・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・
不器用な翔にヤレヤレと思う事はあったけど、それで嫌気がさすなんてことはなく
むしろかわいいとこだと思っていたくらいで
でも、頭がいいくせに鈍感というか
イケメンで優しいとくれば、言い寄ってくる女の人を勘違いさせてしまうこともあって
そんな様子にイライラして、ケンカすることもあった
翔にそんな気はないのだから、俺が拗ねて突っかかっていただけなんだけど
バレンタインの日、いつもより多くチョコを使ったパンを並べていると、その甘いニオイに笑顔になっていた翔
常連さんにチョコをもらって
これは俺にもくれたし、いつもありがとうのメッセージ付きのヤツだったから義理だというのはわかっていた
でも、街の古いパン屋に似つかわしくないファッションとメイク、長い髪をなびかせる女の人が頬をピンク色に染めながら差し出してきた高級そうなチョコまで受け取るから
『相変わらずモテモテだな……』
嫌味も言いたくなった
それが本命だなんて全くわからない翔は
「でもいいニオイしますよ?ハニーと一緒に食べたいです♪」
無邪気にそんなこと言うから
『俺はコレ食うからいらねぇよ!』
駄菓子屋のおばちゃんにもらったチョコの詰め合わせを手に可愛げなくそう言って
翔がしょぼんとしたのはわかっていたけど、俺も素直じゃねぇから言い過ぎたとも言えず
たまたま昼飯を買いにきたニノ、空気を読むことが上手いというか
ムスッとした俺とわけもわからずオロオロとしてる翔の顔を交互に見て
N「ガキじゃないんだから(笑)」
笑いながら、バレンタインの本命チョコの意味と俺が拗ねてる理由を翔に説いていた
全てを理解した翔は
「受け取ってはいけなかったのですね?!どうしましょう💦」
その優しさから捨てるなんてことはできないはずだし、食品を作って売る立場の俺からしてもやってはいけないことだと思う
N「そういうあざとい女は受け取ってもらえたと喜んで、既に彼女気取りでホワイトデー前にもやってくると思いますよ?
勘違いでしたと突き返してやりなさい」
プライドをへし折るのが一番だとか
ニノの怖い一面を見た気がした
その日の夜、こっそり焼いておいたチョコたっぷりのガトーショコラを夕飯時に出してやると
「これは義理ってやつですか?」
顔色を伺いながら聞いてくるから
『さぁな?』
素っ気なく答えてはみたものの
美味しそうに食べる姿を見ればやっぱりかわいいし
「ハニーのチョコはとびきり甘いです♪ハニーそのものみたいです♡」
なんて甘い顔されたら
『どれ……んっ、ホントだな……///』
口についたチョコを唇で取ってやりながら
『なぁ……もっと甘いの味わうか?』
休み前ではないけど誘って
ヤキモチからのイライラを素直に出した結果、俺の方が求め過ぎてしまった
年々感じてはいるけれど、今年の冬は特に異常気象だ
この前みたいに雪が降ったり、いきなり春の陽気になったり、また急に寒くなったり
「ハニー?なんだか少しぽっかぽかしますね?」
くっついて入った布団、いつもなら体温が高い翔を湯たんぽ代わりにするのだけど、どうやら今日は俺の方が温かいようだ
言われてみれば昼間もぼ〜っとしたような?
体調を崩しやすいから気をつけてねなんて常連さんに声を掛けておきながら、自分が風邪をひいたのかもしれない
一応測ってみたけど微熱程度
他に目立った症状もないから一晩寝れば大丈夫だろう
明日は日曜日、早めに店を切り上げて、夜には商店街の会合がある
今年度の収支決算報告と来年度の計画案などが話し合われる
出席しないわけにはいかないし、翔の事も連れて行こうと思っていた
二人の関係や悪魔だなんてことまで話すつもりはないけど、翔がこの商店街でずっと暮らしていく為にはみんなにもキチンと挨拶させておきたい
店主の奥さん方には馴染んでるし、人当たりのよい翔なら問題ないだろう
「ゆっくり休んでくださいね♪」
額へのキスは安眠のおまじない、スッと眠りにつけた
翔のニオイに包まれて目覚めると、少しまだふわふわしてる気もするけど
「さぁ、日曜日です!張り切って働きましょう♪」
休みの前日という意味を含んで言ってるかどうかはわかんねぇけど、張り切る翔と一緒に店に下りた