・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・








A「今年もよろしく〜、かんぱーい♪」





年が明けて、いつものメンバーで松岡屋に来ていた



今日まで休業の中、今年も俺たちの為だけに店を開けてくれた松兄は、文句を言いつつも豪華な料理を準備してくれて




“お前らは相変わらずだなぁ”




どうやら去年とメンツが変わってないことを言っているようだ





誰ひとり浮いた話はなく




“一人くらい嫁さん連れて来いっての!”




呆れたように言うけど




A「松兄だって同じじゃん!」





俺たちを含め、この一年、商店街で結婚した若者は会長の息子さんだけだった





ちなみにあの時翔とお見合いをと言っていた娘さんの方は




N「私の姉さんは彼女と昔から仲が良いんですけどね、綺麗な人が大好きなだけで、男女関係ないみたいです
追っかけみたいなものですかね?
眺めてるだけで満足するらしくて、付き合うとか、ましてや結婚とか全く興味ないみたいです」




更には




N「大野さんが来た時も通ってたみたいですよ?」





マジか?!全く気が付かなった





でも声も掛けられなかったしアピールもされなかったんだから、ニノのいうことは正しいようだ





もちろん会長さんからだって翔の記憶は消えていて




“あとは娘だけなんだけどね〜、どこかにいい人いないかな?”




年末の忘年会でやっぱり愚痴っていた







ニノと松潤は場所を変えてまだまだ飲むというので相葉ちゃんと二人で先に帰ることに






A「あーあ、今年はお正月らしいことできなかったなぁ〜」




年末風邪を引いてしまった相葉ちゃんは家に引き籠もっていたから勿体ないことをしたと嘆いていた





A「初詣も行ってないし初夢も見てないなぁ」





『寝てたなら夢は見られたでしょ(笑)』





A「大ちゃんは見た?」





『ううん、見てないな……』





あの日以来、見る夢は全て灰色の世界ばかりだ







A「いいおまじない教えてあげるよ♪
寝る前に見たい事考えるといいんだって!
あとは見たいことを呟きながら枕を3回叩くとか」





いつだって翔のことを思いながら眠りについている



名前を呼ぶ時だって



それでも一年見られてないんだから、きっとそのおまじないは効かないと思う





A「人だったら枕の下に写真入れとくといいんだって!昔アイドルの切り抜きとかやったなぁ♪」




そっか、写真か……
翔の写真なんてなかったからな、ニノに撮ってもらっとけばよかったと思ったけど




でもそれも今さらだ





お互い明日からまた頑張ろうと励まし合って家に帰ってきた







酔って帰ってきてすぐに眠れるようにと敷いておいた布団、あまりにも寒くて寂しいから翔がパジャマ代わりにしてたスウェットを抱きしめながら寝る癖がついた




それも少しずつニオイが消えている気がして




『なぁ、一回くらい出てきてくれてもいいんじゃねぇか?薄情な奴だなぁ……』




ポンポンポン……



恨み節じゃ効くわけないだろうけど、枕を3回叩いて眠りについた







そうして見た夢は相変わらず灰色の世界



やっぱり同じかとガッカリして





でも、今日はなんか違う気がした






遥か彼方、遠い視線の向こうに小さな点が一つ見えた





光のように見えたそれに向かってゆっくり近付いていくと少しずつ大きくなって





『なんだ、これ……?』





不思議になって手を差し出すと両手にふわっと乗ってきた




真っ白で軽くてふわふわとしてて




『あったけぇなぁ……』




人肌にも似たぬくもりを感じたところで目が覚めた






夢なのにやけにリアルな感触に




『まさか翔だったりして?!』




布団を捲ってみたけど当たり前にその姿はなかった





『んなわけねぇか……』





でも初夢としては悪くない、ずっと同じだった夢に変化があったことに少しだけ希望がみえた気がした








『よしっ、今年も頑張るぞー!』




気合いを入れて店へと降りた







厨房でパンを捏ねながら




そういえば一年前、翔が空から降ってきたっけな

尻もちついて痛がって

大声で騒いでるから変なヤローだとか思って

朝の清々しい空気の中、真っ黒な出で立ちはいかにも怪しかったなとか





色々思い出しておかしくなって、でも鼻の奥がツンとしそうになっていると





ガタガタガタ……





今日もまた、あの時と同じように外から物音が聞こえた