・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・









よろしくお願いされたからといって、何でも受け入れるつもりはない




だって俺が男にしてやるってことは、翔を受け入れるってことだろ?



確かにキュンとしたり可愛いなとかかわいそうだなと思ったり、キスされてアレを反応させてはいるけど




それとこれとは話が別で




男同士ってことなんだから……




正座してた尻がモゾっとする気がした







リビングで寛いでいる様子からも、魔界とやらに帰る気は一切ないんだろう




ってことはだ、ソッチ方面だけではなく日常生活でも世話してやれってことか?




面倒くせぇ……




そりゃ寂しいと思う時もあるけど、一人で気ままに生活してるのも俺には合ってる





でも


「明日からもお手伝いしますからね♪」



勝手に張り切ってるし




その姿が健気にも見えるんだから、俺もどうかしてる





ともなれば……




『ルールを決めようぜ』




ルームシェアというよりは居候だけど、他人との共同生活には大事なことだ





商店街の初売りチラシの裏にペンで書き出すことにした







『まずは……自分でも言ってたけど、店の手伝いな
パン作りは無理だから、接客担当だ
今日と同じようにレジ打ちと袋詰め、これは無理ですぅ〜なんて言うようなら一切やらせないから』




甘やかせている場合ではない




「ハニーが作った大事なパン、グチャグチャにしないように気をつけます!」




実に素直だ




『それからそのハニーってやつ、やめろな?』




名前教えてやっただろ




「えぇ〜、だってだって、ハニーは私のハニーだから……」





上目遣いに目をうるうるさせんじゃねぇよ、ほだされちまうじゃねぇか




『……仕方ねぇな、ここにいる時はそれでもいいか……///』




「ハニー♡」




『っ!……///
ただし、店では名前で呼ぶこと!

お前はバイトってことにすんだから、そんな風に呼んでたらおかしだろ?
ホントは店長とか呼ぶのが正解なんだろうけど、それは俺がこっ恥ずかしいから、わかったか?』





「はいっ、ハニー♡」




何か力抜ける






『店で色々声掛けられると思うけど……』




今日の数時間だけでも名前は?とか歳は?とか聞かれてたからな




イケメンはこれだから……ヤレヤレだ




『悪魔だなんて口が裂けても言うなよ?』




翔は自分の口を押さえて




「あぃ…、いいまひぇん……」





『そういえば歳は?』


 

大人びた口調だけどその振る舞いは無邪気だ




童貞だってことも踏まえればなお



顔だって可愛いもんだ



でも15,6のガキを雇うっていうのも何か言われるかもしんねぇし





「えっと……先日誕生日が来まして……
10万と35歳ですかね?」




待て待て




悪魔にも誕生日はあるんだなとか思ったけど、それより何だその数は




それとも悪魔界ではそれが普通か?



頭の中にはTVでよく見る白塗りの悪魔が浮かんできた




それに倣うと




『人間界でいうと35歳ってことか?』 




「はいっ、そう聞いております!」




……
お前らの年の概念、どうなってんの?
その顔で俺より年上とかバグってんだろ




『まぁ、いいか……明日から店で聞かれたら、名前は翔で35歳だって答えろ』



35でバイトとか変かな?





「あの〜……電話番号とやらは何て答えたらいいですか?」




『は?それは店のじゃなくて?』




「イケメンお兄さんのって言ってました!」




いつの間にそんなの聞かれてんだよ




「あとはIDとかなんとか……何時に終わるの?とか……」





ナンパされてんじゃん




イケメンだからそれもわかるけど、何かちょっとイラッとする





『そういうのは答えなくていいんだよ!適当にごまかせばいいから!』




「ハニー、何で怒ってるんです💦私がいけないんでしょうか?」




あぁ、また涙溜めやがって





イライラとすんのは翔の態度ではないのはわかってんだけど



それが何でかに気付いてもいけない気がして





『翔には怒ってねぇよ……』




頭をポンポンとしてやると




「どこに住んでるのかも聞かれましたけど……
ハニーと一緒です♡って答えられますね♪」




すぐに笑ったから





『そうだな、それでいいよ……
でもハニーじゃなくて智な?』




呆れつつも心のどこかでホッとする自分がいた