・・・✤BLを含む完全妄想のお話です✤・・・










「大ちゃんが来てくれてホントに良かったよねぇ〜♪」




相葉ちゃんは酔うと同じ話を繰り返す




聞き飽きたよという顔をするのがニノで、まぁまぁ放っとこうぜと知らんぷりするのが松潤








年が近い三人もこの商店街の跡継ぎ





相葉ちゃんは【和菓子屋 雅庵(みやびあん)】の2代目




現役バリバリの親父さんに鍛えられながらその味を継承すべく修行の日々




俺がここで最初に仲良くなった人で




「あれ〜?じいちゃん、弟子取ったの?」




スマイルパンのあんパンに使わせてもらっているあんこを配達に来てくれた時に知り合った




「若い人が増えるのはいいことだよね♪よろしくね!」




この人の方がよっぽどスマイルだなと思った第一印象通り、いつ会ってもニコニコとしていて
        



「大ちゃんに会わせたい人いるんだよね〜♪」




商店街の若い人達との仲を繋いでくれた、根っからのいい人







ニノの家は写真館をやっていて




「俺は映像の方が好きだから」




高校生の頃はそう言っていてそっち関係の専門学校に進んではみたものの、結局は卒業後にカメラ片手に海外を飛び回って




ここのスタジオは親父さんメインで、本人は色んな所に出向く出張カメラマンとして店を支えているらしい







松本不動産はこの春から代替わり、婿入りしたお姉さんの旦那さんが社長となり、その片腕を担うのが弟の潤



「いい物件あるよ?」



親父さんがオーナーだという近場マンションを格安で紹介してくれようとしたが、パン屋だけじゃなくて古いけど2階のじいちゃんの自宅も継ぎたかったから断る事になったけど




「リフォームとかもいい業者知ってるからいつでも言ってよ」




嫌な顔一つせず、やり手営業マンのイイ男






この他にも本屋のシゲ、薬屋の斗真、威勢のいい魚屋の信五、商店街の入り口の駐在所には風間ぽん




同じくらいの年の奴らがたくさんいて楽しいし





米店の城島さん、喫茶店の坂本さん、スナックのマスターの太一さん、松兄くらいの少し年上の頼りになるアニキたちもいて心強い





何よりじいちゃんをよく知る人からは




「智ちゃんのこと頼まれてるからね!」




お客さんだったり、店主だったり




暖かい人たちに見守られてるようで、正式にパン屋を継ぐ前から不安など感じる事はなかった







そんなあけぼの商店街だけど、一抹の不安はあるようで




年末にここで行われた商店街の忘年会、じいちゃんや親父世代の店主からは



“こんなにイイ男がいっぱいいるのに、誰も嫁の気配がないのはどういうことだ?!”




その話題ばかりが持ち上がった




跡継ぎを心配してのことだろう




中には結婚してる人もいるけれど、俺やこの3人、他にも30近い奴らの独身率は高い





でも当の本人たちはそれが問題だとは思ったことはなく




跡継ぎ問題で言えば、松潤んちみたいに兄弟姉妹がいるパターンもあるわけで




うちだって孫の俺が継いだわけだし





今のとこ俺にもそんな相手はいないから、もしかしたら途絶えるかもしれないけど





「まだまだ若いんだから、突然いい出会いがあるかもしれないじゃん♪」




相葉ちゃんの言う通り



ある日突然運命の出会いが!



なんてこともないとは限らないけど





「まーくんとおーのさん、ただ和菓子やパンを作る職人の二人にはそれは難しいんじゃ?」




ニノの言う事ももっともで




「合コンする?いい子知ってるよ」




いざとなったら松潤にお願いすることにして





『とりあえず今はパンが恋人だから♡』




「じゃあ俺はあんこだね♡」




「カメラは一生のパートナー♡」




「俺、なに?……家?マンション?土地?」





ここでみんなで楽しくやりながらパン作れればいいなと思うんだ