┅ ✤BLを含む完全妄想のお話です✤┅





向かったのは住んでる所から一時間ちょっとの海沿いの市、道中渋滞することもなく駐車場も余裕で停めることができた


国道を挟むようにして海側に遊園地、反対側には水族館、その隣には遊具はないけど公園があって、春には桜が綺麗に咲きお祭りが催されるらしい


らしいというのは俺も来たことがなく、でもネットで下調べはしておいたから


暑くならないうちに遊園地で遊び、午後からは屋内の水族館に移動することにした




遊園地のアトラクションは10種類ほど、絶叫マシンと呼べるものもなく、3歳以上なら乗れるジェットコースターは高い所まで登る事もなければ回転もしない


《兄ちゃん達には物足んないかもな》


松岡さんはそう言うが、今回は潤たちもいるしこれくらいで十分だと思う


入園料は無料、フリーパスはないから乗り物券を購入してアトラクション毎にそれを使用するシステムになっている



松岡さんは智くんたちと俺たちにも回数券を買ってくれようとしたけど


『俺、ちゃんと自分で払えるから』


智くんはそれを断った


【マーに甘えればいいのに】


『頼りにはしてるけど、それとこれは別!』


智くんにだってプライドみたいなものがあるんだろう、松岡さんもそれ以上何も言わなかった


俺も母さんから潤の事を頼まれているし、その分としてお金ももらってあるから同じく遠慮して


【じゃあ、ランチはマーの奢りね♪
アンタたち、年上のメンツってのも保ってあげなさいよ?】


《ヨネ、じゃあお前の奢りじゃん》


【バカね〜、アンタ社長でしょ?】


《そりゃ、ずりぃわ》


2人の掛け合いがおかしかった





潤たちがまず選んだのは園内を一周ぐるりと回れる電車


ほとんどの乗り物は0歳から乗れるけど、小さい子には大人が付き添わなければならないから俺と智くんも乗り込んで


「えぇー?!カズととなりがいい!」


それじゃ俺たちが同乗する意味がないだろ(笑)
それに俺だって智くんと隣がいいわ!


まぁ、ブーブー文句は言ってたけど潤も喜んで乗ってたし、その他の乗り物も松岡さん&涼子さんペアと代わってもらいながら楽しんだ




子供たちが唯一乗れなかったのは120cm以上の身長制限でひっかかったバイキング


《お前ら乗ってくれば?》


といってくれたので智くんと2人で乗り込んだ


やっと隣に座れたわけだけど……


小さい遊園地だからといって侮るなかれ!
バイキングはちょっと怖い……


智くんは


『結構高くあがるな!』


なんて余裕があって、声を出して両手を上げて乗ってるし!


『あれ?もしかして翔くん、怖かったりする?』


「う、うん……あっ、いやっ!……まぁまぁだね……ハハ……」


平気なフリしてそう答えてみたけど、目の前のバーから両手は離せそうになかった




「にぃに、楽しかった?」


『おうっ!』


「にいちゃんは?」


「う、うん……まぁまぁだな💦」


さっきと同じセリフだけど、智くんは肩を揺らしてクックと笑っていた


くそっ!バレてたか!






次に子供たちが興味を示したのが立体迷路で入口は2つ、出口は1つになっている


《俺とヨネとガキ2人VS兄ちゃんたちな》


勝手にチーム分けされて競うことになったけど


『負けねぇぞ!』


智くんも案外乗り気だった




途中3箇所のチェックポイントでスタンプを押さなきゃならないんだけど


「あれ、ここ通ったよね?でもこっちは行き止まりだし……」


これがなかなか難しい


階段を登ったりネットを渡ったり


壁かと思った所が実は隠し扉でスライドして開いたり


『翔くん、こっちこっち!』


気が付けば智くんに誘導されるカタチで自然と手を繋いでいた


もちろん周りに他の家族やカップルらしい人達もいたけど、そんなの気にならないくらい夢中になって


先にゴール出来たのは俺たちの方!


10分くらい遅れて出てきた4人は


「もうっ、しゃちょーおそい!」


《俺じゃねぇよ!ヨネのせいだ!》


【しょうがないでしょ?!歩きづらいのよ!】


《ヒールなんて履いてくっからだろ!》


「でも、りょうこちゃん、にあってるしかわいいよ♡」


《カズ〜♡》


ギャーギャー騒ぎながらも楽しんだようだ


この迷路に思いのほか時間が掛かりあっという間に昼の時間、園内でランチを取って水族館の方へ移動することにした