・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・








決して声が小さかったわけじゃないと思う


それに翔ならどんなに小さくても俺がボソッと呟いた言葉を全て拾うような奴だから



「ハニー、何ですか?」



って確認してくるんじゃないかとも思うんだよな……





そこに少しだけ違和感を覚えて





『……翔?』




今度は名前だけ呼んで
ピクッと反応したのを確認した上で





『好きだ……///』




もう一回なんて、再び熱がでるんじゃないかってくらい恥ずかしい思いで口にしたというのに




「……ハニー、林檎剥くのは難しいですね💦」




間違いない
聞こえているのにスルーしてるんだと気が付いた




そして




「ハニーは凄いですね!林檎もするすると皮を剥いて、凄く長く繋げてくれたり
ウサギさんでしたっけ?あれも作ってくれました!いやー、すごいすごい!」




バグったように凄いを連発して




「私には無理だなぁ、アハハハハ💦」




明らかに何かを誤魔化してるようだ




『翔?何焦ってんの?』




背中に寄せていた体を離し、顔を覗き込むと




「な、な、なにも?!焦ってなんかないですよ!」




吃りながら、俺に視線を寄越すこともしない




ホントは好きって知っていて、恥ずかしくって顔を見せないようにしてんのかとも思ったけど




何でもストレートに表現する翔だ
何かおかしいだろ……





そしてついには



 
「えぇっと?最後にここを切るんですよね
……って、うわっ?!」


 

不格好な林檎は転がり、白いまな板の上に真っ赤な血がぽたりと落ちた




「うっ!イテテ……」




『翔っ?!指切ったのか?見せてみろ!』




「大丈夫です、ちょっぴりですから、ハハ…」




まな板一面真っ赤に見えたそれは、実はバラバラに剥かれた林檎の皮で、実際には翔の言う通りほんのちょっぴりで




「ちょっとビックリしただけですから💦」



大した怪我ではなく良かったと思うけど





『ごめん、俺が林檎なんて剥かせたから……』




「何言ってるんです?私がお世話したいと言って自分からしたんですよ?
でも不器用だから、ハニーに余計な心配を掛けてしまいました……私こそごめんなさい……」




『そんな事ねぇよ、俺も驚いただけだから
あんまり酷くなくてよかったよ』




「本当に情けないです……松潤さんや相葉ちゃんさんならこんな事ないですよね……」




『相葉ちゃんは和菓子職人だし、松潤は料理が趣味らしいから
比べるもんじゃねぇよ』





「でも……」




『言っただろ?翔はそばにいてくれるだけで安心できるんだからって』





「それは嬉しいですけど……」




俯いてしまう翔にこの気持ちを伝えたくて




『お前にそばにいて欲しいって気持ちや心配したり大切に思う気持ち
翔たち悪魔は知らない言葉で必要ない感情なのかもしれないけど……

これを、好きって言うんだよ……///』





改めてその言葉を伝え、その意味を教えた





さっきは聞こえてなかったのか、聞いててスルーしたのか




確信はなかったけど




今、目の前の顔を見れば明らかだ





「っ!………ハニー……」





照れて恥ずかしくなってるんじゃない




真顔になったその表情




「あの、その、いや、でも……」




何か言いたげに、でもその言葉を必死に飲み込もうとしていた




『翔?俺はお前が好きだよ……
お前は?俺の事好きか?』




誰に対しても自分からこんな事聞くなんて絶対あり得ないと思っていたけど




翔にはちゃんと伝えたいし、言ってほしいと思ったから





真っ直ぐと見つめたその顔、いつものように赤くルビーのように綺麗な目がゆらゆらと揺れている




一気に不安が押し寄せて




『翔……何か言ってくれよ!』




そう訴えたが





「ハニー……ごめんなさい……」





力なくそう呟くと胸元を掴んだ俺の手に翔の涙がひと粒落ちた







言葉なんてなくたって


一度はそう思ったし、そんなものがなくたって愛を感じていたけども



こんな風に否定されたら……





掴んでいた手を離しガックリと項垂れた俺を見て



「ハニーっ!違うんです!
わたしっ、わたしはっ!」




必死に何か伝えようとする翔だけど




その声は俺の耳には届きそうもなかった





そして



【ショウ、もういい……】




気が付けば翔の背後にはあの時のようにタツヤが音もなく立っていた





急展開!!!
そしてタツヤは翔くんの上司、悪魔その2です
忘れていると悪いので一応補足を……