるなんて
以前なら間違いなく怒ってただろうけど
「だってコレは仕方ないんです!ハニーへの当然の反応なんですから!」
胸を張ってそんなこと言うから、相変わらず翔らしくて笑いがこみ上げ
『プッ(笑)!……うん、んふふ……///』
恥ずかしいけど嬉しさもあった
あまりにも幸せで、このままこうしていたい気分だったけど
どうして戻って来れたのか?それが気になるし
また居なくなるのでは?それも不安だし
存在自体が消えることはないのか?それも恐怖で
とりあえず話を聞かせてもらおうと思っていたら
A「おはよー!」
商店街の奥の方から相葉ちゃんの声が聞こえてきた
翔が初めてここに来た時もこんなタイミングでやって来たっけと、相変わらず相葉ちゃんらしい気がしたが
A「あれー?大ちゃん……?」
翔が居なくなった時はその記憶が消されていたから何の違和感もなかっただろうけど、再び現れたとなったらどうなるんだろう?
また最初の時のように悪魔というのを説明するところからなのか?と思っていると
A「もう、朝っぱらから盛ってるねぇ……///
人通りないからってこんなとこで始めないでよ?
大ちゃん、翔ちゃん♪
ホントに二人は仲良しだねぇ♪ラブラブパワーで今年も美味しいパンが出来るね♡
ということで、改めまして明けましておめでたまきん♪今年も雅庵をよろしくお願いしまーす♪」
相葉ちゃんは手に持っていた今年一番最初のあんこを翔に渡してあっという間に帰って行った
……
………
どうやら相葉ちゃんの中では翔はずっとここにいた事になってる?
ホントにどうなってんだ?!
不思議に思って翔を見ると全く気にしてない様子で
「美味しそうなあんこですね♪」
『なぁ、どうなってんだ?』
「今はそれより開店準備です!急がなきゃお客様が来ちゃいます!」
『いや、そうだけど……』
【ワンッ!】
「ほら、この子も言ってますよ」
『そういえばコイツどうすんの?厨房や店には入れられないぞ?交番にでも……』
「大丈夫です、2階でお留守番できますから」
【ワンッ!】
『いや、それは可哀想じゃねぇの?ってかホントに大丈夫なのか?』
「はい、賢い子ですからね♪」
【ワンッ♪】
あんなに吠えて叱ってってしてたくせに、翔とワンコはちゃんと会話が通じ合ってるみたいで、それもまた不思議なんだけど
「さぁ、ハニーの美味しいパンを待ってる人の為に頑張りましょう♪」
【ワンッ♪】
結局何の説明もないまま、いつも通りに開店準備をさせられることとなった
真相解明しなかった(笑)