┅ ✤BLを含む完全妄想のお話です✤┅






結局、サッカー部には入部しなかった櫻井くんは、翌日からも放課後になると美術室にやってきた



松本くんが一緒の時は3人で話して、相葉くんたちが来ると仲良く4人で帰って行く




そしてこの前のように2人きりの日もあって


松本くんの時と同じように他愛もない話をして、変に疲れることもないから楽しい時間を過ごせていた






「先生、何か絵描いてくださいよ」



真ん丸の目で何かを期待するようにお願いされた時は



『櫻井くんが描いてみたら?僕見てあげるよ』



一丁前に教師ぶってみたりする



彼はそれならばと黒板に向かってサラサラと描き出して




芸術は描く人見る人の自由だとは確かに言ったけど



『これは……なんだろう……?』



雪だるまに毛が生えたような物体



「これ、ヒントです!」



自信満々に指さしたのは



『……キノコ?』



でも目があるような?



「えぇ〜、分かんないんですか?」



『うん、降参』



いくら考えても答えは出そうになかった



「正解は〜……ト〇ロでした!」



『えっ……あ、これは……?』



「メ〇ちゃんです!」



『…………』



「先生、引いてません?」



『いや……うん、個性的で……いいと思います……』




でもさすがにこれが課題だったとしたらAの評価は付けられないかな(笑)



「じゃあ先生描いてみてくださいよ、思い出しながらって案外難しいですよ?!」



まるで模写なら上手く描けるみたいに言うから面白かったけど



「えっ、うまっ!?」



思い出しながら僕が描いたソレを自分のと見比べてビックリした顔をしていた



『一応美術教師だからね(笑)』



「えぇ〜、マジか……
他にも何か描いてくださいよ!」



彼に言われるまま、小さい頃の描いていたアニメのキャラなんかを描いてあげると子供のように喜んで褒めてくれて



何だろ、ちょっとこそばゆかった



「先生、ホントに上手いですね!」


『まぁ、これくらいは……///』



「絵画を専攻って言ってましたよね、どんなのが得意なんですか?」



『得意かどうかはわかんないけど、抽象画が多いかな』



「抽象画……」



いまいちピンと来てなさそうだったから、棚に置いてある画集を見せてあげて



『こんな感じかな』



「へぇ〜……」



『まぁ、見る人が見たらってやつだよ』



「でも奥が深そうですね」



『どの分野でもそうだとは思うけど、音楽だってそうでしょ?』



「そうですね……

人物画は描かないんですか?」



『課題として描いたりしたけど、苦手かな』



「先生なのに苦手とか言っていいんでしょうか?」



何か急に優等生みたいになるからドキンとする
教師としてダメ出しされてるようで



「俺の事、描いてみません?」



『……は?』



「俺、モデルになってあげますよ!」



『いや、頼んでないし……』



「何事もチャレンジですよ!」



『だとしてもキミである必要は……』



「早速今からやりましょうか?!
潤くんいると集中できないですもんね!」



『そういう問題じゃなくて……』



僕の声なんて耳に入っていないのか、椅子をガタガタと動かして正面へとやって来て



「さぁ、どうぞ!」



ニッコリと笑顔でそう言われても……



でも僕を真っ直ぐと見つめてくるその瞳は驚く程キレイに澄んでいて



イケナイコトくらいできる



そう言った時とはまるで違って見えた気がしたから


はしたない事のように思えたけど、その瞳の奥にある本当の彼を覗いて見たくなった